日本原子力学会 年会・大会予稿集
2004年春の年会
選択された号の論文の775件中1~50を表示しています
第I区分 総論
原子力安全のための社会技術研究
  • ; リスクベースの安全の考え方
    氏田 博士, 古田 一雄
    セッションID: G01
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    リスクを含まない科学技術はないがそれを上回る効用があるから受け入れられることも事実であり、国民的合意の下で技術が発展するために技術者もリスクコミュニケーションを図ることが必要である。複雑なシステムでは、事故に結びつく複数の潜在的原因が常に存在し、そしてある時事故によってそれが初めて明らかになる。もし、事前に不安全事象の生起過程を完全に知りえるなら事故は発生しない。しかし、高度技術システムにおいては、事故要因や事故シナリオを網羅すること、実際に生起するシーケンスを予測することは不可能である。すなわち、不安全状態を引き起こす可能性のある除去しきれない潜在的ハザードが常に存在していると考えなければならず、「絶対安全」や「ゼロリスク」などは本来存在するものではない。
  • 原子力安全オントロジーの構築
    古田 一雄, 氏田 博士
    セッションID: G02
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    原子力安全に関する技術情報の社会共有を促進し、円滑なリスクコミュニケーションを実現するための基盤として、原子力安全に関る概念の構造化された分類体系を原子力安全オントロジーとして構築した。
  • 原子力安全情報専用Web検索エンジン
    尾暮 拓也, 古田 一雄
    セッションID: G03
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    原子力の安全性に関する関心が社会的に高まっているが、市民が専門的な用語を知らなかったり対象の専門領域の概念体系を知らずに情報要求を言語化できなかったりする場合は専門知識にアクセスすることが難しいと考えられる。本研究では先に開発した「原子力安全オントロジー」を手がかりにしてWeb上の情報を検索することができる情報検索エンジンを構築した。このシステムはあらかじめWebページを収集し、オントロジー中の語彙と照らし合わせてインデックスを作成しておき、サービス時にはオントロジーの概念体系をユーザーに提示し、ユーザーが関心のある概念を見つけ出して指定することによってユーザーの関心事に概念的に近似するホームページのURLを提示する。
  • 高レベル放射性廃棄物処分に関する参加型性能評価システムの開発
    田中 博, 横山 速一, 木村 浩, 高瀬 博康
    セッションID: G04
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    社会技術研究システム・ミッションプログラム特定研究課題「原子力安全システムの総合的設計」の一課題として、高レベル放射性廃棄物の地層処分に対する一般の理解を支援することを目的として、インターネット上で自由に性能評価ができるモデルと電子掲示板を組み合わせたシステムを構築した。
  • 原子力の社会受容における信頼の役割
    木村 浩, 古田 一雄
    セッションID: G05
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    原子力の社会的受容性を人々が判断する際には、「有用感」や「リスク認知」、「信頼」のような要因が重要な役割を果たすことはよく言われている。しかし、これらの要因のうち「信頼」は他の2要因に比べると、判断に与える影響力が小さく表れており、ともすると「信頼」は他の2要因に比べて軽視されてしまう可能性が危惧される。そこで、本研究では、原子力の社会的受容性の問題として、原子力政策の賛否と発電所立地に対する住民態度を取り上げ、これらの判断がどのように行われるのかを共分散構造モデルを用いて分析し、その結果を「信頼」の観点から考察して、「信頼」の持つ役割を明確化する。なお、本研究は社会技術研究システム・ミッションプログラムの一環として実施されている。
  • 菅野 太郎, 古田 一雄
    セッションID: G06
