デザイン学研究作品集
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25 巻, 1 号
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  • 青木 英明, 大内田 剛史, 仁多見 俊夫, 櫛 勝彦
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_2-1_7
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    日本国内の森林は、持続可能な環境資源として育成・維持・管理していくことが求められている。しかしその多くが地形急峻な山岳にあり、人力によって処理する作業が非常に多い。この人力作業の多さが労働環境過酷な林業現場での生産性と安全性を阻害しており、これら人力歩行ベースの作業全般を改善することが、喫緊の課題である。
    本研究は、この課題に対し、現場ヒアリング・行動分析を通じて潜在需要を見出し、上記課題解決に大きく貢献する、従来にないパーソナルサイズの乗用ビークルを考案し、現場実証可能なプロトタイプとして仕上げたものである。
    開発した車両は林業現場に持ち込み走行性能を確かめると共に、林業関係者の試乗とそのフィードバックから本機が林内移動の軽労化に大きく寄与する可能性が確認できた。
    実証プロトタイプとして、概ね目的とする結果が得られたのでここに報告し、合わせて最終目的とする社会実装に向けての課題点を整理する。
  • ~人にやさしい家具(2)~
    白石 照美, 妹尾 涼, 阿部 眞理, 森岡 大輔, 大久保 恭利
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_8-1_13
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    日本は度々大地震に見舞われ、家具の転倒等により多くの被害が発生している。室内防災に有効な対策としては家具固定が推奨されているが、現段階において固定率が高いとは言い難い。本研究では、薄く、軽量なタケ集成材挽板を主材とすることで、軽量で転倒しにくく、転倒の際の人的ダメージを軽減するという要件を満たし、室内防災に寄与するシェルフ型収納家具の試作を行った。設計にあたり、シェルフ部材の性質に合わせて各種タケ材を適材適所に使い分け、中空構造を採用し、部材同士の接合では固定部分とフリー部分を設けた。その結果、重量測定、振動試験、耐荷重試験、重心位置計測等により、軽量で重心が下がり転倒しにくく、防振効果を発揮することが明らかとなり,地震の揺れに対する転倒リスクを軽減する収納家具設計の可能性が示唆された。
  • 吉田 和人, 出原 立子
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_14-1_17
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    本研究は、金沢駅「鼓門」の立体格子形状を活かしたイメージを自動生成するプロジェクションマッピングの制作方法を構築することを目的とする。鼓門の形は、緩やかなうねりを有する立体格子形状の上裏と一葉双曲面の二本の柱で構成された対称性の形である。この立体形状に合わせた3Dプロジェクションイメージを自動生成するためのアルゴリズムを設計し、3次元CGプログラミングによって開発を行った。イメージは、立体格子の一つ一つの凹形状に沿った動きが、徐々に上裏全体に伝搬しそれによって複雑な波の形が生成される。基本となる規則的な個々の動きが複数組み合わされることで、自然発生的なイメージが生成されるのが特徴である。本プロジェクションマッピングの実証実験は、鼓門において2018年10月6、7日の2日間実施した。
  • 菅 俊一
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_18-1_23
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    本作品は、他者が対象物に向けている注意の所在を理解する共同注意という行動を元に、描かれた顔の視線の方向を鑑賞者に読み取らせることで、空間内での注意・身体の誘導を促す体験型作品である。展示空間内には、モニター、A2パネル、A3パネルと壁紙に、描かれた顔が配置されており、鑑賞者は顔の視線の先をその都度辿りながら、空間内で注意を周遊させていく体験を行う。本稿では、そのデザインプロセスとして、顔の造形、黒目の位置関係、視線の特性、空間設計について、どのような着眼と条件によって設計を行ったかについて述べる。本作品は、2019年3月に松屋銀座7階デザインギャラリー1953にて展示され、人間の内部状態を変化させる新しい体験型作品のモデルの可能性を示すものとなった。
  • :直観的な指向性触覚サイン
    安井 重哉, 伊藤 精英, 加藤 頌健
