DiGITSは、特定の方向を指し示す機能を持った、新しい触覚サインのコンセプトである。DiGITSは、次の仕組みにより、手を動かす方向が直観的に認識できるので、学習せずとも、その意味を理解できる。
1)手を動かす向きによって順目と逆目の触感の差異が生じるように、DiGITSの触接部位を、立体の凹凸パターンや構造によって構成する。
2)ユーザは、順目と逆目の触感の差異を、DiGITSの指し示す方向の正逆と対応づける。
これまでに、ケント紙を用いた簡易なDiGITSの概念実証モデル(加藤式DiGITS)を制作し、検証実験によりDiGITSの持つ誘導効果を確認した。
DiGITSは、図記号として広く用いられている「矢印」のような役割を果たす触覚サインである。また、低コストの導入が期待できる。これらの点から、DiGITSは、触覚による情報デザインの基盤的要素として、様々な分野への応用が期待できる。本稿では、触覚サインとしてのDiGITSの発案から、その実用例の展開までを論じる。
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