日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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49 巻, 7 号
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総説
研究論文
  • 中野 博子, 大宮 祐也, 関口 泰久, 沢 俊行
    2013 年 49 巻 7 号 p. 249-259
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2016/07/31
    ジャーナル フリー

    静的引張り荷重を受ける異種材料被着体によるスカーフ接着継手の接着界面での最大主応力分布を二次元および三次元FEMにより解析し,接着界面最大主応力は三次元結果の方が大きいことを示した。接着長さ一定の場合と,被着体幅一定とした2つの継手形態の場合の接着界面最大主応力分布の差異は小さいことを示した。異種材料被着体の縦弾性係数比が小さくなるほど,接着層の縦弾性係数が大きくなるほど,および接着層厚さが薄くなるほど接着界面最大主応力は小さくなった。三次元FEM計算では,2つの継手形態に対し,スカーフ角が約60°において界面端部で発生する最大主応力は最小になった。ひずみ測定実験を行い,FEM結果と測定結果はかなりよく一致した。FEM計算により継手強度推定を行い,実験結果とかなりよく一致した。継手強度はスカーフ角θが約60°で最大になること及び被着体幅一定の継手強度が接着長さ一定の場合よりやや大きいことが示された。

研究論文
  • 大関 良雄, 古市 浩朗, 野村 里佳, 荒井 聡
    2013 年 49 巻 7 号 p. 244-248
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2016/07/31
    ジャーナル フリー

    アクリル系紫外線硬化型接着剤の中で,室温の弾性率が比較的高く,高いTgを特徴とする接着剤は界面への応力集中により,十分な接着強度が得られない傾向がある。そこで,平坦及び鋸歯状の2種類の金属被着体Znを用意し,被着体表面の形状が及ぼす初期の接着性及び信頼性への影響について検証した。その結果,被着体表面の形状を鋸歯状とすることで,初期の接着強度は大幅に向上し,破壊モードは界面破壊主体のモードから界面破壊と凝集破壊の混在モードへと移行した。一方,信頼性試験後の接着強度は鋸歯状の影響により強度劣化の速度が加速して大幅に低下し,破壊モードは60℃90%RH環境下の放置時間とともに界面破壊のみへと移行することが分かった。この強度低下の原因の一つは,接着剤の吸湿膨潤による力が鋸歯の形状により引き剥がすように作用したためと考えられる。高信頼化のためには,接着剤の吸湿膨潤率の低減及びストレス耐性の向上が重要である。

研究論文
  • 中村 吉伸, 福田 知由, 仮屋 瑛二, 藤井 秀司
    2013 年 49 巻 7 号 p. 237-243
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2016/07/31
    ジャーナル フリー

     溶融混練で作製されるポリメタクリル酸メチル (PMMA)/ポリビニルアルコール (PVA)ブレンドは,動的粘弾性測定による損失弾性率にはそれぞれの成分に基づく2つのピークが出現し,非相溶系であることを示している。高温側に出現する PMMA に基づくピークは,PMMA 単独のピークより高温にシフトし,この効果は PVA のケン化度が高いほど顕著であった。示差走査熱量測定から PMMA/ポリ酢酸ビニルブレンドは非相溶系であった。PVA 中の酢酸残基と PMMA の低い相溶性が,ケン化度の低い PVA で損失弾性率のピーク温度を高める効果が低かった原因である。分子軌道法による成分モノマーユニット中の原子の電荷の計算結果から,PMMA のカルボニル基と PVA のヒドロキシ基間の強い分子間相互作用が示唆された。1分子中にカルボニル基とヒドロキシ基を有する低分子化合物を,相溶化剤として PMMA/PVAブレンドに添加すると分散性が著しく向上した。

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