デザイン学研究作品集
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21 巻, 1 号
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  • 清水 忠男
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_2-1_7
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    室内の空間演出要素の中に額絵がある。通常の額絵は、平面上に顔料の塗布や素材の添付による表現を行い、自然光あるいは照明によって外側から照らされることによりその表現が視認されるが、照明が消灯している夜間の状況では、楽しむことができない。しかし、私たちの生活は、昼は明のとなるだろう。そこで、端部に白色LED光源を組み込んで全面を光らせるアクリル板上に、多様な和紙の平面あるいは立体造形を組み合わせ、外部からの光が得られる場合は陰影による素材感や立体感の違いによる構成を楽しみ、得られない場合はLED光源を点灯させ、プレート状光面上の和紙の透光性や色や植物繊維の見え方の違いを活かした構成表現を楽しめる額絵をデザインすることにした。また、そのシリーズ化に当たっては、同一デザインの製品が繰り返し生産できるよう適用製作手法を開発した。
  • 古建築群を核とした「よそ者デザイン集団」によるまちづくりプラットフォームの形成
    林 匡宏, 中原 宏
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_8-1_13
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    近年、地域活性化の手法や主体は様々であるが、街の持続的な発展を誘起するには総じて“はじまりのデザイン”が重要である。はじまりのデザインとは、取組の初動期におけるビジョニング、体制作り、空間デザイン、ワークショップ、プロモーション等、一連の地域デザインを指す。ここでの地域内外のプレーヤーによる「地域の魅力発掘」と「危機感の共有」が、その後の各種取組の推進力と持続力を決める鍵となる。
    本研究では、北海道江別市発祥の歴史を持つ古建築群を舞台に地域外のデザイナーと地元の活動団体、アーティスト、市民作家、農家、学生などが協働で地域デザインに取組むプラットフォームを形成した。このような活動を通して、大都市近郊の郊外都市において地域活性化に寄与する地域デザインのフローと要点を整理する。
  • 金箱 淳一, 楠 房子, 稲垣 成哲, 生田目 美紀
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_14-1_17
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    音と振動に関する研究は、その特性からバーチャルリアリティ、音楽療法までと幅広いが、聴覚障害者を主対象者として取り組んでいる研究は少ない。
    この問題に対して我々は、KIKIVIBEというデバイスを開発した。このデバイスは音情報を振動に変換して感じるデバイスである。5つのアクチュエータによって、指ごとに異なる周波数帯の振動を感じることができる。本デバイスに使用している圧電素子は、100Hz ~ 40kHzの周波数の再生が可能であり、低音域の周波数帯を再生するのに適しているため、音声情報を振動として感じることができる。
    本作品を発展させることで、聴覚障害者のリズム知覚能力を向上させ、音楽教育にも効果を発揮することが期待できる。
  • 佐藤 弘喜, 石川 和也, 堀江 大, 伊藤 弘基, 山根 生也
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_18-1_21
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    選挙活動において、選挙カーは活動の為の重要なツールである。しかし従来の選挙カーは、機能的に候補者のニーズを十分に満たしているとは考えにくい。また、選挙カーは一般市民にとって好ましい、魅力的な印象を持つ事も重要である。そこで、インタビューや実験などの調査に基づき、候補者の政策等を効果的に伝達できる選挙カーの開発を行った。
    現状の選挙カーの調査や、議員など利用者のインタビュー調査をもとに新たな選挙カーのニーズを分析し、デザイン案を制作した。採用候補とした複数のデザイン案に対して幅広い年代に評価実験を実施し、どのような選挙カーが好まれるかを調査した。実験結果の分析によってデザイン案を絞り込み、最終的に決定されたデザイン案に基づいて、実際に選挙カーの車輛が製作された(図1)。車輛は今後の選挙において利用される予定である。
  • 蛭田 直
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_22-1_25
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    本作品は、トラス構造の学習を中心に、算数、数学における数の数え方の学習から図形学習、幾何形体学習まで行えることで、教材の長期利用を実現した学習教材である。本作品は、数え棒の両端に磁石を、中央部分に鉄板と長さの比率を調整できるくぼみを設けることで、数の数え学習からトラス構造まで学習することを可能にした。(図1)学習者の成長段階と目的に合わせて長期利用できることから本作品を「ワン・トゥー・トラス」と名付けた。
    本作品は、1つのユニットで構成されているが、2本を組み合わせることで長さを伸ばすことができ、さらに複数本を組み合わせることで様々な図形や幾何形体、トラス構造による立体造形を行うことができる。
    本稿では、「ワン・トゥー・トラス」の開発の経緯と、その使用方法について解説を行う。
  • ─ NPO 法人奥入瀬自然観光資源研究会を事例として
    横溝 賢, 鮎川 恵理, 岩村 満
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_26-1_31
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    奥入瀬自然観光資源研究会は、青森県奥入瀬渓流のコケを観光資源化するべく活動している団体である。本研究では、同団体のNPO法人化に伴う組織デザインから法人のビジュアルアイデンティデザインまで展開したプロセスについて概説する。
