ポリウレタンエラストマー(PUE)のブレンドによりエポキシ硬化物の脆弱性を改質可能であるが,PUEによる可とう化により弾性率やガラス転移温度(Tg)等の低下が起こるため,ハードセグメント含有量を増加させたポリウレタン樹脂(PUR)に着目して,熱的特性等の低下を抑制しながら物性を改質することを試みた。分子量1000のポリオキシテトラメチレングリコール,4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート及び1,4-ブタンジオールのモル比を変化させたPURをエポキシ中で合成し,それら添加量とハードセグメント含有量を変えた硬化物の諸物性を測定して検討した。硬化は潜在性硬化剤のアジピン酸ジヒドラジドを用いた。測定は,接着物性,曲げ物性,破壊靭性測定,動的機械分析(DMA)及び破断面の走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。硬化物の物性結果から,ハードセグメント含有量の増加とともに,接着性や強靭性が向上することを認めた。破断面のSEM 観察から,いずれの系も海島型のミクロ相分離構造を形成しており,ハードセグメント含有量の増加は,PUR粒子径を微細化する傾向を認めた。これらの結果から,高ハードセグメントのポリウレタン樹脂添加は,エポキシ硬化物の改質の可能性を認めた。
粘着剤層厚さが約15~60μmの架橋アクリル酸n-ブチル-アクリル酸ランダム共重合体(A)および架橋アクリル酸2エチルヘキシル-アクリル酸ランダム共重合体(B)について,プローブタック試験の結果から濡れ挙動におよぼす分子構造の影響を考察した。タックの温度依存性から,粘着剤層厚さとともにタックは上昇した。タックは界面の密着性と粘着剤の凝集力に依存するが,粘着剤層厚さの増加はこれらの両方を向上させる。界面の密着性は,さらに物理的濡れと化学的相互作用によるものの2つに分けられることが分った。物理的濡れは接触時間とともに徐々に進行し,その効果はB>Aであった。1Hパルス核磁気共鳴法による20℃の分子運動性がB>Aであったことは,これを支持している。化学的相互作用は比較的短い接触時間で発現し,その効果はA>Bであった。水/トルエン界面の界面張力低下能はA>Bであったことが,これを支持している。粘着剤層厚さの増加は,物理的濡れのみを向上させた。タックの温度依存性で,40℃以下のタックはA>B,40℃以上では逆であった。化学的相互作用は低温,短時間でも発現し,物理的濡れは高温で促進されるためである。