本研究では,反応性を有する置換基を側鎖に含むマレイミド共重合体を合成し,後重合反応を利用した熱硬化挙動およびこれら硬化系の金属に対する接着特性について検討を行った。まず,N-アリルマレイミド(AMI)とアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)あるいはn-ブチルビニルエーテル(BVE)のラジカル共重合により3 種類の共重合体を合成し,1H NMR スペクトルより共重合体中の繰り返し組成を決定した。解析の結果より,25mol%および37mol%のAMI 単位を含む2EHA とのランダム共重合体(PAE-25 およびPAE-37)と55mol%のAMI 単位を含むBVE との交互共重合体が生成していることがわかった。側鎖に反応性アリル基を有するこれらマレイミド共重合体はいずれも330℃以上の高い熱分解開始温度を示した。側鎖アリル基の熱硬化反応ならびに多官能チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトブチレート(PEMB)とのエン- チオール反応を利用した熱硬化反応を行い,140-160℃での加熱によって架橋構造が形成され,不溶化が進行することを確認した。IR スペクトルから決定したアリル基の反応率は約60%であったが,トリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加することで反応率が向上することを見出した。これら共重合体のエン-チオール反応による硬化物を接着剤として用いたステンレス鋼( SUS)板間の接着強度は4.3-5.2 MPa であり,TAIC を添加して同様の反応を行うと接着強度は6.4 MPa まで向上した。
ポリメチルメタクリレート-b-ポリnブチルアクリレート-b-ポリメチルアクリレート( PMMA-b-PnBA-b-PMMA) トリブロックコポリマー( BCP)/エポキシ樹脂/芳香族アミンの硬化物のナノ相構造と破壊靭性との関係を研究した。BCP のアミンへの加熱溶解によりPMMA ブロック鎖にカルボン酸をin-situ 生成することができる。このカルボン酸量を制御することで同一組成物から3 種の異なるナノ相構造,すなわち湾曲ラメラ構造,ワーム状ミセル/ ベシクル共存構造,球状ミセル構造を形成させた。破壊靭性はワーム状ミセル/ ベシクル共存構造が最も高く,K1c=2.5MPam1/2 とBCP 無添加のエポキシ樹脂硬化物に対して210%向上した。破断面を光学顕微鏡とSEM にて観察し,強靭化機構を考察した。