都市ガス雰囲気下におけるシール部材の劣化機構を明らかにするため,膜式ガスメーターの10年使用品,20年使用品および30年使用品を市場から回収し,それらの分解調査を行った。その結果,ガスメーター用途でのダイヤフラムの経年劣化の主要因は温度であり,ゴムの硬化・収縮により基布が引っ張られた結果,ダイヤフラムの周辺部に「しわ」が形成されることを見出した。この故障モードはダイヤフラムの破断や亀裂の発生よりもはるかに前段階であり,ダイヤフラムの物性や形状が一定量変化した時点であると考えられる。また,バルブシート用シール剤の経年劣化の主要因は,シール剤材料の組成変化(分解や酸化劣化など)でなく,その形状変化であることを見出した。実機を模擬した試験片の熱加速試験の結果から,シール剤に含まれる混合溶剤の揮発に伴う形状変化は,市場設置後数年以内に安定化することを明らかにした。
コンクリート表面にセメントモルタルを塗り継ぐ際,予め下地面にポリマーディスパージョン(PD)を塗布する工法は1965年頃から行われてきた。本試験は1971年当時,この用途の市販PDを用いて打継いだセメントモルタル供試体につき,札幌,筑波,大阪で最長10あるいは6年間の屋外暴露を行い,曲げ試験方法で接着強さの経年変化を評価した。本試験の結果,この用途のPDには良好な耐久性が必要であり,耐久性に優れたPDの種類を見出した。接着強さに暴露地や暴露期間が影響する。得ることが可能な最大の曲げ接着強さを曲げ接着強さと接着モルタルの曲げ強さを対比させて求めた。
粘着特性の現象把握や物理的・化学的・機械的特性を明らかにするために,計測・分析・試験方法の高分解能化と高精度化を図った。本研究では,剥離試験時の剥離現象の観察や球転法による粘着特性の考察を実施し,さらにせん断特性試験の高分解能化と静的粘弾性特性の評価技術の開発を行った。試作した剥離現象観察装置により,アクリル系の粘着剤では架橋剤の添加量によって剥離点での粘着剤の変形状態が異なることを観察することができた。タック試験として使用されている球転法では,試験条件によっては,試験中の球の鋤起こし効果によって球の自重より大きな押しつけ力が粘着面に働くことが分かった。粘着剤の微小せん断変形特性の評価を目的として,最高分解能0.08nmで測定可能な測定装置を開発した。この試験装置は,負荷時間の経過に伴う実試料の微小変形領域における静的粘弾性特性の評価に有効であることを確認した。