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_24-1_29
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    DiGITSは、特定の方向を指し示す機能を持った、新しい触覚サインのコンセプトである。DiGITSは、次の仕組みにより、手を動かす方向が直観的に認識できるので、学習せずとも、その意味を理解できる。
    1)手を動かす向きによって順目と逆目の触感の差異が生じるように、DiGITSの触接部位を、立体の凹凸パターンや構造によって構成する。
    2)ユーザは、順目と逆目の触感の差異を、DiGITSの指し示す方向の正逆と対応づける。
    これまでに、ケント紙を用いた簡易なDiGITSの概念実証モデル(加藤式DiGITS)を制作し、検証実験によりDiGITSの持つ誘導効果を確認した。
    DiGITSは、図記号として広く用いられている「矢印」のような役割を果たす触覚サインである。また、低コストの導入が期待できる。これらの点から、DiGITSは、触覚による情報デザインの基盤的要素として、様々な分野への応用が期待できる。本稿では、触覚サインとしてのDiGITSの発案から、その実用例の展開までを論じる。
  • :折りたたみ式電動カートの開発
    井藤 隆志, 高橋 陽介, 渡辺 薫
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_30-1_35
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    高齢化社会がますます進む中で、歩行が不自由になり外出にためらいがちなシニア層が、気軽に外に出る機会を増やすための手助けとなることを目指し、折りたたみ式電動カートの開発を行った。2017年9月27日から29日まで東京ビッグサイトで開催された第44回国際福祉機器展H.C.R 2017にて株式会社キュリオから『SCOO』(スクー)として発表され、2018年春から国内外で販売を開始している。一般にシニアカーと呼ばれる乗り物はサイズも重量も大きく、他の乗り物に乗せて運ぶことが困難であり、旅行等で活用することが難しかった。本製品は折りたたみ式のため、従来困難だった自家用車のトランクへの積載、新幹線等の電車への持ち込み、航空機への手荷物としての預け入れが可能となり、利用者の活動の場を大きく広げることに貢献するモビリティとして市場投入された。
  • 迫坪 知広, 大井 涼介, 惣島 沙由梨
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_36-1_39
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    2019年4月の「のるーと」サービス開始に向けて、使用車両のデザイン開発が行われた。「のるーと」はAI活用型オンデマンドバスサービスであり、公共交通を維持していく上での財政負担の軽減や、路線バスとタクシーによる交通を補完する交通手段として、また、運転手不足への対応策として期待されている。「のるーと」サービスで使用される車両開発においては、サービスの先進性や利用法をわかりやすく示すデザインを試みた。
  • ひたちBRTを事例として
    山本 早里, 野濱 ありさ, 前田 萌
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_40-1_45
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は、茨城県日立市のバス高速輸送システム(ひたちBRT)のデザインプロセスをケーススタディとし、公共交通のデザインによる地域活性化への寄与を考察することである。我々は、バスおよびバス停のグラフィックデザイン等を担当し、そのためモチーフを探索し、地域のサポーター組織と話し合いをしつつ、最終的なデザインを行った。バスのモチーフは日立市民が誇りにしている事物から選定し、「海」「桜」「日立風流物」「鉱工業」「ポポー」「かみね公園」「海中」「きららの里」「シビックセンター」である。2013年度に2台、2017年度に5台、2018年度に2台のバスが完成した。1台目のみ公募で選ばれたデザインのリ・デザイン、他は我々のオリジナルである。バス停17箇所それぞれのグラフィックもデザインした。市民の身近なモチーフをグラフィックに展開したことにより、市民の愛着が得られることが期待され、地域活性化に寄与することが示唆された。
  • −生活世界を描き出す活動のデザイン(Ⅰ)
    横溝 賢, 髙橋 祐賢, 高野 亜子
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_46-1_51