    全体のデザインプロセスは、組織デザインにおいてワークショップを戦略的に活用し、①導入②知る活動③創る活動④まとめの4段階で組織化を行った。①導入と②知る活動では、メンバー間のビジョン統合作業を行い、③創る活動と④まとめでメンバー個々人の専門性を活かした枠組み─事業コンセプトを整理した。組織のビジュアルアイデンティティは、この事業コンセプトからデザインキーワードを抽出し、ロゴのデザイン展開を行った。
    ワークショップではメンバー自身が合意形成のプロセスを組み立てるようファシリテートした。これにより、組織の連帯性だけでなく自律性を形成することができた。また、メンバーとの事業コンセプトづくりによってビジュアルアイデンティティのコンセプトに関しても相互理解が深まり、ロゴデザインのコンセンサスまで円滑に進めることができた。
  • 金 尚泰
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_32-1_37
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    近年ハードウェアやネットワーク技術は飛躍的な発展を遂げているが、WEB環境の中リアルタイムで自由自在に閲覧できる3DCGコンテンツは数少ない。3DCGリアルタイムコンテンツは、レンダリング手法とデータ最適化の組み合わせをバランスよく考えなければならない。その中でも自然物表現は、リアルタイム3DCGコンテンツ制作に対して最も難しい素材である。3Dポリゴンデータは、直線しか存在しないため曲面を三次元空間に表現するためには、無数の短い直線をつなぎ合わせる必要がある。したがって外形に影響しないポリゴン削減アルゴリズムの開発は大きな課題になる。本研究では、3DCGのポリゴンデータ削減に重点を置き、様々なリアルタイム3DCGコンテンツ制作環境を構築する支援ソフトウェアMDD Creatorを開発した。3DCGソフトウェアに詳しくない人でも、リアルタイムにスライダーバーを調整するだけで対象ポリゴン形状の削減率を決める事ができる。さらに、最適化された3DCGモデルをHTML形式で保存し、様々なWEB用リアルタイム3DCGコンテンツ制作に応用できるようなソフトウェアに仕上げた。
  • 矢口 博之, 竹下 直幸, 中本 和宏, 水野 昭, 八杉 淳一
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_38-1_41
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    近年、ユニバーサルデザイン(以下UD)は多くの分野に広がり始めている。各種メディアや情報システムをはじめとするコミュニケーション分野においてもUDフォント、カラーユニバーサルデザインなどUDの考え方が普及してきている。
    本作品では、見やすさが実証されたUDフォント「みんなの文字」を基に、カレンダー専用フォントを作成し、高齢者や視覚障がい者にも見やすい暦をデザインした。数字自体の視認性を高め、暦としての機能性やユーザビリティを担保した上で、認知科学を応用して色だけに頼らない休日、祝日の表現などにより、カラーユニバーサルデザインへの対応も考慮した。開発に際し、試作品と他社製品を対象とした読み取りタスクによる視認性評価実験を行ったところ、本カレンダーの試作品が最も視認性が高いとの結果が得られた。
  • 柳橋 達郎, 中野 仁人, 池田 武文
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_42-1_47
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    科学研究者、デザイナー、市民の三者からなる「視覚デザインを活用した科学コミュニケーション活動モデル」を提言し、科学研究者とデザイナーの協同による視覚デザイン教材『環境マナビジュアル』を制作した。そして、この「マツ枯れ」を主題とした教材冊子を核に、実験・観察ワークショップを開催した。本稿では、その制作プロセスおよび実践を通じた共同開発の効果、視覚デザインによる科学コミュニケーション活動の変化について報告する。また、制作教材を、関連団体や有識者に提供し、その有益性を検証した。
  • ~東京藝術大学とノリタケの産学連携の取り組みから~
    谷村 秀, 井上 俊博, 高岡 尚加, 成田 史佳, 布下 翔碁, 山田 賀代
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_48-1_53
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    このプロジェクトは新たな洋食器デザインの在り方を提案するために、陶芸を専攻する大学院生と1年半の期間に渡り協議を重ね開発したものである。各々が思考する“生命感”を洋食器の形状に合わせてイメージ展開し、マスプロダクションに於ける商品として完成させた。さらに販売を想定して消費者の嗜好性分析も行う取り組みへと発展させた。アイテム構成はティーセットを主体とし、ボーンチャイナ(軟釉磁器)の持つ柔らかな色調と透光性のある生地に、転写紙絵付技術による焼成と金加飾による絵付技法を用いて、表現したものである。
  • 生田目 美紀, 永盛 祐介, 西岡 仁也
    2016 年 21 巻 1 号 p. 1_54-1_57
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    本システムは、基礎的な描画技法の学習活動を促進するためのツールとして研究開発したものである。システムは学習者が用いるタブレットPC用に開発された専用のソフトウェアと、指導者が用いるレビュー管理システムで構成されている。学習者はネットワークを用いることによって、授業の時間外に他者の作品を鑑賞し、互いに作品を評価し合うこと(ピアレビュー)ができる。本システムは「構図」「正確な形」「立体感」「質感」という4つの切り口から、気づいた内容をレビューとして記述したり、注釈等を作品上にスーパーインポーズすることができる。また、レビュー後はレビューに対するレビュー(バックレビュー)を受け取ることにより、ふりかえり学習をおこなう事ができる。本報告では本システムの紹介・開発過程・学生による評価を報告する。
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