糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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レクチャー:糖尿病の成因と病態の解明に関する研究の進歩(2)
  • 吉田 俊秀, 小暮 彰典
    セッションID: DL-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    β3-アドレナリン受容体(β3-AR)は白色脂肪組織における脂肪分解と褐色脂肪組織における熱産生に大きな役割を果たしている。1984年に開発されたβ3-ARアゴニストは肥満動物において著明な抗肥満・抗糖尿病効果を示したが、ゲッ歯類には著効してもヒトには効果がなかった。この効果差の原因は、1989年になり、ヒトとゲッ歯類のβ3-ARの化学構造上の種差によることが明確になった(ヒトβ3-ARは408個、マウスは388個、ラットは400個のアミノ酸より構成される)。1995年には、ヒトβ3-AR遺伝子のTrp64Arg変異がピマ・インディアンにて発見され、内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性、更には、糖尿病とも強く関連することが明らかになり、β3-ARの体脂肪調節に果たす役割の重要性が注目された。演者らも、日本人の34%にβ3-AR遺伝子多型(Trp64Arg)が存在し、ホモ型及びヘテロ型はワイルド型に比べ、糖尿病を6年早く発症すること、糖尿病性網膜症や腎症も2から3倍多く合併すること、更には、安静時代謝量が200kcal/日減弱しており、肥満患者の減量に当たっては食事指導を通常より200kcal減らしたより厳しい食事指導をしないと痩せにくい減量困難さを持つことを見出した。一方、β3-ARアゴニストは褐色脂肪細胞に作用し、熱産生に中心的役割を果たす脱共役蛋白質1(UCP1)を増加させ、白色脂肪細胞及び骨格筋にもUCP1を発現させる働きも持つため、褐色脂肪組織の少ないヒト成人においても有効であることが期待される。近年、脂肪細胞が、レプチン、TNF-α、PAI-1といったサイトカインを分泌し高血圧や糖尿病などの発症に密接に関与していることが明らかにされた。これら生活習慣病の根本的な治療として、内臓脂肪量の減量が重要視され、抗肥満薬としてのヒトβ3-ARアゴニストの開発に期待が高まり現在までに数多くの臨床治験が進められている。しかし、ヒトの安静時代謝量を著増させるアゴニストも発見されたが、耐えがたい皮膚紅潮などの副作用が出現するため、現在は多くの製薬メーカーにて改良が加えられている段階である。また、臨床応用時に懸念されたβ3-AR遺伝子多型の有無による効果差や、慢性投与時の受容体の発現調節についても知見が得られている。本講演では、現時点でのβ3-ARに関する最新情報を述べてみたい。
  • 片桐 秀樹
    セッションID: DL-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    肥満・糖尿病患者の増加が注目を集めているが、その治療法としては現在でも食事療法や運動療法が中心である。これらの病態ではインスリン抵抗性やレプチン抵抗性がその発症に関与している。そこで我々は、モデル動物に肥満・糖尿病を発症させた後、エネルギー消費に関わる蛋白を発現させ、これら病態の発症機構や治療効果について検討した。
    脱共役蛋白UCP1(uncoupling protein 1)は、褐色脂肪細胞でエネルギーをATPに合成することなく熱として放散させる分子として知られ、またその遺伝子多型と2型糖尿病の関連についても報告されている。そこで、まず、高脂肪食により肥満・糖尿病を発症させたマウスの肝臓にUCP1遺伝子を導入したところ、約13%のエネルギー消費の亢進がもたらされた。肝臓では、AMPKが活性化・SREBP1cの発現抑制による脂肪肝の改善が認められ、さらに、このような肝における局所効果のみならず、内臓脂肪組織の脂肪蓄積の減少やレプチン抵抗性の改善といった多臓器における代謝改善効果が認められた。その結果、肥満・糖尿病・高脂血症の改善といった著明な治療効果が観察された。一方、標準餌にて飼育している非肥満・非糖尿病マウスに対しては、肝臓へのUCP1発現導入にてもエネルギー代謝は亢進せず、そのため体重や血糖値、肝や内臓脂肪組織の脂肪蓄積量にも影響を認めないという結果が得られた。このことから、肝臓内に発現した異所性UCP1は、エネルギーバランスを感知し、余剰カロリーのみを効果的に消費するが、必要カロリーについては影響を受けにくいという機序が示唆された。このことは実際の治療への応用を考えた場合、非常に好ましい結果であると考えられる。
    次に、肥満・糖尿病の病態発症後の腹腔内脂肪組織におけるUCP1遺伝子導入を行ったところ、さらに強力な治療効果が認められた。高脂肪食負荷にて肥満・糖尿病を発症させたマウスの副睾丸周囲脂肪組織に組換えアデノウィルスを用いてUCP1の発現導入を試みたところ、その発現は局所的・限定的であり、全身のエネルギー消費量には有意な増加を認めない程度であったにもかかわらず、体重増加は抑制され、血糖値・血中脂質値の有意な低下、血中インスリン値・レプチン値の著明な低下を認めた。また、糖負荷試験・インスリン感受性試験・レプチン感受性試験にて、耐糖能・インスリン抵抗性・レプチン抵抗性の著明な改善が観察された。しかし、興味深いことに、皮下脂肪組織へのUCP1遺伝子導入においては、同様の発現が得られたにもかかわらず、これらの治療効果はほとんど認められなかった。このことから、腹腔内脂肪をターゲットとし、そのキャラクターを改善させる事が、メタボリックシンドロームに対する有効な治療になりうることが示唆された。
    以上、本レクチャーでは、肥満・糖尿病において、細胞におけるエネルギー消費を亢進させることによる全身代謝に与える影響や病態への関与と、それを応用した新規治療法開発の可能性ついて論じてみたい。
  • 小川 佳宏
    セッションID: DL-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    肥満遺伝子産物レプチンは、体表的なアディポサイトカインの一つであり、主に視床下部を介して強力に摂食量の減少とエネルギー代謝の亢進をもたらし、肥満と体重増加を制御すると考えられている。これ以外にもレプチンは交感神経活動亢進作用や神経内分泌調節作用等の多彩な生物作用を有することが知られている。我々は、レプチンの持続作用を明らかにするために、レプチン過剰発現トランスジェニックマウスを世界に先駆けて作製し、このマウスでは脂肪組織がほとんど消失する程の著しい痩せとともに糖代謝とインスリン感受性の亢進が認められることを報告してきた。このマウスを用いて、抗糖尿病薬としてのレプチンの可能性を検討し、1)インスリン依存性糖尿病では、少量のインスリンとレプチンの併用療法が、2)インスリン非依存性糖尿病では肥満を合併しない場合にはレプチン単独投与が、肥満を合併する場合にはカロリー制限とレプチンの併用療法が、3)脂肪萎縮性糖尿病ではレプチン単独投与が、それぞれ有効であることを証明してきた。