非相溶ポリマーブレンドのモデルとして,シード乳化重合法で作製した架橋度の異なるポリメタクリル酸n-ブチル( PBMA) 粒子を分散させたポリ塩化ビニル( PVC) を作製した。すべての架橋PBMA粒子の平均粒子径は0.9 μm であった。PBMA とPVC は相溶するが,粒子中の架橋点により両ポリマーの相互拡散は界面層に限定される。動的粘弾性測定や破断表面の走査型顕微鏡観察から,この系にはPVC連続相( A),PBMA( B),架橋に分子運動が抑制されたPBMA( C),およびPVCとPBMA分子の相互拡散による界面層( D) の4つの相が存在すると仮定した。1H パルス核磁気共鳴法で各相のプロトン比を測定した。B,C およびD がドメインを形成し,添加した平均粒子半径の0.45 μm との差を界面層の厚さと考え,プロトン比からこれを計算した。その結果,界面層の厚さは17 から98 nm の範囲であり,粒子中の架橋度の低下にともなってより厚くなった。これは,非相溶系ポリマーブレンドの界面層の厚さとして報告されている値の約10 倍であった。粒子中の架橋により相互拡散が抑制されているが,PBMA とPVC が相溶系のためであると考えられる。
接着接合は他の接合方法にない多くの利点,例えば軽量化,異種材料間接合が可能,応力集中の緩和が可能などの特徴を持ち,自動車や航空機などの大荷重が加わる機械にも頻繁に適用されつつある。しかし,接着層の端部には応力集中が生じやすく,継手強度を相対的に低減している。従来からある応力緩和手法としては,継手の幾何学的形状の変形による手法が有り,この手法は強度の向上に有効であるが,自動化や低コスト化が難しい。被着体の変形を伴わない手法として,接着層に弾性率の異なる接着剤を複数用いる手法が提案されているが,実験的にこの応力分布を調べた研究はほとんどない。本論文では,接着層の端部と中央部を異なる接着剤で塗り分けた試験片を作製し,その引張試験を行った。この時,デジタル画像相関法により接着層および被着体のひずみ分布を測定し,さらにこの応力分布を計算した。この結果,接着層両端部の軟質接着剤層が長くなるほど応力集中が緩和することを確認した。