シランカップリング剤の添加方法が,シリカ粒子充てんスチレンブタジエンゴムの力学特性におよぼす影響について検討した。前処理法とインテグラルブレンド法を比較した。メルカプト基含有シランカップリング剤でアルコキシ基の数が2の場合,前処理法の200%モジュラスがより高かった。これに対して3では,インテグラルブレンド法の方がより高かった。この理由は以下である。アルコキシ基数2の前処理法では, シラン鎖はシリカ表面で直鎖状に成長するので,これとゴム分子鎖との絡み合いが起こりやすい。アルコキシ基数3のインテグラルブレンド法では,ネットワーク形成とゴム分子鎖との絡み合いが同時に進行する。 その結果,いずれも補強性の高い界面領域が形成したものと考えられる。ポリスルフィド系シランカップリング剤の場合の200%モジュラスは,インテグラルブレンド法より前処理法の方が高く,シラン分子中のイオウ原子の数が2より4の方がわずかに高かった。シラン分子中のイオウ原子が加硫反応に関与し,イオウ原子の多い方がこの効果がより高かったためである。未加硫ゴムの1Hパルス核磁気共鳴分析から,複合材料のシランカップリング剤による補強性を推定できることが分った。
PP/セルロース複合材料に関して無水マレイン酸変性PP(PP-MAH)の共存による力学特性の変化を検討し,PP/タルクおよびPP/CaCO3複合材料と比較した。これらPP/フイラー複合材料においてはPP-MAHの共存によってPP/フィラー界面が接着している。また,PP/セルロース複合材料の引張降伏応力は,PP-MAHの共存によって向上する。この向上の程度は,代表的な鉱物系フィラーであるタルクやCaCO3よりも高かった。 弾性率は,フィラーの種類にかかわらず,PP-MAHの共存によってはほとんど変化しなかった。また,PP/フィラー複合材料の衝撃強度は,セルロース系<タルク系<CaCO3系の順であった。一方,PP/フィラー/PP-MAH複合材料の衝撃強度はフィラー種によらず,ほぼ同一であった。 これらのことから,セルロースは,相溶化剤を用いることで,PP補強材としての特性を一層高く発揮できるが,強靭性の向上には更なる課題があることが明らかとなった。
半導体パッケージ製造時のプロセス材料としてダイシング・ダイポンディングテープ(フィルム状粘接着材)を用いているが,小型化・薄型化に伴いシリコンチップとの界面接着強度の向上が求められている。そのためシランカップリング剤を添加し界面接着力を向上させているが,その分散状態と接着特性との関係は十分に解析されていない。そこで,本報ではシランカップリング剤の分散挙動および接着特性との関係を解析した。 シランカップリング剤の分散状態はX線光電子分光法(XPS)及びC60イオンによるスパッタリングを用いることで解析した。XPS測定の結果,シランカップリング剤の構造やその添加量により,表面近傍におけるシランカップリング剤の分散状態が異なる傾向を示した。さらに,せん断強度の測定および破壊状態の観察から表面から深さ方向におけるシランカップリング剤の分散状態が,接着特性を制御するためのポイン卜であることが示された。