このうち脂肪萎縮性糖尿病は、レプチン補償療法の治療効果が最も期待できる病型の糖尿病であり、京都大学内分泌・代謝内科(中尾一和教授)においてレプチン補償療法が施行されており、極めて良好な治療成績が報告されている。大部分の肥満者では、体脂肪量に比例して血中レプチン濃度が上昇するにもかかわらず肥満の改善が認められないため、「レプチン抵抗性」の状態であると考えられている。一方、肥満症では高レプチン血症によりもたらされるレプチンの過剰作用がメタボリックシンドロームの発症に関与する可能性がある。例えば、肥満に合併する高血圧の少なくとも一部は持続的な高レプチン血症によることが証明されている。更に、末梢組織に直接作用することにより、レプチンは血管新生促進、血小板凝集促進等をもたらすことが知られている。実験的にも、レプチンは虚血性網膜血管新生モデルにおいて網膜血管新生を促進することが証明されており、糖尿病性網膜症を促進する可能性がある。肥満症患者ではレプチンの末梢作用に関しては感受性であり、肥満や糖尿病に合併する血管障害や動脈硬化症の発症にレプチンが関与する可能性がある。本講演では、糖尿病あるいは糖尿病合併症におけるレプチンの治療薬としての可能性と病態生理的意義について概説する。
レクチャー:糖尿病の成因と病態の解明に関する研究の進歩(3)
  • 岩崎 直子
    セッションID: DL-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    MODY (maturity onset diabetes of the young)は、1975年にTattersallとFajansにより、1) 25歳未満でNIDDMが診断され、2) 少なくとも3世代の遺伝歴があり、3) 同胞の約半数に糖尿病を認める、という3つの条件を満たす糖尿病として定義された。すなわち、常染色体性優性遺伝を示し、一種類の遺伝子の機能障害により若年で発症する糖尿病である。原因遺伝子は後述のように6種類同定されている。MODY1 (hepatocyte nuclear factor-4α:HNF-4α、MODY2 (glucokinase:GCK)、MODY3 (hepatocyte nuclear factor-1α:HNF-1α)、MODY4 (IPF-1:insulin promoter factor)、MODY5 (hepatocyte nuclear factor-β:HNF-1β)、MODY6 (neurogenic differentiation 1/ Beta 2:NeuroD/Beta2)である。 MODYの原因遺伝子は糖尿病の多発する大家系を用いた連鎖解析により決定されたが、6種類中、解糖系酵素であるGCK を除いた5種類はこれまでに糖代謝との関連が知られていなかった転写因子遺伝子群であった。当初はMODY遺伝子の糖代謝調節における役割は不明であり、生理学、分子生物学、薬理学あるいは形態学的な研究が積み重ねられてきた。これらの転写因子は相互に作用しながら最終的に膵b細胞の機能を障害し、インスリン分泌を低下させると考えられている。また、一般に転写因子の作用はpleiotropic(多面発現的)かつredundant(冗長的)であり、臓器の分化発生にも関与していることから、MODYでは高血糖以外にも腎泌尿器系の奇形や糖排泄閾値の低下など興味深い症状が随伴することも明らかにされてきた。さらに、ゲノム研究の最近の進歩により、MODY遺伝子は単に単一遺伝子による糖尿病の原因であるだけでなく、一般の2型糖尿病においても感受性遺伝子として作用していることが示された。最近のMODY遺伝子に関連した成績についてご報告する。
  • 山田 祐一郎
    セッションID: DL-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    インクレチンとは
     (1)消化管で産生され、(2)食事摂取に伴い分泌され、(3)膵β細胞に作用しインスリン分泌を促進する因子である。小腸上部に存在するK細胞から分泌されるGIP(gastric inhibitory polypeptide)と主として小腸下部のL細胞から分泌されるGLP-1 (glucagons-like peptide-1)がこの作用を有している。

    どういう生理的な役割を有しているか。
     グルコースを投与して血糖を同程度に上昇させても、経静脈から投与するより経口で投与したほうが、はるかに高いインスリン分泌が得られる。経口と経静脈によるインスリン分泌量の差は、消化管から分泌され膵β細胞に作用する「インクレチン」によるものである。インクレチンは、膵β細胞に存在する受容体(GIP受容体あるいはGLP-1受容体)を刺激し、インスリン分泌を促進する。

    GIP受容体欠損マウスの解析からわかったこと
     GIP受容体欠損マウスに経口糖負荷試験(OGTT)を行うと、負荷後早期において血糖の上昇とインスリン分泌の低下を認めた。したがって、この野生型とGIP受容体欠損マウスのインスリン分泌の違いがGIPによるインスリン分泌であり、GIPの欠如が血糖上昇を引き起こす。
     また、GIPは脂肪細胞にも作用し、脂肪細胞への栄養素の蓄積を促進する。すなわち、GIPが過剰栄養による肥満の引き金であり、GIPのシグナルを抑制することは脂肪細胞の肥大化を抑制する。
    GLP-1受容体欠損マウスの解析からわかったこと
     GLP-1受容体欠損マウスにOGTTを行うと、空腹時ならびに負荷後の血糖の上昇を認めた。また、膵β細胞の数が減少し、GLP-1はインスリン分泌だけではなく膵β細胞の分化増殖にも重要であることがわかった。

    治療への戦略
     GIPやGLP-1はペプチドホルモンであり、血中では酵素(DPPIV)によって分解され、半減期が短い。したがって、ペプチドを修飾して半減期を長くした誘導体、あるいはDPPIVそのものを阻害する薬物が必要である。これらの薬物は、従来とは全く異なる機構でインスリン分泌を促進するため、臨床応用に向けた開発が進められている。
  • 谷澤 幸生
    セッションID: DL-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    糖尿病の発症関連遺伝子の解明のための研究は、高(プロ)インスリン血症の存在を手がかりとしたインスリン遺伝子異常症の発見のように生化学的異常を手がかりとする研究に始まり、インスリン分泌、インスリン作用の分子機構の解明にともなって、候補遺伝子からのアプローチへと展開している。さらに、ヒトゲノムプロジェクトと平行して、ゲノム上の位置情報から原因遺伝子へとアプローチする全ゲノム解析も取り入れられ、成果を上げつつある。これまで、糖尿病発症との関連が明確となった遺伝子の多くはMODY遺伝子を中心とした単一遺伝子異常による糖尿病についてであった。これらの病型の頻度は少ないが、原因遺伝子によってコードされる分子の膵β細胞機能における役割や、その異常による血糖調節破綻のメカニズムについて多くの示唆を与えている。
