機能性添加剤としてビス(4-ヒドロキシメチルフェニル)アセチレン(SU)を用い,ポリ(カプロラクトン)(PCL)の混合物に,種々の方法で多官能性イソシアネート(MFI)を加えた成形体の作製を行った。さらに成形体に対するMFIの添加効果をアセチレンユニットのラマンスペクトルの測定により調べた。MFIを加えない場合,成形体の表面へのSUの凝集の可能性が示唆された。MFIとSUとPCLを同時に混ぜて成形した場合,成形体全体へのSUの分散が示唆された。これに対し,MFIとSUとの反応により得られたプレポリマーをPCLに加えて成形体を作製した場合,プレポリマー同士の凝集に由来すると考えられるSUの偏在が観測された。また,MFIを用いることにより,ミクロトームによる面出し処理の前後でのSUのシグナルの大きさの変化が小さくなった。これらの結果から,成形体における機能性添加剤の分布は成形体の作製方法に大きく依存することがわかった。
一定架橋度のアクリル酸を5wt%含むアクリル酸n-ブチル-アクリル酸ランダム共重合体(A)およびアクリル酸2エチルヘキシル-アクリル酸ランダム共重合体(B)について,90°剥離試験時の糸曳き挙動の粘着剤層厚さ依存性(15~60μm)を一定荷重剥離で検討した。糸曳きはすべて鋸歯状で,Bは粘着剤層厚さに依存せずすべて縁あり型であったが,Aは30μmのみで他は縁なし型であった。両系とも粘着剤層厚さにともなって剥離速度は低下したが,45μm以上で飽和した。剥離速度と粘着強さに相関があることから,粘着強さは粘着剤層厚さにともなって上昇し,一定厚さ以上で飽和することを示唆している。Bについてこの原因を考察した。粘着剤層厚さにともなって鋸歯の間隔が増加した。これにより鋸歯1本に負荷する応力が増加し,界面の密着性を低下させるので剥離速度を上昇させる因子である。また,粘着剤層厚さにともなって糸曳き幅が増加した。応力を担う部分の面積を増加させて単位面積当りの応力を減少させるので,剥離速度を低下させる因子である。これらの因子の相対的な寄与によって剥離速度が決まるものと考えられる。