日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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57 巻, 9 号
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総説
  • 伊藤 祥太郎
    2021 年 57 巻 9 号 p. 370-375
    発行日: 2021/09/01
    公開日: 2024/11/06
    ジャーナル フリー

    Some of azobenzene-based low-molecular-weight compounds and polymers exhibit reversible solid–liquid

    phase transition upon UV and visible light irradiation. Such materials possess multi-azobenzene side chains

    connected to their backbone with relatively long methylene spacer, and thus, upon UV irradiation, the material

    with cis-azobenzene moiety become liquid due to its glass transition temperature below room temperature.

    The phase transition materials can be used for reversible adhesives that can bond and debond two substrates

    on demand. The photochemical process has unique features such as athermal, contactless, and spatio-seletive

    activation, although the one of the two substrates must penetrate irradiating light. In this review, azobenzenebased

    solid–liquid phase transition materials are reported with a focus on the relationship among the chemical

    structure, solid–liquid phase transition behavior, and reversible adhesive ability.

研究論文
  • 梶 正史, 甲斐 智美
    2021 年 57 巻 9 号 p. 363-369
    発行日: 2021/09/01
    公開日: 2024/11/06
    ジャーナル フリー

    アミド構造を持つエポキシ樹脂( DGBA) を 4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル( DHDE) と反応させ

    て得られる硬化物の物性を評価した。DGBA は202.9℃の融点を持つ結晶性の硬化物を与え,ジフェニレン

    エーテル構造のエポキシ樹脂( DGDE) の硬化物の融点よりも 15.5℃高くなった。また,DMA測定における

    DGBA 硬化物のTg は133.2℃であり,DGDE 硬化物に比べて37.3℃高い値を示した。さらに,ガラス状態

    のCTE は2.7 × 10-5 °C-1 と大幅な低熱膨張性を示すとともに,熱伝導率は0.29W/m・K であり,ビスフェノー

    ルA 型樹脂に対して1.45 倍の値を有していた。

総合論文
  • 堀内 伸
    2021 年 57 巻 9 号 p. 348-354
    発行日: 2021/09/01
    公開日: 2024/11/02
    ジャーナル フリー

    様々な電子顕微鏡手法を駆使することにより,接着界面の直接観察と破壊面の詳細な観察,解析を検討し,

    接着特性に影響を及ぼす分子レベルからマイクロメートルスケールの構造因子を明らかにした。金属と樹脂

    との直接接合では,金属表面に形成したナノサイズの孔からなる3次元構造を走査透過型電子顕微鏡( STEM)

    -トモグラフィーによりに明らかにし,高分子鎖が侵入することにより形成する金属と高分子のナノレベルの

    凝集界面構造が強靱な界面層となることを解明した。また,高分子/ 高分子の融着では,10 nm 程度の相互拡

    散層内の分子鎖絡み合いが界面靱性を決定し,高分子鎖絡み合いに由来する約20 nm の破断面構造を走査型

    電子顕微鏡(SEM)により明らかにした。金属/ 高分子の融着界面の破壊においても,同様の破壊パターン

    が現れることを見出し,高分子の低分子量成分の偏析により界面の靱性が得られることを明らかにした。

    1. 緒

研究論文
  • 日笠 茂樹
    2021 年 57 巻 9 号 p. 355-362
    発行日: 2021/09/01
    公開日: 2024/11/02
    ジャーナル フリー

    LLDPE / PA6 / 相容化材ブレンドは,積層フィルムをリサイクルしたプラスチックのモデルとして興味

    深い。本研究の目的は,LLDPE / PA6 / 相容化材ブレンドに関して,相容化材がブレンドの相構造や力学

    特性に与える影響を明らかにすることである。近似した量の無水マレイン酸を含有し,互いに構造の異な

    る非極性の主鎖を有する相容化材を用いた。相容化材は,LLDPE 中に分散するPA6 粒子を微細化し,衝撃

    強度を顕著に向上させた。この微細化や衝撃強度に関して,無水マレイン酸変性 SEBS( SEBS-g-MA) が,

    特異的に高い効果を示した。これら相容化材の無水マレイン酸含有量はほぼ近似していることから,相容化

    材の主鎖分子構造がLLDPE / PA6 / 相容化材ブレンドの粒子径や衝撃強度に大きく影響したと推察された。

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