     私たちはインスリン依存に至る糖尿病と視神経萎縮を主徴とする常染色体劣性遺伝性疾患であるWolfram症候群の原因遺伝子WFS1を同定した。Wolfram症候群の患者は糖尿病と視神経萎縮の他に中枢性尿崩症、感音性難聴、神経精神症状等の多彩な症候を呈するが、典型的には、患者は10歳前後で糖尿病を発症し、膵ではβ細胞が選択的に消失する。WFS1は約100 kDaの小胞体に存在する膜蛋白をコードする。この蛋白の機能は未だ十分に解明されていないが、小胞体の陽イオンチャネルである可能性が示唆され、また、WFS1遺伝子ホモ欠損マウスの解析では進行性のβ細胞の減少とインスリン分泌低下による糖尿病の発症が示された。WFS1蛋白は小胞体ストレスによりその発現が増加する。また、進行性の膵β細胞の消失には小胞体ストレスとその応答異常によるアポトーシスの関与も示唆されている。興味深いことに、WFS1遺伝子ホモ欠損マウスでは、糖尿病の発症はマウスの遺伝的背景に強く左右される。
     今回の講演では、Wolfram症候群でのβ細胞異常のメカニズムについての研究を通して現時点で考察されることを中心に、その他の糖尿病発症関連遺伝子研究の展開についても述べたい。
シンポジウム:インスリンシグナルと動脈硬化症の関連性
  • 笹岡 利安
    セッションID: DS-3-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    インスリンの代謝作用の発現にはPI3キナーゼが中心的な役割を担う。PI3キナーゼにより産生されたフォスフォリピッドPI(3,4,5)P3はリピッドセカンドメッセンジャーとしてPI3キナーゼの標的分子であるAktやatypical PKCを活性化する。PI(3,4,5)P3はリピッドホスファターゼSHIP2の5’-ホスファターゼ活性を介してPI(3,4)P2に、また、PTENの3’-ホスファターゼ活性によりPI(4,5)P2に変換され、骨格筋や脂肪細胞などのインスリン標的細胞での代謝シグナルは生理的に負に調節されている。日本人2型糖尿病患者と健常者の遺伝子多型の解析により、PTENのN端の非翻訳領域に存在するSNPを持つと、PTENの発現が高まりインスリン抵抗性が惹起される可能性が考えられる。SHIP2では5’-ホスファターゼ活性部位に健常者で多いSNPを認め、本SNPによりSHIP2の5’-ホスファターゼ活性が低下し、インスリン感受性を高める可能性が示唆される。また、SHIP2のチロシンリン酸化部位近傍のSNPでは、インスリンによるSHIP2のチロシンリン酸化が低下し、SHIP2のShcとの結合が低下することによりShc/Grb2を介したMAPキナーゼ活性が亢進し、動脈硬化の進展に関与することが考えられる。イギリス人とフランス人を対象としたSHIP2の遺伝子検索においても、SHIP2の遺伝子多型がメタボリックシンドローム特に高血圧との関連が深いことが報告されている。そこで、動脈硬化の発症と進展に重要な役割を担う大血管平滑筋でのPDGF作用を検討すると、SHIP2とPTENは共にPI(3,4,5)P3を代謝しAkt活性を低下することによりPDGFの抗アポトーシス作用を低下させた。さらにSHIP2はShc/Grb2結合を競合的に阻害することによりMAPキナーゼの活性低下を介してPDGFのDNA合成作用を抑制した。このことから、これらリピッドホスファターゼはPDGFによる細胞増殖作用の負の制御因子としても働くことが考えられる。インスリン抵抗性病態では高インスリン血症が認められることから、大血管平滑筋細胞をインスリンで長期処置すると、SHIP2の発現が低下しPDGFによる細胞増殖作用の亢進を認めた。以上より、PI3キナーゼ産物PI(3,4,5)P3を代謝するリピッドホスファターゼは、その発現亢進によりインスリン標的細胞でのインスリン抵抗性の発現に深く関わるとともに、大血管平滑筋細胞ではインスリン抵抗性病態によりその発現が低下することで細胞増殖が亢進し、動脈硬化の進展に関与する可能性が考えられることから、インスリン抵抗性が動脈硬化を惹起する新たなインスリンシグナルの分子メカニズムとしてリピッドホスファターゼの関与が示唆される。
  • 西尾 善彦
    セッションID: DS-3-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    インスリンは糖脂質代謝の主要な調節因子であるだけでなく、血管内皮細胞に作用して、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)をリン酸化することにより活性化し、血管内皮よりのNO産生を増加させて内皮依存性の血管弛緩反応を亢進させる。事実、インスリンは生体において血管弛緩作用を有し、血流増加作用を示すことが報告されている。また、インスリン抵抗性を示す肥満者では、インスリンによる内皮依存性の血管弛緩反応やアセチルコリンで刺激した際の内皮依存性の血管弛緩反応が低下していることが明らかにされている。一方、インスリン抵抗性状態に伴って生じてくる高インスリン血症は高血圧や動脈硬化といった血管機能と関連した病態を誘導することが多数の疫学研究から明らかにされており、高インスリン血症状態でのインスリンの血管壁への作用が注目されている。しかしながら、インスリンの血管壁への直接作用がもつ生理的あるいは病理学的意義に関しては不明な点が多い。インスリンによる血流増加作用が組織の糖取り込みにも関与するか否か、あるいはインスリンが直接動脈硬化を誘導するか否かなど議論を呼んでいる点も多い。動脈硬化とインスリン作用に関しては、全身のインスリン抵抗性状態を反映して、血管壁にもインスリン抵抗性がみられ、インスリン作用が低下することで血管障害を引き起こすと考える説と高インスリン血症に伴うインスリンの血管壁への過剰な作用が平滑筋細胞の増殖を促し動脈硬化を促進するという仮説がある。これまでの研究より、インスリンの血管壁作用が抗動脈硬化作用と動脈硬化促進作用の2面性を持つことが明かにされているが、臨床的にみられる高インスリン血症がどのように動脈硬化を進行させるのかに関してはまだまだ不明なままといえる。今回の発表では、現在までに明かにされているインスリンの血管壁に対する作用を我々のデータを含めて提示して、インスリンによる血管壁への作用の病理学的意義について述べる。
  • 横手 幸太郎
    セッションID: DS-3-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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     動脈硬化の発症・進展要因として、肥満、高血圧、高脂血症、それに耐糖能障害を主徴とする“メタボリック症候群(metabolic syndrome)”が注目されている。これまでの研究から、メタボリック症候群の成り立ちや2型糖尿病の発症にはインスリン抵抗性が重要な役割を果たすと考えられている。 血管平滑筋細胞は、粥状動脈硬化およびPCI(経皮的冠動脈インターベンション)後再狭窄の肥厚内膜における主要な構成要素である。内膜平滑筋細胞は血管壁中膜ならびに末梢血中の前駆細胞に由来すると考えられ、その増殖と遊走には、従来PDGFやHB-EGFといった細胞増殖因子の働きが重要とされてきた。インスリンレセプターもまた増殖因子レセプターと同じチロシンキナーゼの仲間に属し、事実、インスリンは培養平滑筋細胞の遊走や増殖を刺激する。ではインスリン抵抗性にしばしば随伴する高インスリン血症は、それ自体が動脈硬化を促進するのであろうか。また、PCI後の再狭窄発生率を著しく低下させたラパマイシン溶出ステントは、インスリン治療を行なっている糖尿病患者には十分な効果をもたらさない可能性が指摘されている。インスリンは複数の細胞内シグナル経路を活性化するが、ラパマイシンはその一部分しか阻害しない。それが原因であるならば、より糖尿病患者に適した治療デバイスを創出できる余地があろう。本発表では、我々の基礎的・臨床的成績をふまえ、平滑筋細胞におけるインスリン作用と動脈硬化について考えてみたい。さらに、これまでインスリン分泌過程の副産物と考えられてきたプロインスリン由来Cペプチドが血管平滑筋細胞に及ぼす作用についても言及する。