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    本研究では災害対応における危機管理システムの評価手法と支援技術の開発を見据え、災害環境下において緊急対応を行う多種多様な組織行動、住民の振舞いなどを解析、評価する緊急時行動シミュレーションシステムの開発を行っている。本稿ではそのうち、人間・組織シミュレータの紹介を行なう。
知識ベース
ロシア余剰核兵器解体プルトニウム処分
意識調査
  • 松田 年弘
    セッションID: G17
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    原子力発電に関する世論調査において、原子力発電の安全性に対する評価をきく質問が用いられることは多い。「原子力発電所を安全と思うかどうか」という質問に対する人々の回答には、”事業者の安全運転能力への評価”と”事故という潜在的なリスクの評価”という異なる次元の評価が反映されていることを示し、安全性に対する公衆の評価を理解する時に注意すべき点を議論する。
  • 北田 淳子
    セッションID: G18
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    パンフレットは多数の人々を対象に断片的ではないまとまりある情報を伝達することができ、広報活動に有用な媒体であるが、その効果を把握することは難しい。そこで、一般公衆を対象とする訪問面接法による意識調査において、原子力発電の安全を訴求するパンフレットの提示前と提示後に、原子力発電に関する意識やイメージを測定した。提示前後の変化からメッセージの送り手が意図した効果が得られていることを確認した。また、パンフレットを構成する17個の説明材料のうちどのような内容の説明材料が印象に残ったか、それが原子力発電に関する意識やイメージの変化に有効であったかどうかを検討した。
  • 寺戸 美香, 吉川 榮和, 杉万 俊夫, 日比野 愛子, 秋元 真理子
    セッションID: G19
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    2003年秋の大会では、原子力に関するリスクコミュニケーションの新たな手法を導出するための研究の概要、及び原子力関係者への原子力に関するアンケート調査結果を報告した。さらに今回は、首都圏女性層への郵送方式によるアンケート調査結果とあわせ、原子力関係者、特に従事者と首都圏女性層のそれぞれを分析した結果を報告する。特に、原子力従事者と首都圏女性層では、リスク認知に大きな違いがある点が明確になった。その原因を明確にすべく、更なる分析を試みた結果、原子力従事者及び首都圏女性層を幾つかの重要な下位グループに分類することができた。それぞれのグループの特徴について報告する。
  • 松浦 辰男, 朝野 武美, 大野 新一, 酒井 一夫, 笹川 澄子, 住田 健二, ?木 伸司, 高島 良正, 田中 隆一, 更田 豊治郎, ...
    セッションID: G20
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    社会の指導者層への原子力問題に関する正しい理解を究極の目的として、国会議員、マスコミ指導者、裁判官等を対象にまずアンケート調査により、原子力(基礎知識、政策)に関する意識調査を行う。次にこれらの方々へのレクチャーや懇談会などにより専門家との情報交換を行い、どのような方法が意識改革に役立つかを調べる。
  • 岡田 往子, 赤井 芳恵, 岩城 智香子, 塩田 哲子, 千歳 敬子, 松村 文代, 浅田 浄江
    セッションID: G21
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    今後のエネルギー二間して、一般市民がどのような期待をもち、どのような情報を望んでいるかを把握するために、「21世紀に期待するエネルギー」の支持率調査を行った。本調査は1999年度より本学会オープンスクール、環境科学会などで実施している。これまで実施した結果をもとに、男女、年代の違いにより支持率の差異について検討した。結果、男女で大きく異なる傾向を示すことがわかった。
  • 赤井 芳恵
    セッションID: G22
