日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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47 巻, 3 号
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総説
総合論文
  • 松田 靖弘, 加藤 義尚, 田坂 茂
    2011 年 47 巻 3 号 p. 89-97
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    ポリアクリレートと金属との界面における相互作用を,ポリアクリレートが金属から受ける影響,金属がポリアクリレートから受ける影響の両面から検討した。金属に接触させたポリアクリレートの薄膜に対して,示差走査型熱量測定(DSC),誘電緩和測定を行うことで,金属が高分子に与える影響について調べた。ボリアクリレート中のカルボニル基と界面金属との相互作用によって,高分子鎖の運動性が低下した界面相の形成が見られた。一方で,高分子から金属への影響を調べるために低融点の合金を高温でポリアクリレーと機械的に混合することによって,両者のコンポジットを得た。このコンポジット中での金属の融解・結晶化挙動や構造をDSC,透過型電子顕微鏡観察,X線回折測定,レオロジー測定などから考察した。コンボジット中ではナノサイズの金属微粒子の形成が観測され,界面相での金属融点の低下が見られた。
研究論文
  • 浦濱 圭彬, 濱田 佑基, 岸 肇, 伊藤 慶子, 中村 吉伸
    2011 年 47 巻 3 号 p. 98-105
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    シリコーン粘着剤を用いて,プローブタック,動的粘弾性,パルス法NMRの測定を行ない,緩和スペクトルと動的粘弾性からタックの挙動解明を試みた。緩和スペクトルの解析結果からプローブタックの値はタッキファイヤの役割をするMQレジンの量,特にハードセグメント中に存在するMQレジンの量に依存することが明らかになった。このMQレジンの効果を接触過程と剥離過程に分けて解析するために,DMA測定を行った。接触過程でE'が10⁵Paになる温度を,WLF式により,プローブタック測定時の温度に換算した。また剥離過程では,プローブタック測定温度は,DMA測定では-70℃ほど低温に相当しており,温度が上昇すると,E'は単調に減少している。すなわち剥離過程から見ると,タックは低温ほど値が大きくなる。接触過程と剥離過程を合わせるとプローブタックは10⁵Paを示す換算温度で最大値を示すことになる。これはプローブタックの測定結果とよく一致している。
研究論文
  • 鉄本 卓也, 後藤 康夫
    2010 年 47 巻 3 号 p. 106-112
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    水系アクリルエマルションに単層カーボンナノチュー (SWCNT) を導入したコンポジット粘着剤を作製した。 SWCNT の分散過程において,カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびルチンを共添加すると水媒体への微分散が可能であることが明らかになった。透過型電子顕微鏡観察および電気抵抗測定より,作製したコンポジット中, SWCNTはエマルション粒子界面で偏在化していると推定された。マトリックスポリマーに対して SWCNT を0.43phr添加すると導電ネットワークの形成が確かめられ,1.41phr添加した場合,コンポジットの体積抵抗率は6.37×10⁰Ωcmであった。 SWCNT の偏在のため,低い SWCNT 含有量で低抵抗率を発現したことに加え,エマルション粒子間の強度の低い領域を補強することにより,高温下での耐クリープ剥離性やせん断強度も向上した。
技術論文
  • 藤本 泰史, 杉崎 俊夫
    2010 年 47 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    ナノインプリントプロセスは微細な凹凸を形成したモールドやスタンパーと呼ばれる版を材料表面に押し付けて,その微細凹凸を材料表面に転写させるプロセスであり,高精細な凹凸を形成できことからレジスト工程等の簡略化が可能である。我々はアクリル系粘着剤に紫外線硬化型樹脂を添加した化合物をフィルム状に塗布することにより,紫外線照射前は容易にスタンパーの微細凹凸を転写することができ転写直後に紫外線照射を行なうことで,微細凹凸形状を保持できる転写シートを開発した。また,紫外線硬化型樹脂と粘着主剤が直接反応することにより硬化物中に強固な架橋ネットワークを形成させ,プロセスに必要な耐熱性 (形状保持性) においても微細凹凸形状が維持できる材料であることを見出したので報告する。
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