アクリル系ブロックコポリマーのプローブタック試験時の剥離挙動を高速マイクロスコープで観察し,剥離速度と温度の影響を検討した。試料はポリメタクリル酸メチル-Block- ポリアクリル酸ブチル-Block- ポリメタクリル酸メチルトリブロックコポリマーのハード成分含有量が23と16wt%のMAM-23 と MAM -16,および MAM-23 と同成分のジブロックコポリマーの 1/1 (w/w) 混合物のMAM-23/MA(ハード成分含有量 : 15wt%)の3種類を用いた。23℃,剥離速度10mm/sでは,剥離挙動は3種類に分類された。Type-A: プローブのエッジ部から中央に弾性的に剥離が進行した (MAM-23)oType-B: プローブのエッジ部から中央に弾性的に剥離が進行した。未剥離部分の外周部にキャビテーションが発生した (MAM-16)oType-C: プローブのエッジ部にキャビテーションが発生し,これがプローブ中央に広がった。剥離は起こらなかった(MAM-23/MA)o剥離速度の低下 (1 mm/s) あるいは温度の上昇 (40℃)により,MAM-23 はType-AからType-Bに変化し, MAN-16 および MAM-23/MA はそのままであった。MAN-16 と MAM-23/MA は同等のハード含有量であるのに剥離メカニズムは大きく異なった。MA のソフトブロックは片末端がフリーであるので高い変形性を有している。 このために MAM-23/MA は,剥離の歪エネルギーをキャビテーション発生による変形で緩和し,界面の接着性を高めていた。
エポキシ樹脂を用いた接着継手の接着面における表面性状が接着継手強度に及ぼす影響を明らかにするため実験的に検討した。 本報告では試験片形状を単純重ね合せ継手とし,被着体はアルミニウム合金A2017とステンレス鋼SUS304とした。接着面はガラスビーズを投射材としたショットブラスト加工により任意の表面性状とした。表面性状の評価には三次元で評価を行う ISO 25178-2:2012 (E) を用いた。 接着面は三次元表面性状パラメータであるスキューネス(Ssk), クルトシス(Sku)及び負荷面積率(Smr1, Smr2)の値それぞれをほぼ一定とし,表面粗さ(Sa)を変化させた。 実験より,接着面の表面粗さ(Sa)が接着継手強度に及ぼす影響はほとんどないことを示した。さらに,接着面の表面粗さ(Sa)の影響がほとんど無い粗さ領域において,被着体の剛性を含む材質の違いが接着継手強度に及ぼす影響を示した。