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    原子力と太陽光の支持率ならびに、支持率の男女比の検討を行った。男性の場合は、原子力、太陽光とも25%とほぼ同じの支持率を示したが、女性は、原子力が14%、太陽光が37%と太陽光の支持率が高い結果を示した。この結果から、支持率の男女比は、原子力が1.7に対し、太陽光が0.7となり、女性の原子力に対する支持率は男性に比べて極端に低いことがわかった。さらに、アンケート実施場所で原子力と太陽光の支持率に差があるかどうか検討した。太陽光に関しては、実施場所によらず男女比は0.7程度で一定であるが、原子力に関してはその差が大きい。近畿大学、環境科学会では1.1と男女に差がなかったが、東工大で1.7、武蔵工大で2.4と原子力に関する研究を行っている工学系大学でも差が顕著に現れた。さらに、北大では、男女比が2.8であったが、男女を会わせた原子力の支持率は11%と少なかった。以上のことから、エネルギーの支持率に関しては、男女による差が顕著であることが示された。また、原子力の支持に関しては、実施場所に大きく依存することがわかった。
訓練・教育・倫理
リスク・コミュニケーション
  • プロジェクトの概要
    八田 昌久, 西川 雅史, 松本 史朗, 岡本 浩一, 加藤 尊秋, 甲斐 倫明, 渡邊 正巳, 佐藤 正知, 松川 勇
    セッションID: G30
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    原子力発電に対する国民的合意が形成されていないため、原子力技術者、電力会社、行政官庁において種々の困難に直面している。本研究では、原子力発電のリスクの正体(リスク論)を明らかにし、それに基づくリスクコミュニケーションにより、国民的合意形成を行う方法を構築しようとするものである。本研究の特徴は、合意形成のプロセスとしてのリスクコミュニケーションの手法と同時に、そこで取り上げられるべきリスクの実体(または、リスクの正体)について、リスク論に則って議論することである。リスクコミュニケーションとリスク論を組み合わせた統一的な研究を行うために、今までは独立で行われていた、社会心理学的アプローチ、経済学的アプローチおよび技術論的アプローチを組み合わせて、有機的に、一体で進める。
  • 炭素14の大気放出による地球規模集団線量評価
    木田 孝, 本間 俊充, 松本 史朗
    セッションID: G31
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
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    将来のエネルギー源の選択には、経済性評価とともに外部性を含め、長期的な視点から総合的に評価することが不可欠となる。既往の報告によると、核燃料サイクルの外部性評価において、再処理工程におけるC-14大気放出が、地球規模かつ長期にわたる重要な外部性寄与と報告されている。本研究では、このC-14の外部性評価の支配因子に関する理解を深めることを目的とし、C-14の環境移行モデルの検討及び地球規模集団線量の算出を行った。その結果、比放射能法により1MBq単位大気放出あたり2.1E-4man.Svと、既往の報告の約1.5倍に算出された。また、評価結果の不確実さを検討し、不確実さに寄与の大きな要因を明らかにするために不確実さ伝播解析及び感度解析を行った結果、人為起源CO2放出量、大気と生物圏との間の炭素移行に関するCO2濃縮係数及び深海中の炭素移行係数が大きく寄与していることが明らかとなった。
  • 原子力発電所の立地と地方財政
    西川 雅史, 松本 史朗
    セッションID: G32
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は,原子力発電所の立地が地方財政へ与える影響を実証的に分析することにある.先行研究との主要な違いは,中央政府から配分される補助金額と,市区町村の独自財源である地方税額とを区分している点にある。原発立地が地方財政へ及ぼす影響は,主として固定資産税収の増加に体現される.しかし,固定資産税収は,減価償却によって経年的に減少するため,中長期的な財政効果を維持できない.原発立地は,他の自治体と比較して,補助金漬けであるとは言えない.その理由は2つある.1つは,原発立地が固定資産税収を押し上げるために地方財政調整制度が働き,地方交付税額が減少するためである.2つ目は,電源立地に伴って交付される補助金の多くは,原子力発電所が立地する以前に交付される(金額は決して多額ではない)ため,長期的な効果は存在しない.
