日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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49 巻, 10 号
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総説
研究論文
  • 中野 博子, 大宮 祐也, 関口 泰久, 沢 俊行
    2013 年 49 巻 10 号 p. 370-380
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2016/07/31
    ジャーナル フリー

    静的曲げモーメントを受ける接着界面で部分的に接着されるバンド接着スカーフ接着継手(接着長さ一定の場合)の接着界面応力分布を三次元FEM解析により明らかにし,異種材料被着体の縦弾性係数比E1/E2が小さくなるほど,接着層縦弾性係数E3が大きいほど,接着層厚さtnが大きいほど,接着領域数Nが小さいほど,接着界面に生じる最大主応力は小さくなった。スカーフ角θが約60˚で接着界面端部の最大主応力は最小になった。バンド接着の位置に関連して部分的に一様な荷重が作用する場合には,バンド接着部分が効率的に外荷重を負担することが示された。これらの結果と静的引張り荷重を受ける場合と比較し,特性の差異を明らかにした。ひずみに関するFEM計算と測定結果がかなりよく一致し,破断時曲げモーメント測定実験の結果と強度推定結果がかなりよく一致し,本研究の解析の妥当性を示した。接着長さ一定の場合には曲げに対して被着体幅の影響が大きいことも示した。

研究論文
  • 佐藤 武, 佐々木 宗夫, 池田 能幸, 木本 正樹
    2013 年 49 巻 10 号 p. 363-369
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2016/07/31
    ジャーナル フリー

    M-CAS溶液中において,TEOSのゾル―ゲル法により作製したM-CAS/シリカ複合膜の水滴接触角は120°となりM-CAS膜の95°と比べて,撥水性が向上した。さらに,シランカップリング剤であるHMDSを使用することで,シリカ微粒子表面にナノメートルオーダーの凹凸が形成され,水接触角が155°であり転落角が3°である超撥水性の塗膜が得られた。しかし,耐摩耗試験後の塗膜の接触角は急激に低下し60°前後となり,耐久性に劣ることがわかった。UV照射によりポリマーを架橋すると,水接触角が130°前後の撥水膜が得られ,耐摩耗試験後でも水滴接触角は110°前後を示した。複数回塗布することで水接触角は向上し,4回以上の塗布で水接触角が154°を示す超撥水性塗膜を得ることができた。さらに,耐摩耗試験後の塗膜の水接触角は130°前後であり,耐摩耗性に対する耐久性が向上した。複数回塗布しUV照射により塗膜を硬化することで表面凹凸構造を維持し,かつ架橋によりマトリクスであるポリマーの硬度を高めることができ,耐久性を有する撥水膜が得られた。

研究論文
  • 吉田 瞬, 水越 由嘉, 木原 幸一郎, 磯野 宏秋, 杉林 俊雄
    2013 年 49 巻 10 号 p. 357-362
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2017/09/09
    ジャーナル フリー

    エポキシ樹脂を用いた接着継手において,表面粗さ及びぬれ性を一定とした被着体の曲げ剛性値が接着強度に及ぼす影響を明らかにするため実験的に評価した。本報告では試験片形状を単純重ね合せ継手とし,被着体にはアルミニウム合金A2017とステンレス鋼SUS304を用いた。接着面はA2017及びSUS304共に無加工のロール面とした。被着体は形削り盤により板厚を調整し,その曲げ剛性値を任意に変化させた。実験より,被着体の曲げ剛性値が破断時の負荷荷重を被着体の断面積で除した接着継手強度に及ぼす影響はほとんどないことを示した。それに対して,破断時の負荷荷重を接着面積で除した接着強度は,曲げ剛性値と相関関係があることを示した。すなわち,被着体の曲げ剛性値,接着面の表面粗さ及びぬれ性を一定とした被着体を用いた接着継手は,接着強度がほぼ等しくなることを示した。.

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