日本接着学会誌
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43 巻, 10 号
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総説
総説
技術論文
  • 横山 直樹, 酒井 俊輔, 高橋 紳矢, 䋆村 知之
    2007 年 43 巻 10 号 p. 387-397
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    フレキシブルプリント配線板(FPC)接着剤用エポキシ樹脂/臭素化フェノキシ混合硬化物のモルフォロジーと特性に及ぼす臭素化フェノキシ含有量の影響を検証した。走査透過型電子顕微鏡(STEM)およびエネルギー分散型蛍光X線分光光度計(EDX)を用いて混合硬化系のモルフォロジーを観察した結果,臭素化フェノキシ含有率が30重量%未満のときは,エポキシ硬化物が連続相,臭素化フェノキシがミクロドメイン相となるミクロ相分離構造を,臭素化フェノキシ含有率が30重量%のときは,両者が共連続相を,臭素化フェノキシ含有率が40重量%以上のときは,臭素化フェノキシが連続相,エポキシ硬化物がミクロドメイン相となる逆海島型のミクロ相分離構造をおのおの形成することがわかった。このとき,引張り強度,伸びおよびせん断接着力は,逆海島型となる臭素化フェノキシ40重量%付近で極大値を示すこともわかった。注目すべき点は,熱可塑性ポリマーである臭素化フェノキシが連続相を形成する臭素化フェノキシ含有率40重量%の硬化系においても,温度分散貯蔵弾性率(E')曲線のゴム状平坦域が保持されたことである。すなわち,同硬化系はフェノキシ由来の可とう性に加えて,エポキシ硬化物由来の剛直性も保持していることを示しており,これが前記した特性の極大化に寄与した要因と考えられる。さらに,総ての混合硬化系において128ºC,155ºCの2温度におのおの独立した損失正接(tanδ)ピークを認めた。これらのピーク温度は,臭素化フェノキシおよびエポキシ樹脂硬化物の各Tgに帰属できるため,エポキシ樹脂硬化物相の耐熱性(Tg)は,臭素化フェノキシの配合で低下しないこともわかった。
論文
  • 池村 邦夫, Franklin R. TAY, 廣中 俊也, 根來 紀行, David H. PASHLEY, 遠藤 剛, 石田 初男
    2007 年 43 巻 10 号 p. 373-386
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    歯科接着性モノマーと象牙質の接着処理時間中の相互作用変化は知られていない。本研究は接着性モノマーを含む歯科セルフエッチング接着剤と象牙質の処理時間中のin situ相互作用変化を時間解析FTIR-ATRおよび透過電子顕微鏡(TEM)により調べた。4-アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)およびそのカルシウム塩(4-AETCa)を純度よく合成した。4-AET液[4-AET/2-HEMA,40/60wt%]をハイドロキシアパタイト露出象牙質に塗布し,時間解析FTIR-ATRを15分間測定した。4-AETを含むワンステップ接着剤を入歯象牙質の割断面に塗布し,1/3,5,10および20分暗所に放置した後,可視光線を照射して試料を作成し,その接着界面の微細構造的変化をTEM観察した。FTIR-ATRの差スペクトルより,1583cm-1と1411cm-1にCa-カルボキシレートのνC=Oが認められ,合成した4-AETCaと一致したため,4-AETCaの形成が確認された。4-AETCaは15分間の接触時間とともに増大した。TEM観察により象牙質との接着界面に不溶性のインターラクション層が認められ,その層の厚さは時間と共に増大(0~2500nm)した。これらの知見は,配位子モノマーとして作用する4-AETと象牙質アパタイト間の接触時間に伴い4-AETCa塩の形成が増大するという仮説を支持している。
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