日本接着学会誌
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48 巻, 7 号
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総説
技術論文
  • 長 広明, 芦田 恭典, 中村 修平, 清水 航, 村上 泰
    2012 年 48 巻 7 号 p. 237-247
    発行日: 2012/07/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    本論文は高温・高湿下における室温硬化型シリコーンの耐久性に関するもので,機械的強度および接着強度についても論述する。著者らは,EU指令による有機スズ化合物使用規制に則ったスズフリー新規硬化触媒の開発に成功している。新規硬化触媒または従来型硬化触媒を用いて作成されたシリコーンの耐久性と機械的特性を比較すると,前者を用いて作成されたシリコーンは後者より作成されたそれより優れている。新規硬化触媒は,硬化剤としてのチタンアルコキシドと硬化助剤としてのカルボン酸エステルをそれぞれ等モル配合により作成される。新規硬化触媒を用いて作成されたシリコーン複合体は,それとほぼ同等組成である市販シリコーン複合体と同等以上の機械的性質と接着性を示し,チタンキレート硬化触媒で作成されたシリコーンより優れた機械的性質を示す。補強性フィラーであるアエロジルと増堂剤としての粉砕型炭酸カルシウムを選択的に組み合わせて作成したシリコーン複合体は,優れた高温・高湿特性を示す。
研究論文
  • 中野 博子, 関口 泰久, 沢 俊行
    2012 年 48 巻 7 号 p. 229-236
    発行日: 2012/07/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    静的曲げモーメントを受けるスカーフ接着継手の接着界面での応力分布を二次元および三次元有限要素法により解析した。スカーフ角,接着層の縦弾性係数と厚さが接着界面応力分布に及ぼす影響を調べ,その結果界面端部の特異応力は接着層の縦弾性係数が増加するほど,接着層厚さが薄くなるほど減少することが分かった。三次元FEM解析で得られた界面端部の特異応力は二次元FEM解析のそれより大きいことも示された弾塑性FEM解析を用いて継手破断時曲げモーメントを予測した。FEM解析結果を確かめるために,被着体のひずみと継手破断時曲げモーメント測定実験を行った。ひずみと継手の破断時曲げモーメントの測定結果は三次元FEM解析で得られた結果とかなりよく一致し,スカーフ角約60oで破断時曲げモーメント(細i手強度)が最大になることを示した。
研究論文
  • 山田 雅章, 加藤 隼人, 滝 欽二
    2012 年 48 巻 7 号 p. 222-228
    発行日: 2012/07/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    油状成分を多く含み接着が阻害される木材に適応可能な接着剤を開発するため,ケン化度の異なる5種類のPVAを用い,単独系とブレンド系における水溶液の貯蔵安定性,油状成分の分散性能,木材接着性能を 検討した。親水基量が多く結晶性が高い完全ケン化PVAは単独ではすぐにゲル化してしまうため貯蔵安定性が悪いが,疎水基量の多いPVAとブレンドすることにより,粘度の上昇およびゲル化の抑制ができた。疎水基量が多いPVAほどpMDIやヒノキ精油の分散性能が優れている傾向が見られた。また,疎水基量がほぼ同等の単独系とブレンド系を比較すると,ブレンド系の方が油状成分分散性が良好であった。ヒノキ精油を塗布した木材試験片による木材接着性能において,pMDI未添加系では単独系とブレンド系に大きな差は見られなかったが,pMDI添加系ではブレンド系は単独系よりも接着性能が優れており,ケン化度の異なるPVAのブレンドにより,油状成分を多く含む難接着木材の接着性が大きく改善できる可能性が示唆された。
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