エポキシ樹脂/リン含有高分子量フェノキシ樹脂混合硬化物は,良好な絶縁信頼性と比較的高いピール強度を維持しつつ,熱プレス時のフロー性を大幅に低減改良できることがわかり,高分子量化の効果を確認することができた。これにより,一連の研究中で最も優れた特性のハロゲンフリーFPC接着剤用樹脂組成物を調製することができた。
セラミックス基繊維強化複合材料(CMC)に生じる繊維-マトリックス間の界面はく離は,この材料の靱性改善に関わる主要なメカニズムである。本研究では,CMCの界面はく離を表現した制約条件付き有限要素モデルを提案した。このモデルは,節点における変位の等価性や接触力のつり合いを仮定し,これを制約条件として数値解を求めるものである。利点として,従来の接触問題における繰返し計算を必要とせず,わずか一回の計算で解が得られる。本モデルを,界面摩擦として(ⅰ)クーロン摩擦が生じる場合,および(ⅱ)一定の界面せん断応力が働く場合に対して定式化した。その結果,はく離領域における繊維およびマトリックスの応力分布は理論解と良く一致した。さらに,界面損傷を扱う代表的な有限要素である結合力要素についても本モデルによる定式化を図った。その結果,はく離領域における力学挙動が現象に合致して定性的に表現できることを確認した。
アクリル系ブロックコポリマーや架橋型アクリル系粘着剤のプローブタック試験時の剥離挙動を高速マイクロスコープで観察した。その結果,タックの応力-変位カーブの最大値付近でキャビテーションの発生なしに剥離が進行する(A),未剥離部分の外周部にキャビテーションが発生する(B),プローブ全面にキャビテーションが発生する(C)の3つのパターンがあり,C>B>Aの順にタックが高かった。架橋型アクリル系粘着剤の架橋度を変化させて90°ピール試験時の糸曳き挙動を観察した結果,鋸歯状の糸曳きが観察されたが,ある架橋剤濃度において先端に縁を有する「縁あり型」が見られた。この場合,ピール強度がもっとも高くなった。タック試験におけるキャビテーションの発生や90°ピール試験における縁ありの鋸歯状糸曳きの生成は,粘着剤層内部の変形による応力の緩和が効果的に起こることが原因で,剥離の進行を抑制している。粘着強さを高めるためには,これらを積極的に生成させることが必要である。