3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)を1%水溶液として調整後,鋼板上に塗布・乾燥し,それを表面からToF-SIMSにて調査した。GPSに起因するシロキサン構造からの派生フラグメントの質量が,水溶液混合後の時間経過とともに増加した。これは水溶液中での自己縮合に起因すると推定され,特に48時間以上の経過でより高分子成分のフラグメントが観察された。同時に,鋼とGPS間の結合に起因するフラグメントは混合後48時間以上で大きく減少した。自己縮合によるGPS分子の高分子量化は,溶液塗布時の吸着を阻害し,鋼との結合を減少するものと推定される。
一般に,接着界面の劣化(環境的因子:熱,光,水分,応力的因子:クリープ,疲労などがある)は,接着剤自体,接着剤と被着体の接合界面,被着体自体で生じるため,接着剤と被着体の組み合わせでの評価が重要となる。例えば,熱劣化では,熱による接着剤自体の熱分解や被着体表面の変質,酸素による接着剤自体の酸化劣化や接着界面における結合の切断,および被着体表面の酸化層の形成,などが挙げられる。経験的には,長期熱劣化の寿命予測法としてアレニウスプロットがあるが,その際,①測定結果を直線近似などで単純化する,②安全サイドで推定するが,鉄則である。他方,水分の劣化要因として,①接着界面に水分が拡散し,接着界面の結合を破壊,②水分による被着体の腐食,③接着剤中に水分が拡散し,接着剤自体の可塑化,④接着剤自体の加水分解,がある。水分による劣化予測も熱劣化と同様,水中浸漬試験の結果を元にアレニウスプロットする。接着部の吸水率からの推定,有限要素法を用いた解析も進められている。これら,接着界面の劣化や評価法に関しては,原賀による先駆的な報告があり,ご参照いただきたい1)。本稿では,ゴム系粘着剤における一般的な劣化メカニズム,並びにブリード劣化の要因となる相溶性の評価法について解説する。また,接着界面特性における経時変化と対策法の事例を紹介する。