  • 外部性を考慮した原子力発電電力量長期評価
    矢野 拓也, 秋元 圭吾, 八田 昌久, 松本 史朗
    セッションID: G33
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    国民合意を得るには、原子力発電の必要性が明確にならなければならない。エネルギー基本計画の中で、原子力は安定供給や地球温暖化対策の観点で優れていると指摘し、「安全確保を前提として、期間電源と位置付け引き続き推進する」と明記している。地球温暖化対策としては、COを550ppmに抑えるためにはどの様な発電方式がどの程度導入されるべきかの評価が各国でなされている。これには、将来の技術進歩と経済合理性が考慮されている。日本では、RITEらがDNE21モデルを作成しているが、本研究はこのDNE21に、今まで考慮されて来なかった外部性の影響を加えて計算を行ったものである。これにより、地球温暖化以外の社会的影響、特に人体への影響を考慮した、より合理的な姿を描き出すことができると考え、その場合、将来のコスト効率的なエネルギー・環境戦略がどう変化するかをみた。
  • リスクコミュニケーションにおける技術専門家の要件
    八木 絵香, 高橋 信, 北村 正晴
    セッションID: G34
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    原子力に代表される技術システムの社会的受容に関し、一般市民を含めて合理的かつ客観的討論が成立する前提として、技術リスクに関する基本的認識が共有されることが望ましいが、その状態とは著しい隔たりがあるのが実態である。本研究においては、それらの問題解決の第一歩として、複数の原子力立地地域において「対話フォーラム」を継続実施し、専門家参加者・住民参加者の両者に意見・態度変容が認められたことは既報[1]の通りである。本報告では、得られた知見の中でも特にリスクコミュニケーションに関して技術専門家が果たすべき役割に焦点をあてた報告を行う。
  • リスク評価・伝達手法の問題点の解決方法検討
    寺邊 正大, 義澤 宣明, 滝沢 真之, 高橋  信, 北村 正晴
    セッションID: G35
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    研究プロジェクト「リスクベース意思決定概念の社会的受容」では、リスクベース意思決定概念が社会的に受容されない理由の1つとして、現状のリスク評価・伝達手法に技術的な問題点があるという仮説の下で、この問題点の明示と解決方法の検討を行ってきた。本稿では、検討内容の一部を紹介する。
  • 実現への課題マップと本提言の枠組み
    八木 絵香, 高橋 信, 北村 正晴, 寺邊 正大, 義澤 宣明, 首藤 由紀, 滝沢 真之
    セッションID: G36
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    目的とする「リスクベース意思決定の社会的受容」を実現するための直接的な提言は、関連する大局的な方策が推進されることで、より効果的に機能することが調査および実践研究を通じ明らかになってきた。リスクベース意思決定の社会的受容という目的を実現するためには、リスクコミュニケーションに直結する課題解決へ向けた政策提言に加えて、より大局的な諸要件が重要な意味を持つ。この諸要件を明示するとともに、目的実現のための方策の方向性を述べた。今後これらの要件を満たすためのさらなる政策提言と、それを補完する社会的アクション計画についても考察を進める計画である。
外部性・賠償法
第II区分 放射線工学と加速器・ビーム科学
原子核物理,核データ,核反応工学
軽核の核反応および反ニュートリノの影響
中性子捕獲反応
2次荷電粒子スペクトルの測定
  • 近藤 恵太郎, 高木 智史, 宮丸 広幸, 村田 勲, 高橋 亮人, 落合 謙太郎, 西谷 健夫
    セッションID: K16
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    原研FNSのビーム状DT中性子源と、2つのシリコン半導体検出器を組み合わせたE-ΔEカウンターテレスコープを用いた荷電粒子スペクトロメータを開発し、荷電粒子放出二重微分断面積の測定を試みた。検出器の信号を2次元MCAでコインシデンス測定し、荷電粒子の阻止能の違いから粒子同定を行った。非常に良好なS/Nの元、高精度の測定を行える見通しを得た。
  • 萩原 雅之, 佐波 俊哉, 大石 卓司, 馬場 護, 高田 真志
    セッションID: K17
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    数10MeV核子入射反応による二次重荷電粒子生成断面積測定をBCS(Bragg curve spectrometer)を用いて行った。70 MeV陽子入射によるC、Polyethylene、Si、Alターゲットからの30°方向の二次重荷電粒子のエネルギースペクトルを測定した.
  • 金 政浩, 才保 文伸, 芳原 新也, 池田 克彦, 市川 聖久, 山下 雄一郎, 今村 稔, 若林 源一郎, 池田 伸夫, 魚住 裕介, ...
