日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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59 巻, 1 号
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総合論文
  • 岡本 敏彦
    2023 年59 巻1 号 p. 4-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/09/23
    ジャーナル フリー

    従来困難であった液状熱硬化性樹脂へのコアシェル型ゴム粒子( CSR) の均一分散を独自プロセスで達成し事業化した。CSR をエポキシ樹脂中に高濃度( 25%~ 45%) に均一分散させたマスターバッチ製品は,構造接着剤用のエポキシ強化剤として有効で,(1) 耐熱性を低下させずに接着強度が高い,(2) 広い使用温度範囲で耐衝撃性に優れる,(3) 硬化温度に依存せず安定した靭性改良効果を示す,等の特徴を有する。このCSR による耐衝撃性改良効果は,シェル層への反応性基導入により向上する。また,CSR による靭性改良効果は,1 液型および2 液型接着剤として評価し,いずれの場合も,エポキシ樹脂硬化物の架橋構造の制御で顕著に向上することを示した。

研究論文
  • 甲加 晃一, 日笠 茂樹, 織田 ゆか里, 川口 大輔, 田中 敬二
    2023 年59 巻1 号 p. 11-16
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/09/23
    ジャーナル フリー

    ポリプロピレン( PP)/ 無水マレイン酸変性ポリプロピレン( PP-g-MA)/ フィラー 3 元系複合材料の力学特性に及ぼす PP-g-MAの酸価および体積分率の影響を検討した。フィラーとして,球状のシリカ(SiO2)またはアルミナ(Al2O3) を用いた。複合材料のヤング率は,PP-g-MA の酸価および体積分率にほとんど依存しなかったが,引張降伏応力(σy) は依存し,系中の無水マレイン酸濃度(CMA) で整理できた。SiO2 系複合材料のσy はCMA とともにわずかに増加したが,Al2O3 系複合材料のσy はCMA とともに著しく増加した後,一定値に到達した。走査電子顕微鏡観察より,SiO2 表面上には分子鎖吸着層は形成されず,Al2O3 表面上には形成されることを明らかにした。吸着層厚から見積もったAl2O3 表面を被覆するのに要するCMA は,σy が一定値に到達する際のCMA とよく対応した。シャルピー衝撃強度のCMA 依存性もσy と同様に吸着層の影響を考慮することで説明できた。フィラーと変性高分子との界面接着制御が,複合材料の力学特性の向上に重要な役割を果たすことを明らかとした。

  • 飯倉 寛晃, 扇澤 敏明
    2023 年59 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/09/25
    ジャーナル フリー

    一般に固体の一部を液体に浸漬させると,接触線近傍の液面が上昇しメニスカスが形成される。低粘度液体において,メニスカスの形成が固体の表面形状に強く依存することが知られているが,粘着剤の主成分である粘弾性体を用いて研究した例は少ない。そこで本研究では,粘弾性体( 高粘度液体) であるブタジエンオリゴマーが形成するメニスカスが固体表面の形状および曲率から受ける影響について,理論計算と実験の双方から検討した。その結果,低粘度液体と同様に固体表面の曲率が大きくなると,メニスカスのサイズがその曲率程度に制限されることがわかった。ラプラス圧をもとに算出した理論式は実験結果と比較的よい一致を示し,高粘度液体においても適用できることを明らかにした。

解説24.高分子合成・反応における最近の進歩
  • 三田 文雄, 曽川 洋光
    2023 年59 巻1 号 p. 25-33
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/05/02
    ジャーナル フリー

    置換ポリアセチレンは光電気機能を示す有用な機能性高分子であり,対応するアセチレンモノマーの遷移金属触媒重合により合成される。モリブデンやタングステン等の前周期遷移金属触媒は,一置換および二置換アセチレンモノマーを重合し,メタセシス機構により,主鎖二重結合の立体(シス・トランス)が制御されていない置換ポリアセチレンを与える。一方,ロジウムやパラジウムの等の後周期遷移金属触媒は,一置換アセチレンモノマーを重合し,配位挿入機構により主鎖二重結合がシスに制御された置換ポリアセチレンを与える。幾つかの金属触媒は置換アセチレンモノマーをリビング重合させ,分子量が制御された,分散度の小さい置換ポリアセチレンを与えるほか,鎖末端に官能基を有する置換ポリアセチレンの合成やブロック共重合体の合成を可能にする。ポリアセチレンに光学活性な置換基を導入,あるいは光学活性化合物を共存させることにより,外部刺激応答性や不斉増幅現象を示す一方向巻き優先の動的らせん構造を誘起できる。らせん置換ポリアセチレンは光電気材料,センサー,キラル認識材料,ポリマー触媒等への応用展開が期待される。

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