  • 窪田 直人
    セッションID: DS-3-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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     我が国の死因の第一位をしめる心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞)の主要な原因は肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧が重複するいわゆる代謝症候群と考えられる。従って肥満やメタボリック症候群の原因の解明とそれに立脚した予防法や治療法の確立が重要と考えられる。肥満がインスリン抵抗性を基盤として糖尿病、高脂血症、高血圧といった生活習慣病を惹起することは良く知られているが、肥満がインスリン抵抗性を惹起するメカニズムは不明であった。脂肪萎縮性糖尿病モデルマウスに対する生理的濃度のアディポネクチンとレプチンの同時投与により、このマウスで認められたインスリン抵抗性がほぼ完全に改善することから、アディポネクチンが脂肪細胞由来のインスリン感受性ホルモンであることが明らかとなった。さらに肥満・インスリン抵抗性・2型糖尿病モデル動物であるKKAyマウスでは血中アディポネクチンが低下しており、アディポネクチンの補充によりインスリン抵抗性、2型糖尿病が改善した。このことから、肥満ではアディポネクチンの分泌が低下しインスリン抵抗性や2型糖尿病の原因となっていること、アディポネクチンの補充は肥満に伴うインスリン抵抗性や糖尿病の効果的な治療手段となりうることが明らかとなった。次にアディポネクチンの個体レベルにおける生理的な役割を明らかにする目的で、アディポネクチン欠損マウスを作製しその表現型を解析した。アディポネクチン欠損マウスはインスリン抵抗性、耐糖能異常を呈した。またアディポネクチン欠損マウスはカフ傷害誘導性の内膜肥厚が野生型マウスに比し有意に高く、抗動脈硬化作用を有することが明らかとなった。我々はアディポネクチンの受容体(adipoR1、adipoR2)をクローニングし、その発現について検討したところ、興味深いことにadipoR1、adipoR2の発現量は骨格筋、肝臓においてインスリンによって発現量が低下した。この作用は、PI3キナーゼ阻害剤・恒常的活性型Foxo1により抑制され、adipoR1、adipoR2の発現調節はこれらの分子を介したものであることが示唆された。このことから肥満ではアディポネクチンが低下し、インスリン抵抗性が惹起された状態では高インスリン血症、あるいはインスリン抵抗性や肥満そのものによりadipoR1、adipoR2の発現も低下し、さらにアディポネクチン作用が低下するという悪循環が形成されている可能性も示唆された。adipoR1、adipoR2アゴニストのみならず、その発現を増加させる薬剤の開発は新規の抗糖尿病、抗動脈硬化薬となりうると考えられる。
ランチョンセミナー
  • 岡 芳知
    セッションID: LS-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    2型糖尿病の病態にはインスリン分泌障害とインスリン抵抗性があり、これには多くの遺伝子が関与する遺伝因子と肥満・運動不足などの環境因子が関わる。インスリン分泌障害が主である患者もいれば、インスリン抵抗性が強い患者もいるが、インスリン分泌障害が全くない患者は少なくともわが国ではいないといってよい。2型糖尿病の病初期では、グルコースに対する初期分泌反応(追加分泌)が障害されているのみで基礎分泌は保たれている。したがって、血糖値レベルは全体としてはそれほど悪くないのであるが、追加分泌障害のために食後の高血糖が目立つことになる。このステージでの追加分泌の障害とは、食後のインスリン分泌反応の遅延と言ったほうが正確である。決して絶対量が低下しているわけではない。 この時の治療法としては、遅延しているインスリン分泌を迅速にする速効性インスリン分泌促進薬(ナテグリニドなど)、あるいは、遅延しているインスリン分泌に合わせるかのごとく緩徐に糖を消化管から吸収させるαグルコシダーゼ阻害薬(ボグリボース、アカルボース)がある。これらによって食後高血糖が是正されると、ベースラインの血糖値もある程度低下してくることが多い。これは食後高血糖の是正により糖毒性が改善したためと理解してよい。食後高血糖がみられる患者では動脈硬化が進みやすいというデータもあることから、食後高血糖の是正は、動脈硬化の進展防止の点でもメリットが期待される。また、肥満、運動不足などによりインスリン抵抗性がうかがわれる患者では、メトホルミンあるいはピオグリタゾンの投与も考慮すべきだろう。 糖尿病患者の治療では、高血糖の是正とともに体重増加がしばしばみられる。これは特にSU薬ではしばしば経験される。数ヶ月-1年の後には血糖コントロールが悪化することは目にみえているし、もっと長い目では動脈硬化の進行が早まることが問題となる。このように体重増加は実に悩ましい問題である。インスリン分泌促進薬の中でも、作用時間の短いナテグリニドにはSU薬と違って体重増加を来たしにくいというメリットもあると思われる。
  • 小田原 雅人
    セッションID: LS-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    久山町研究によると糖尿病の心血管疾患の発症リスクは非糖尿病者と比較して約3倍に上昇していることが明らかになっている。またIGT(Impaired glucose tolerance)でも発症リスクは約2倍に上昇している。この傾向は欧米先進国でも同様であり、糖尿病と耐糖能異常は、心血管疾患リスクファクターとして極めて重要であることが認識されるようになってきた。1998年に発表されたFinnish Studyによると、糖尿病における心筋梗塞の初発率は、非糖尿病者の心筋梗塞再発率とほぼ同じであった。他の臨床研究においても糖尿病は冠血管危険因子のなかでも重要度の高いものであることが確認されている。糖尿病患者は、悪性新生物より血管障害で死亡する例が多いことが国内外のデータで明らかになっているが、血管障害のなかでも、欧米先進国では、糖尿病患者は冠動脈疾患で死亡する例が圧倒的に多い傾向にある。一方、わが国では、以前は脳卒中による死亡が多い傾向にあったが、近年、心筋梗塞による死亡が著しい増加傾向をしめしており、さらに現在進行中の糖尿病患者を対象とした前向き臨床試験であるJDCSでは、発症率でも心筋梗塞が脳卒中より多くなってきている。このようにわが国においても心筋梗塞の重要性は高まっており、心血管疾患を予防することはきわめて重要になってきている。UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)のサブ解析や、Finnish Studyのサブ解析から、冠動脈疾患の予防にも良好な血糖管理は重要であると考えられる。しかしながら、近年の臨床データより、血糖の全体的な管理のほかに、食後の高血糖の是正も冠動脈疾患の予防に重要であることが明らかになってきた。STOP-NIDDM試験はIGTを対象にα-グルコシダーゼ阻害薬であるアカルボースを投与することにより糖尿病の発症が抑制されることを示した試験であるが、この試験の2次エンドポイントの解析結果は衝撃的なものであった。すなわち、アカルボース投与により食後の高血糖を防いだことで、新規の高血圧の発症が34%、心血管イベントが49%も抑制されていた。また心筋梗塞は91%も抑制された。これらの事実は、少なくともIGTに対しては、食後の高血糖をアカルボースで抑制することが大きな利益をもたらすことを示している。また、その後に報告された、アカルボースを使用した糖尿病を対象とした7つの臨床試験のメタ解析によると、糖尿病においても食後の高血糖をアカルボースで改善するとSTOP-NIDDMと類似の冠動脈疾患発症抑制効果が認められた。このようなことから、IGT/糖尿病のいずれに対してもアカルボースによる食後高血糖の是正は有用であると考えられる。
  • 門脇 孝
    セッションID: LS-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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     日本人の動脈硬化性疾患における危険因子の中で糖尿病はその3割から4割を占め、近年その患者数は増加の一途をたどっている。この糖尿病患者の増加は主に、食生活の欧米化と身体活動の減少など生活習慣に起因するインスリン抵抗性・肥満が原因と考えられている。インスリン抵抗性・肥満は同時に高血圧症や高脂血症の発症原因となり、動脈硬化のリスクファクターが重積するいわゆるメタボリックシンドロームを引き起こす。 そこで我々はインスリン抵抗性モデル動物であるIRS-1欠損マウス、IRS-2欠損マウスを用いて血管内皮機能、インスリン抵抗性と動脈硬化の関連について解析を行った1)。IRS-1欠損マウス、IRS-2欠損マウスともにインスリン抵抗性に加えて高中性脂肪血症、高血圧などメタボリックシンドロームの発症が認められた。また、両マウス共に、血管内皮機能障害を引き起こし、さらに動脈硬化を悪化させることが明らかとなった。 ヒトのメタボリックシンドロームの最大の原因は肥満である。そこで、脂肪細胞から分泌されるアディポカインとインスリン抵抗性とメタボリックシンドロームの関係について検討した。すなわち脂肪細胞肥大であり、肥大脂肪細胞から過剰に分泌されるTNFα、レジスチン、FFAなどによる作用の結果、インスリン抵抗性が惹起される。このようなインスリン抵抗性惹起性の悪玉アディポサイトカインに加え、最近インスリン感受性増強の作用を有する善玉アディポサトカインの役割が注目されている。代表的な善玉アディポサイトカインであるアディポネクチンはAMPK(AMP-activated protein kinase)を骨格筋および肝臓において活性化することにより脂肪酸の燃焼と糖の取り込みを促進しインスリン抵抗性を改善2)3)。アディポネクチン自身の遺伝子多型(日本人の約40%が有する)や高脂肪食による肥満などの環境因子によりアディポネクチンの欠乏が惹起され、インスリン抵抗性の原因となっている4)5)。また、アディポネクチン欠損マウスはインスリン抵抗性、耐糖能異常、高脂血症などメタボリックシンドロームを呈した。更に、アディポネクチン欠損マウスでは、血管の炎症性内膜肥厚が亢進することから、アディポネクチンはインスリン抵抗性改善作用に加えて、血管障害抑制作用を持っていると考えられる4)6)。 更に、最近発現クローニングによって2つのサブタイプ(AdR1並びにAdR2)のアディポネクチン受容体を単離・同定することに成功した7)。AdR1は骨格筋・肝臓に、AdR2は肝臓に主に発現し、AdR1は骨格筋・肝臓におけるアディポネクチンの糖の取り込み、糖新生抑制、脂肪酸燃焼の促進を媒介し、AdR2はアディポネクチンの肝臓における脂肪酸燃焼促進作用を媒介する。従って、アディポネクチン受容体の作動薬は画期的な抗糖尿病薬、抗炎症薬、抗動脈硬化薬として期待できる。 本セミナーでは、メタボリックシンドロームの分子機構をふまえつつ、(1)インスリン抵抗性に対するアプローチ、(2)アディポネクチン作用不足に対するアプローチ、(3)個々のリスクファクターに対するアプローチ、について述べたい。文献1)Circulation 107: 3073-3080, 2003 2) Nature Medicine 7:941-946,2001 3) Nature Medicine 8: 856-863, 2002 4) J. Biol. Chem. 277: 25863-25866, 2002 5) Diabetes 51: 536-540, 2002 6) J. Biol. Chem. 278: 2461-2468, 2003 7) Nature 423: 762-769, 2003
  • 清野 弘明
    セッションID: LS-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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     1987年、ホノルルハートプログラムではブドウ糖負荷試験の1時間血糖値が高ければ高い程と冠動脈疾患発症のリスクが高まることが報告されました。2000年には、ヨーロッパ人を対象としたDECODE Studyでブドウ糖負荷試験2時間血糖値と心血管死亡率が有意の正の相関を示すことが報告されました。1996年には、2型糖尿病患者を対象としたGerman Diabetes Intervention Studyの結果では、2型糖尿病患者の食後1時間血糖値は、心血管疾患発症リスクと正の相関を示すことも報告されました。 海外の成績だけではなく、日本からも食後血糖値と心血管疾患発症についての疫学研究が報告されました。山形大学の舟形町研究(1999年)では、境界型という軽度の食後血糖上昇も心血管死亡に関係することが証明されました。また、アジア系人種を対象としたDECODA Study(2004年)の結果も同様に、ブドウ糖負荷2時間後血糖値が総死亡、心血管死亡の予測に重要であることが報告されました。 さらに2003年には、食後血糖改善薬であるアカルボースを用いた境界型から糖尿病発症を抑制できるか否かの研究であるStop-NIDDM trialにて、心血管疾患の発症抑制に関して、プラセボに比較して相対リスクが49%も低下、新規高血圧発症の相対リスクも34%低下したことが報告されました。Stop-NIDDM trialでは、IGTを対象にした研究でしたが、2型糖尿病を対象としたアカルボースとプラセボ群での52週以上追跡した7つの研究の成果を統合したメタ解析の結果では、アカルボースにより心筋梗塞の発症の相対危険度は64%と有意に低下し、全身血管イベント発症の相対危険度は35%低下していることが報告されました。 一方基礎的研究からも、グルコーススパイク(急唆な血糖上昇)が血管内皮細胞のアポトーシスを誘発することが証明され内皮細胞障害を惹起することが解りました。 以上より糖尿病患者の血糖コントロールの目標として、食後高血糖を制御し大血管発症を抑制する治療が必要となります。このためには、HbA1Cだけではなく、血糖値の動揺を示すM値を指標として治療を考えていくことも必要となります。M値を用いたSU薬、グリニド系薬の評価と、食後高血糖制御の治療戦略を考えてみたいと思います。
