日本接着学会誌
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42 巻, 3 号
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総説
総説
技術論文
  • 松坂 俊通, 吉田 英二, 中村 博昭, 岩寄 徹治
    2006 年 42 巻 3 号 p. 106-111
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
     現在医療機関や薬局等で取り扱われている粘着包帯類の殆ど全ては,有機溶剤含有ベースの粘着剤が塗工され,粘着製品となっている。これら商品は市場に流通する前の生産工程の段階で,有機溶剤の殆どが取り除かれる。しかしながら,僅かに粘着剤層中に有機溶剤,及び原料モノマーが残留してしまい,医療分野において使用される製品としては,皮膚刺激リスクのあることが容易に推察される。そこで,有機溶剤を使用しないエマルション粘着剤に着目し,粘着包帯類の一つであるサージカルテープヘの応用について検討した粘着剤層は,被着体である皮膚に直接貼付されるため,生体内からの不感蒸池や発汗による水分の影響を受けやすく,高度な耐水性が要求され,この高い耐水性を得るために,エマルション粘着剤中のミセルの粒径界面活性剤の種類,及び添加量を調整することで,急激な発汗にも耐え得る医療用サージカルテープを完成するに至った。
研究論文
  • 池田 徹, 李 徳甫, 宮崎 則幸
    2006 年 42 巻 3 号 p. 97-105
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
     接着剤厚みが接着継手の破壊靭性値にあたえる影響についての研究は少なくないが,そのメカニズムはいまだ明らかとは言えない。本研究では,様々な厚みの接着継手中のき裂先端付近の損傷域を光学顕微鏡を用いて観察した。0.7mmよりも薄い接着継手において,界面損傷域が観察された。特に最大の破壊靭性値を示した0.3mmの接着剤層厚みの場合は,大規模な界面損傷域が接着剤層中に観察された。このことより,界面損傷域の応力遮蔽効果がこの接着継手の破壊靭性値を上昇させているものと推定された。接着継手中のき裂先端近傍の損傷を有限要素法にGursonモデルを適用して解析したが,その結果は薄い接着剤層ほど応力と損傷が大きくなるというものであった。このことは,接着剤層が薄くなると単調に破壊靭性値が減少するということを示す。そこで,接着剤層と被着材の界面に人工的な損傷を導入して,有限要素法解析を行ってみた。その結果,約0.3mmの接着剤層厚さで最大の破壊靭性値を示し,界面損傷域の応力遮蔽効果を裏付けるものとなった。
研究論文
  • 岩森 暁, 上村 彰宏
    2006 年 42 巻 3 号 p. 89-96
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    高周波スパッタリングによりポリイミドをターゲットとして銅基板上に高分子薄膜(スパッタ高分子薄膜)を形成し,形成した薄膜がスパッタリング時の導入ガスの種類を変えることによって,基板材料との密着性,薄膜の摩擦・摩耗特性がどのように変化するのかを調べ,これら特性のさらなる向上を図ることを目的として検討を行った。窒素(N2)ガスによるスパッタ高分子薄膜の摩擦係数はターゲット材料であるポリイミドやアルゴン(Ar)ガスによるスパッタ高分子薄膜より高く,銅基板上での摩耗耐久性も Ar ガスによるスパッタ高分子薄膜よりも高いことが分かった。また,スパッタ高分子薄膜と銅基板との密着性は N2ガスによるスパッタ高分子薄膜が Ar ガスによるスパッタ高分子薄膜より高く,さらにこの N2ガスによるスパッタ高分子薄膜を Ar ガスによるスパッタ高分子薄膜と銅基板の中間層として導入した Ar/N2積層膜においても高い密着力を有することが分かった。
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