戦後の特殊学級に付けられた名称を一覧化した資料は希少であり、昨今の特別支援学級の名称と関連付けた調査は行なわれていない。本研究の目的は、東京23区の知的障害特殊学級・特別支援学級の名称について、学級名の特徴や地域差、学校関係者の学級名に対する想いや意見を概観し、戦後の特殊学級・特別支援学級に関する研究の発展に寄与する基礎資料を得ることである。文献調査とWeb検索によって、昭和51・53年、平成5~8年、平成11~13年、令和元年以降の学級名と、命名・改名の経緯を調査した。230校1,957学級の学級名を整理した結果、年度を経て減少する学級名と、積極的に使用され続ける学級名が示された。また、命名・改名には区長や教員に強い決定権があるが、在籍生徒の学級名への不満が改名の契機となった事例も確認された。今後は、調査の対象地域を拡大すると共に、特別支援学級の名称の特徴が児童生徒の認識へ与える影響を調査する必要性が示唆された。
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