日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
42 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
技術論文
  • 土井 幸夫, 高橋 圭, 高木 徹, 椿 雅仁
    2006 年 42 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2006/01/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    生分解性ポリエステルエマルション接着剤は一般に屋内においても加水分解され,分子量は低下し,その結果,接着性能の経時低下が懸念されるので,簡単にしかし信頼できる寿命予測法の確立が要請されている。同一接着剤を用いても接着性能ゼロに対応する接着剤の分子量閾値が場合によって異なるという今回判明した実験事実を勘案し,具体的試料の所望条件下での寿命 Tx を予測するため次式を導出した。 Tx = (K1/Kx)T1 ただし,T1 は促進条件下,実験から決定される寿命,K は生分解性ポリエステルエマルションの見掛けの加水分解反応速度定数であり,添え字1は促進条件温度,同xは所望条件温度を表わす。ポリブチレンサクシネート-CO-アジペート(PBSA)エマルションの予測寿命は実測寿命にほぼ等しい価を得られたのに対し,ヒートシール紙片,研磨剤,塗工紙では経過時間が予測寿命に達しなかった。
研究論文
  • 永田 員也, 日笠 茂樹
    2006 年 42 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2006/01/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン(PP)/タルク(平均粒子径 3.2μm)にマレイン酸変性 PP(MAh-PP),PPおよび低密度ポリエチレン-ポリアクリレートブロック共重合体(ポリエチレン;PE-diblock およびポリプロピレン;PP-diblock)を所定量添加して二軸押出機を用い複合材料を調製した。なお,タルクはエポキシシランカップリング剤(GPMS)で表面処理した。これら添加ポリマーが PP/タルクの力学特性に及ぼす影響を検討し,PP/タルク複合材料の界面構造を考察した PP/タルク複合材料の弾性率と降伏強度は PP-diblock および MAh-PP の添加量とともに増加したが,PP-diblock を添加した場合は低下した。タルクをGPMS処理することによりこの力学特性の変化は大きくなった。複合材料の衝撃強度はPP-diblock および MAh-PP の添加量増加とともに試料の衝撃強度は急激に低下した。一方,PP/GPMS処理タルク複合材料の衝撃強度は PE-diblock を添加することにより大きく向上した。PP-diblock/タルク複合材料の動的粘弾性を測定した結果,GPMSでタルクを処理することによりガラス転移温度に帰属されるtanδピーク温度が未処理タルク充填試料に比べ高温側にシフトした。この結果からGPMS処理することによりタルク表面と添加したポリマーのカルボキシ基との間の相互作用がさらに強くなったと考えられる。試料破断面走査型電子顕微鏡観察の結果,GPMS処理したタルク表面にポリマー層が観察された。PP/タルク複合材料においてタルクをGPMS処理することにより添加ポリマーが界面に存在し,その界面構造に応じて力学特性が変化することが明らかとなった。
研究論文
  • 西田 裕文, 松田 聡, 岸 肇, 村上 惇
    2006 年 42 巻 1 号 p. 4-12
    発行日: 2006/01/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    種々の化学構造を有するイオン含有ポリマーを新規に合成し,それを硬化触媒として用いたエポキシ樹脂硬化物の動的粘弾性測定におけるTgレス化挙動を観察することにより,Tgレス化を引き起こすための化学構造上の必要条件に関し,検討を行なった。その結果,Tgレス化させるイオン含有ポリマーとしては,エポキシ基をアニオン重合させることのできる求核性を有するアルカリ金属のカチオンと共役塩基とのイオン対,及びイオン含有ポリマーの凝集を抑える脂溶性連鎖を備える必要があるが,主鎖骨格の化学構造及び酸基の種類には依存しないことが分った。また,エポキシ樹脂を効果的にTgレス化させるためのイオン含有ポリマーの添加量には最適値が存在し,K+を含有するポリマーの場合,その添加量は概ねエポキシ基1モルに対しK+0.02~0.03モルであった。
feedback
Top