  • 山本 壽一
    セッションID: LS-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
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    1.糖尿病治療におけるセルフケアの重要性と満足感 糖尿病がもたらす合併症の脅威は良好なセルフケアの習慣や効果的な薬物療法によって減らせることが明らかになってきた。従って、糖尿病診療ではセルフケアの改善を図るためにさまざまな取り組みがなされてきた。病気や治療法などの知識の患者教育、患者心理やQOLを考慮した患者指導、またコメディカルに対する糖尿病ケア専門家の養成などである。このような取り組みもあり患者が治療者側に期待する診療内容も変化してきた。糖尿病診療に対する患者の満足は単に検査データを伝えるのではなく、セルフケアの目標設定やセルフケアの重要性や自信を高めることであった。2.セルフケア行動を改善するために有効なエンパワーメント法 過去においては患者のセルフケアを改善させるために一方的で強制的な指導がおこなわれていた。患者の気持ちを考慮せずに「禁酒しなさい」、「1400kcalにしなさい」などと指示することである。このように患者を制御しようとするアプローチは望ましい行動変容に繋がらない。患者の糖尿病に対する感情に焦点を当て、患者の自律性を支援するアプローチこそがセルフケア行動を改善させる。このようなアプローチの手法としてRobert Andersonが提唱したエンパワーメントがある。3.糖尿病診療支援ソフト「アキュチェックインタビュー」 セルフケアの障害となる要因、糖尿病を持ちながら生きていくことによる感情面での問題点、抑うつ度、低血糖、喫煙などの糖尿病診療で重要な治療上の問題を評価するためのITツールが「アキュチェックインタビュー」である。これはJoslin糖尿病センターGarry Welch博士により開発され、日本でも心理・行動学的研究の成果が報告されている。患者が入力したデータは結果レポートとしてプリントアウトされ患者と糖尿病ケア専門家が糖尿病の自己管理のために患者中心の議論を積極的に進めていくことができる。4.アキュチェックインタビューからエンパワーメントへ 私たちはアキュチェックインタビューを看護師の面談として導入することで、患者のエンパワーメントを促進し望ましい行動変容に繋がるアプローチを試みている。本セミナーでは具体的な事例を含めてアキュチェックインタビューの活用法について紹介する。
  • 山内 俊一
    セッションID: LS-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    食後高血糖の概念は、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)開発の歴史の中で、主に日本で形成された。その後、その病的意義に関する解明が遅れたため、一時影が薄れたが、1999年富永らにより発表された舟形町スタディや、ヨーロッパのDECODE studyが糖尿病での総死亡や心血管死亡率に対して、食後血糖値の方がFPGよりも強く影響することを報告し、その重要性が再認識された。2002_から_2004年にかけて、日米欧で続々と、食後血糖値は135~140mg/dl以下が望ましいとのかなり厳しい勧告が発表されるに至っている。食後高血糖のようなspike状の短時間のグルコースの増大自体は、糖尿病合併症の最大の原因の一つであるグリケーション(糖化)を促進するとは考え難い。しかし近年、糖化力や酸化力がグルコースの数百倍以上あるα-メチルグリオキサールや3-デオキシグルコソンなどが、食後にグルコースから容易に変換されて増加することが判明した。糖酸化された蛋白をマクロファージなどが除去する際にはサイトカイン他の炎症性物質の放出がみられる。食後の酸化ストレスの増強も誘発し得る。食後高血糖はこのように極めて重要である。しかし、血糖の“gold standard”として用いられてきたHbA1Cが、この食後高血糖を十分に把握できないことが問題化してきた。DECODE studyでは、HbA1Cの2型糖尿病の死亡予知力が負荷後2時間値に劣ることが示された。食後血糖との相関が悪い原因としては、糖化の機序自体からくる理由の他に、脱糖化に関係する酵素量に遺伝的な個人差があることなどが判明しつつある。このため、食後血糖値のモニターも必要な状況となってきた。ただし、血糖自己測定を導入するに当っては、食後血糖値の定義や、それに影響を与える食事に関する知識などが必要である。変動の激しい血糖値の特性を知り、HbA1Cやグリコアルブミン、1,5AGといった血糖指標との相関や解離を解釈できる技術力(ソフトウェア)を養うことが重要となる。食後高血糖を抑制するための食事療法、α-GIとグリニド系薬剤の使い分けとそれらの評価法,SU薬やピオグリタゾン,ビグアナイド系薬剤などとの併用方法,超速効型インスリンの意義や問題点,各種薬剤の体質改善効果が食後高血糖に及ぼす影響、などについて、最新の臨床試験の結果を織り込みながら実地診療現場に即して解説したい。
  • 木村 玄次郎
    セッションID: LS-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    糖尿病発症初期よりrenin-angiotensin (RA) 系抑制薬を投与するか蛋白制限食を与えておくと、腎症の発症を予防し得ることは実験モデルでBrenner一派によって既に明確にされている。最近、臨床レベルでも (1)糖尿病早期腎症期にACE阻害薬を投与すれば顕性腎症期への移行を阻止し得ること。(2)顕性腎症期にACE阻害薬を投与すれば、末期腎不全への進行を抑制し得ること。更に、(3)腎症未発症の糖尿病にACE阻害薬を投与すれば経年的な微量レベルの尿中アルブミン排泄量の増加が起こらないこと、が明らかにされた。angiotensin 受容体拮抗薬ARBにもACE阻害薬同様の腎保護作用の存在することが大規模臨床試験で証明された。以上の実験的および臨床的evidenceを総合して考えれば、RA系抑制薬には腎症を阻止し得る作用のあることが、少なくとも糖尿病性腎症では決定的と考えられる。糖尿病性腎症例に膵移植を実施し血糖を完全に正常化し、その後繰り返し腎生検した成績によると、5年後では不十分だが10年後には、肥厚した糸球体基底膜や増大したメサンジウム体積が正常化している。この成績は、これまでは不可逆性の進行過程とされて来た慢性腎不全が可逆性である可能性を示唆する。また、Remuzziらは、RA系抑制薬を平均3年間長期連続投与すれば、蛋白尿が完全に消失するのみならず糸球体濾過量は減少傾向が停止し、回復に転じると報告している。このように、慢性腎不全治療は point of no return の概念を返上し、完全寛解を目指すべき時代に入ったことを感じさせる。最近の Pittsburg研究などから、糖尿病から末期腎不全に陥る累積発症率は着実に抑制されていることが明らかにされた。したがって、糖尿病性腎症に基づいた末期腎不全の増加は、主として糖尿病人口の増加に起因するのであろうか。それにしても、 Steno 2 研究でも R A系抑制薬が早期腎症を回復させる強力な因子であることが証明された。
