溶融混練で作製されるポリメタクリル酸メチル/ポリビニルアルコールブレンドは,非相溶系であるため動的粘弾性測定による損失弾性率にはそれぞれの成分に基づく2つのピークが出現する。このブレンド系の高温側に出現するポリメタクリル酸メチルに基づくピークは,ポリメタクリル酸メチル単独のピークより高温にシフトする。ポリビニルアルコールのケン化度とこのシフト量の関係について検討した。ケン化度は98~38mol%の範囲で変化させた。その結果,ケン化度が高いほど高温へのシフト量はより大きくなった。特にケン化度98mol%の場合,ブレンド系のピークの高温へのシフトが大きいことに加え,両ピークが著しくブロードになり,低温側のポリビニルアルコールに基づくピークはほぼ消失していた。走査型電子顕微鏡観察では,ケン化度98mol%の場合ドメインが見られなかったが,ケン化度88mol%以下では数μmから数10μmのドメインが観察された。ただし,ケン化度98mol%の場合,熱溶融性が不十分になりプレス成形時に空隙の多い融着が不十分なシートしか得られなかった。フーリエ変換赤外分光分析より,ポリメタクリル酸メチルのカルポニル基とポリビニルアルコールのヒドロキシ基の間に水素結合が形成されていることが示唆された。
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