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    本稿では、青森県下北ジオパークと共に暮らす人びとの生活世界を住民と共に描き出すことから、下北ジオパークをPRする公共バスのラッピングデザインを展開した実践アプローチについて報告する。プロジェクトでは、住民参加のジオパーク・フィールドワーク(以下、FW)を実施した。FWにおいて住民は、見知った場所でありながら、地球科学的には未知の現場経験で感じた情感の記録をとおして、ジオの上に成り立つリアルな生活世界を描き出した。住民らが描いた世界像をもとにジオパークをPRするバスのラッピング制作を進め、デザイン案2種を一般公開した。その結果、両案ともに発表会参加者からの実現要望が高かったことから、2種類のラッピングバスが実現化された。この一連の活動で見出したのは、フィールドワーク経験を通じて学び見えた生活世界を、バスラッピングで図像化することにより、FW参加者だけでなく一般公開に参加した住民らも、志向的に人とジオの営みの相関を味わい学ぼうとする〈共生の知のはたらき〉が現れたことであった。
  • 荒木 麻耶, 山岡 俊樹, 西村 博志, 井ノ元 良昭
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_52-1_57
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    リュックサックの利用は女性より男性が多いため、ビジネスシーンで活用できるような市場に出回っているリュックサックは、男性向けのデザインであると言っても過言ではない。そのため、本稿では、汎用システムデザインに基づき、女性のためのリュックサック開発を株式会社シカタと京都女子大学の共同研究で行った。本製品の開発にあたっては、アンケート調査、インタビュー調査、ユーザビリティタスク分析などの手法を活用して要求事項を抽出し、これらを基に構造化デザインコンセプトを構築し、可視化した。デザイナーやマーケッターの直感に基づく従来の手法ではなく、このようなシステマティックなアプローチを行い、品質の高い製品を提案することができた。
  • 水谷 晃啓, 奈良 祥平, 前川 寛太
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_58-1_63
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    社会に開かれた新たなものづくり技術であるデジタル・ファブリケーションを用いて、地域間連携と地域産業振興の促進が可能な木製椅子のデザイン開発を行った。ここでは、椅子の座面と背板の部材に日本全国に普及する規格材(胴縁)を用いることで、木材産地の選択(地域化)が可能な仕組みも同時に提案している。
    この木製椅子のデザイン開発は、産官学が一体となって取り組んだもので、筆者らは企画からコンセプト立案、商品化に至る全過程を統括し、開発におけるトータルデザインを行った。未来の社会を支える子ども達が自身の手で完成させた椅子を通し、日本の木の文化、特に自身が生まれ育つ地域で生産された木の良さに触れながら日々成長していくことができるよう「木育」の観点を重要視しながらデザイン開発を行った。
  • 林 秀紀, 櫛 勝彦, 志水 瞭斗
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_64-1_69
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    木の玩具には様々な教育的な効果があると言われている。幼児の保護者や保育士への調査では、木には、「やさしさ」「温かみ」「心地よさ」があると言うような意見が多く寄せられ、情操教育としての効果が示唆されている。筆者らのこれまでの研究成果においても、木の玩具は子どもの身体能力や知的能力の成長を促す教育効果が実証された。しかし、発達段階において獲得する能力と玩具との関係性についてさらに明らかにする必要があった。そこで、(有)レインディアのおもちゃファイルを調査分析し、「子どもの成長に効果的な遊びと木育玩具の年齢別対応表」を作成した。これをデザインガイドとして木育玩具をプロトタイピングした結果、対象のユーザ像が明確になり、要件定義やデザイン評価が容易になった。この他、初めて木の玩具をデザインする学生らにも、子どもの教育効果を考えたデザイン提案がし易くなるという効果が見られた(図1)。
  • 丹羽 由佳理, 横田 樹広, 富川 駿, 森 龍, SHAKYA Lata
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_70-1_75
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    本作品は、子ども向けアンケート調査を容易にするためのツールとして研究開発したものである。作品は、丸い形をしたカードの複合体であり、アンケートのフローチャート構造を元に設計した。紙媒体を用いた一般的なアンケート調査は、子どものモチベーションを維持すること、子どもの回答に応じて質問肢を変えることは容易ではない。これらの弱点を克服するために、筆者らは子どもが自らカードをめくり、質問に対する回答に応じて次のカードをめくっていく「フリップカード」をデザインした。各カードには、1つの質問と、質問の回答に応じて次のカードをめくる指示が描かれている。プロトタイプを用いてフリップカードの有効性を検証し、改良を経て作品を完成させた。