  • 山田 信博
    セッションID: LS-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    2型糖尿病の増加は疫病的な増加であるといわれている。特に、過食、高脂肪食、運動不足といった欧米型生活習慣がその増加に拍車をかけている。米国では急増する糖尿病に対して、その死因の50%以上を占める最大の死因である心血管イベントを中心にすえた予防戦略が注目されている。すなわち心血管イベント抑制のEBMのはっきりした高脂血症、高血圧管理こそ優先すべきとする戦略である。我国においても2型糖尿病患者を対象にした前向き研究JDCS(Japan diabetes complication stidy)において、糖尿病患者において虚血性心疾患が増加していることが示され、血糖管理に加えて、脂質代謝異常や高血圧の是正の重要性が明かとなっている。LDLが160mg/dl以下のハイリスク糖尿病患者を対象とした一次予防試験CARDSでは、リピトール(10mg) により主要心血管イベントを37%減少するのみならず、脳卒中の発症を48%減少し、脳卒中予防におけるスタンダードな治療としてのスタチンの適用も視野に入ってきた。NCEPの改訂版では、これら最新の知見をふまえて、very high riskの概念を導入し、very high risk患者の管理目標をLDL70 mg/dl未満に設定し、より積極的なLDL低下療法を推奨している。糖尿病患者はしばしばvery high riskであり、心血管イベント抑制を意識した診療が望まれる。
  • 大石 まり子
    セッションID: LS-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    医療技術の進歩、慢性疾患の増加に伴い医療にかかる費用は増加し続けている。一方、医療にかけられる費用は限られており、効率の良い有効な使い方が求められている。 医療経済学とは医療活動の経済的アウトカムを評価するものであり、その目標は疫学データやエビデンスとなる研究成績をもとに医療資源をもっとも効率よく配分する方法を探ることである。しかし、臨床研究で明らかにされるのは治療の一部であり、その効果は厳密に管理された条件下で観察されるものである。現実の医療では、患者の不十分な治療遵守や治療中断など、種々の要因により治療効果は減弱するのが常である。 医療活動のプレイヤーは支払者(行政)、医療提供者(医療機関)、消費者(患者)の三者であるが、しばしば三者間の利害は対立する。それぞれの立場にとっての糖尿病医療費、そして公平な社会の立場から見た糖尿病医療について、インスリン治療を中心としたいくつかの研究成績をもとに紹介する。 糖尿病医療費は、合併症を含めると2兆円を越していると推測され、単一疾患としては最も費用がかかっていると考えられる。糖尿病医療費を上げる要因は合併症と患者数の増加である。近年の調査で糖尿病患者および予備軍の増加は明らかであり、行政にとっても糖尿病予防対策は急務であり、医療費抑制への圧力も強くなっている。一方患者にとっては、自己負担金のみが医療費と感じられる。自覚症状の乏しい2型糖尿病では自己負担金の増加は受診率を低下させることが報告されている。その結果は治療中断による合併症の進行であり、将来の医療費を増大させる。 糖尿病は生涯にわたる継続治療が必要である。治療ガイドラインは、医療経済的には最適で効率の良い医療を展開するスタートラインと考えることができる。必要な検査、必要な治療を適切な時期に実施する指標である。インスリン治療においては、インスリン強化療法が健康改善効果とともに、費用効率のよい治療法であることが示されている(熊本スタディ)。 近年、医療活動と時間を管理し、治療効率を上げるクリティカルパスや、糖尿病の予防、そして診断から治療までを総合的に管理する「疾病管理」の考え方が導入されつつある。これらの経済的評価については不十分で未知数とはいえ、医療の質を保ちつつ、望ましい経済的アウトカムを達成するためには質の高い臨床研究と医療提供システムの構築が期待される。
  • 白井 厚治
    セッションID: LS-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    糖尿病のコントロールは、一般に無症状なことを理解し生活習慣を是正することが要求される。それは、決して容易なことではなく、かなり知識、検査地の意味を理解している人でも困難であり、ましてや、高齢化が進み、なかなか新しい概念の導入が困難な人に術語を駆使して検査値と生活習慣の関連の説明を試みても、効果はなかなか望めないのが現実である。毎回、診察の都度、「ヘモグロビンA1C」を繰り返し話している患者に対して、アンケート調査をし、その説明を求めると、意味と正常値をともに言えた人は約25%であった成績もそれを表している。それに対して、我々は、グラフでデータの流れを示すことにしている。「これがここになればよい」といったグラフをみての説明である。良し悪しを眼で理解してもらうのである。血糖コントロールを反映する検査法は、いくつかの変遷を経て、現在、HbA1cとグリコアルブミンとに大別される。また、前者は、カラム法と免疫法とがある。免疫法は最も長期期間を反映し2_-_3ヶ月、次いで、カラム法1_-_2ヶ月、そして、グリコアルブミンは、2週から4週間の血糖値を反映するとされる。これらを用いて患者指導に当たったとき、まじかな生活状態と血糖コントロールの状況との間に時差を想定し説明してゆくのは、かなり混乱を招く。検査値は、生活習慣、薬剤処方の変化により即して変わりうることが大切である。長きにわたる指導において正しい連携が積み重ねられると、確実に効果を示し始める。しかし、アルブミンのターンノーバーが変わった病態では、その値を多少影響を受けるものとして、とらえる必要がある。たとえば、ネフローゼ症候群では、より低値をとる。合併症との関係をみた成績では、HbA1cとほぼ同等であった。従って、日常診療で、より厳密な管理が必要な人に対する指導では、グリコアルブミンが適切であろう。HbA1cからの切り替えにおいて、換算値を用いるかあるいは、独自の値にするかのジレンマがあるが、長期的には、グリコアルブミンとしての値を使ってゆくことが望ましいと思われる。
イブニングセミナー1 心血管疾患を防ぐための糖尿病治療戦略
  • 野出 孝一