    セッションID: K18
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    大阪大学核物理研究センターの東実験室において、392MeVの陽子線を51V及び181Taターゲットに入射し、陽子生成断面積を測定した。またこの結果を過去に行った12C, 27Alターゲットを使用した同様の実験のデータも示し、これと比較する。さらに、量子分子動力学(QMD)モデルと比較した。加えて、我々の研究室で開発して核内カスケード(INC)モデルとの計算結果との比較も行った。これらの核子多体型のモンテカルロシミュレーションでは、反応においてそのターゲット原子核の基底状態にシミュレーション結果が大きく左右されると考えられる。INC計算コードにおいては基底状態の密度・運動量分布が現実の値に近くなるように分布を作成した。また、QMDモデルの計算コードにおいては、実験再現性を検討する上で、12C等の軽いターゲットの場合、シミュレーションコード内で生成する基底状態に問題があることが確認されているため、そこに着眼してモデルの改善を行い、実験値と比較した。
中高エネルギー2次中性子スペクトルの測定
  • 渡邊 健人, 野田 秀作, 国枝 賢, 執行 信寛, 石橋 健二, 岩元 洋介, 佐藤 大樹, 中村 尚司, Haight Robert C ...
    セッションID: K19
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では米国ロスアラモス国立研究所WNR施設のパルス化された連続エネルギー中性子源を用いた(n,xn)DDXの測定に適した手法を実験的に検証した.入射中性子数を把握するために核分裂電離箱を用いた.入射中性子のエネルギー測定には飛行時間(TOF)法を採用した.しかし,連続エネルギー中性子を入射中性子として用いているため,放出中性子のエネルギー測定にTOF法が使用できない.そこで,測定には反跳陽子法を採用した.反跳陽子の検出には陽子が完全停止するイベントを弁別するためにホスウィッチ検出器を用いた.使用したホスウィッチ検出器はNaI(Tl)シンチレータの周りをプラスチックシンチレータNE102Aで囲む構造となっている.ラディエータにはポリエチレンを用いた.ポリエチレン中のカーボンの寄与はラディエータとしてカーボンを用いた測定も行い,差し引いた. TOF測定から入射中性子のエネルギーを選択した.E-dE法によりラディエータから放出された陽子を弁別し,ホスウィッチ構造によって反跳された陽子がNaI(Tl)部分で完全停止したイベントを弁別した.(n,p)弾性散乱断面積を用いてアンフォールディングすることで中性子のエネルギースペクトルを求めた.検出器の陽子の応答関数はPHITSから求めた.得られた実験値をPHITSとJQMDの計算値と比較し,今回開発した実験手法は,入射中性子100MeV以上における(n,xn)DDX測定に有用であることがわかった.
  • 国枝 賢, 渡邊 健人, 執行 信寛, 石橋 健二, 佐藤 大樹, 岩元 洋介, 中村 尚司, Haight Robert C.
    セッションID: K20
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    連続エネルギー中性子を入射粒子として用いることで中性子入射中性子生成二重微分断面積の測定を行った。サンプルにはFeとPbを採用し、測定方向は15˚、30˚、60˚、90˚、120˚、150˚とした。放出中性子の検出には有機液体シンチレータNE213を用いた。入射中性子エネルギーは飛行時間法により、放出中性子エネルギーはNE213の光出力スペクトルをアンフォールディングすることにより決定した。アンフォールディングの際に必要なNE213の応答関数はSCINFUL-Rの計算値を用いた。本研究ではNE213の電荷積分値が約120 MeVで飽和してしまう点、SCINFUL-Rの利用可能なエネルギー上限が約110 MeVである点を考慮してデータ解析を約100 MeVまでとしている。結果はGNASHによる計算値と比較した。計算値との一致は比較的良好である。本研究で用いたNE213の応答関数を測定し、アンフォールディングに用いることで純粋な実験データを得ることができるものと期待できる。
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