    本研究で開発した「フリップカード」は、単一回答、自由回答、複数回答など、様々な回答タイプに対応することができるため、多様な研究領域に適用することができる。また子ども向けのワークショップや、クイズ要素のある学習ツールとしても展開可能である。
  • 田中 裕子, 林田 廣伸
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_76-1_81
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    地域活性化を目的としたイベントおよびそのツール類を統合的に企画、デザイン制作した。共立女子大学家政学部建築・デザイン学科デザインコースでは、地域社会への働きかけを目標の一つに演習に取り組んでいる。その成果として提案された「神保町グルメかるた」施策は、東京都千代田区の神田神保町(以下、神保町)の関係者から好評を得て、かるたの製品化とイベントの実施に至った。
    本施策は、地域に軒を連ねる個人飲食店への着目と、周遊と収集という着想による独自制作のかるたが、その骨子となっている。また、デザイン制作したツールの統合的活用の実例として、かるた大会など地域の当事者を巻き込んだイベントも複数回にわたり開催した。
    本稿では、本プロジェクトの実現までの取り組みと、その成果について紹介する。
  • 丸山 素直, 小早川 真衣子, 平野 友規, 藤満 幸子, 山口 真由美, 須永 剛司
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_82-1_87
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    2012年より医美工連携研究をS大学医学部附属病院(以下S大学病院とする)の看護部と共同で展開している。2013年度より看護業務の変革をテーマに、看護師が「看護のこころ」を作文で表現する活動を病院内で実践し、2016年度からはその活動を応用して、複数人の作文を新聞様に構成する新たな表現活動を始めた。本稿では「しんぶんワークショップ」と呼ぶ活動プログラムのデザインと、「しんぶんワークショップキット」と呼ぶツールデザインを紹介し、そこに生じた共同デザインのダイナミズムを検討する。それは看護とデザインの共同から、表現活動のデザインが看護グループに受け渡され、自立的なデザインが始まり、発展していくダイナミズムである。そして共同を通じて徐々に看護部全体の営みとなり、「看護の継承」の活動に発展する変化である。
  • 中村 俊介, 岩藤 百香, 青木 陸祐, 渡邉 敏規, 西山 猛, 髙月 勇
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_88-1_91
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    2016年度より、NBC災害時に円滑に避難誘導を促すためのピクトグラム開発を岡山市消防局と協働で取り組み、今年で4年目を迎えた。2017年度に制作したデザインモデルは、独自色の強いピクトグラムと手作りでのモデル制作であったため、今後の各地への導入を見据え、JIS規格に準じたピクトグラムへと改善を行うとともに、災害現場でも耐えうるモデル媒体の選定を行った。消防訓練での検証とアンケート調査を行い、有効性の確認と一定の評価を得る結果となった。
    今後はNBC災害のみに関わらず、多方面への災害に対応できるピクトグラムの制作を計画している。
  • 矢口 博之, 佐藤 潜一, 植田 憲二, 森下 洋平
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1_92-1_97
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル 認証あり
    日本人の食に対する安全や健康についての意識が高まりつつある中で食品表示法が施行された。食品表示法によれば、食品パッケージに食物アレルギーの原因物質である特定原材料を表示することが義務づけられている。特定原材料を含む加工食品のなかには、ピクトグラムを用いて使用状況を表示している製品もあるが、表示方法やピクトグラムのデザインが違っていたり、原材料を想起しにくいピクトグラムがあったりなど、消費者にとって分かりにくい状況がある。
    そこで我々は、ユーザーテストによる評価に基づいて、食物アレルギー原因物質を表示するためのユニバーサルデザインに対応した食品ピクトグラムの研究・開発を行ったのでこれを報告する。
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