高周波スパッタリングによりポリイミドをターゲットとして銅基板上に高分子薄膜(スパッタ高分子薄膜)を形成し,形成した薄膜がスパッタリング時の導入ガスの種類を変えることによって,基板材料との密着性,薄膜の摩擦・摩耗特性がどのように変化するのかを調べ,これら特性のさらなる向上を図ることを目的として検討を行った。窒素(N2)ガスによるスパッタ高分子薄膜の摩擦係数はターゲット材料であるポリイミドやアルゴン(Ar)ガスによるスパッタ高分子薄膜より高く,銅基板上での摩耗耐久性も Ar ガスによるスパッタ高分子薄膜よりも高いことが分かった。また,スパッタ高分子薄膜と銅基板との密着性は N2ガスによるスパッタ高分子薄膜が Ar ガスによるスパッタ高分子薄膜より高く,さらにこの N2ガスによるスパッタ高分子薄膜を Ar ガスによるスパッタ高分子薄膜と銅基板の中間層として導入した Ar/N2積層膜においても高い密着力を有することが分かった。