    セッションID: ES-1-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    糖尿病診療において血糖のコントロールを行うことで網膜症、腎症などの細小血管症はある程度予防できるが、虚血性心疾患、脳血管障害を含んだ大血管症の予防は困難である。近年、大血管症の発症には、空腹時血糖値よりも食後高血糖値がより多く関与していることが、疫学的な調査により明らかにされた。STOP -NIDDMでもIGT群に対してα-グルコシターゼ阻害薬が心血管イベントや高血圧の発症を抑制することが明らかになってきている。糖尿病発症前の、食後のみ高血糖を示す時期から大血管症は始まっており、これを予防しようとするならば、食後高血糖のみられる段階で、それが糖尿病に進展していくのを防止するのと同時に、大血管症を防止する企てを行う必要がある。血管内皮機能には内皮由来のNO、EDHF(内皮由来過分極因子)による平滑筋の弛緩作用、血管拡張の働きがある。内皮機能が良好に保たれていると接着分子は発現せず、単球の接着も起こらない。ところが、動脈硬化の危険因子があると、血管内皮が活性化され、血管内皮機能が低下し、血栓の形成が促進される。こうした重要な内皮機能の不全を血管不全と総称できる。心血管イベント発症を低下させるためには血管不全の予防・治療が重要であり、その危険因子のなかで最も重要なのが糖尿病である。われわれはIGT症例の血管内皮機能について、血流依存性血管拡張反応検査を行い検討した。IGT群では、血管内皮機能は低下していることが、低下していた血管内皮機能は血糖正常化により早期に改善してくる。ところが糖尿病が進行すると、血管内皮以外の平滑筋や間質に石灰化等器質的な変化が生じているため、単に血糖を是正するだけでは血管内皮機能は正常には戻らない。したがって、血管内皮機能からみると、大血管症を予防しようとするならば、食後のみ高血糖が見られる段階で、血管内皮機能を改善する企てがなされる必要があると考えられる。_II_型糖尿病においてもUKPDSにおいて従来のSU剤やインスリン治療によって細小血管障害は抑制されるが心筋梗塞・脳梗塞等の大血管障害に関しては必ずしもその発症を低下させないことが明らかになった。今後、グリメピリド等の第三世代のSU剤やピオグリタゾロン等のインスリン抵抗性改善薬を用いた大血管障害をエンドポイントとした大規模臨床試験が期待される。
  • 佐藤 譲
    セッションID: ES-1-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
     近年の日本人の死因の約30%は冠動脈や脳血管の動脈硬化による大血管障害であり、さらに増加しつつある。大血管障害の危険因子は高血圧、脂質代謝異常、高血糖、肥満、喫煙、加齢、男性などであるが、これらの多くにインスリン抵抗性が関与している。肥満、特に内臓脂肪型肥満ではインスリン抵抗性が増強し、インスリン抵抗性は耐糖能異常、高血圧、高中性脂肪血症などから構成されるメタボリックシンドロームを形成して動脈硬化を促進し、冠動脈疾患や脳血管疾患の発症リスクを高める。逆に、肥満の解消や薬剤によるインスリン抵抗性の軽減は動脈硬化の危険因子を改善して、大血管障害を減少させる。本講演ではインスリン抵抗性と心血管疾患の関連やインスリン抵抗性の治療による心血管疾患の予防などについて最近の話題を紹介する。
イブニングセミナー2 早期インスリン導入における障害の克服
  • 厚田 幸一郎
    セッションID: ES-2-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
     2002年度の糖尿病実態調査による本邦の糖尿病患者数は年々増加の一途をたどっており、必然的にインスリン治療患者数についても増加しつつある。しかしながら、いまだインスリン投与は注射によらざるを得ないものであるため、患者の受け入れには大きな抵抗があり、医療従事者においてさえもインスリン導入に対する躊躇が認められているのが現状である。 こうした中、インスリン療法を取り巻く環境は大きく変化してきている。なかでも、糖尿病を治療するための「武器」の増加、すなわち、インスリンアナログ製剤の登場やインスリン注入器(デバイス)の種類の増加は、その重要な側面の1つである。 これらの新しいインスリン製剤やデバイスを活用し、患者の受け入れの抵抗を少しでも改善すること、また医療従事者がこれらの利点や注意点を理解し、適切に指導していくことは、真に必要なインスリン治療をすすめていくために大きな力となると考えられる。 そこで、当院での経験を踏まえた上で、インスリン導入の際の服薬指導における留意点および注入器選択のポイントを提示したい。 まず、インスリン導入については、医師より十分な説明が行われているが、一度の説明ではインスリン療法を受け入れられない患者も散見される。そこで、薬剤師の立場からもインスリン治療の必要性を説明することが求められる。当院では、下記の項目について説明することを心掛けている。(1) インスリン治療は、決して難しくない(こわい)治療法ではない(2) インスリン治療は、決してめずらしい(はずかしい)治療法ではない(3) インスリンは、正確な手技であればほとんど痛みを伴わない。(4) インスリンの種類は多く、患者個々に対応した治療法が選択できる また、視力障害のある患者への導入指導は、「どの程度の視力があるか」などをきちんと把握した服薬指導と、注入器の選択が非常に重要になる。針の脱着や懸濁製剤の攪拌もちょっとした工夫が必要である。  さらに、定期的にインスリン自己注射手技を確認することや保管方法の重要性について、また、デバイスの選択では、長期的な試用と患者のライフスタイルにあわせることの重要性などについて提示したい。
  • 石井 均
    セッションID: ES-2-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/24
    会議録・要旨集 フリー
    糖尿病患者にとっては、糖尿病であることや治療をすること自体がストレスになり、療養が妨げられることもある。糖尿病は一生涯自己管理していく必要があり、それが継続できるように心のケアをしていくことの重要性が認識されるようになってきた。2001年に、糖尿病患者への心理的サポートを改善することを目的とした世界的プロジェクトDAWN (Diabetes Attitudes, Wishes and Needs)が発足した。2003年には日本独自で無作為に抽出した日本人糖尿病患者391例に対して、DAWN J調査を実施している。この結果、現時点での心理状態は比較的良好と考えられたが、合併症や家族への責任など将来への不安、低血糖への不安、および経済的な不安などいくつかの心理的不安を抱きながら生活している実態が明らかとなった。糖尿病患者の治療目標は、良好な血糖コントロールを維持し、長期的な合併症を予防するとともに、ウェルビーイングやQOLをよい状態に保つことにあるが、必ずしも治療目標を達成できていないことも事実である。これを達成するために、インスリン治療は極めて重要な道具であるが、医師の側、患者の側それぞれに誤解や抵抗があり、必ずしも適当な時期に導入されていないという結果も得られている。その理由を明らかにしていくことは糖尿病の治療効果をあげるために重要な意義を持つものと考えられる。演者らはこれを明らかにすることを目的とした質問表の作成を試み、少人数でのパイロットスタディを行った。従来あまり調査されていなかった医師側の態度としては、(1) インスリン治療の利益についての認識、(2)インスリン治療実施に関する困難度の認識について、インスリン治療に積極的な医師とそうでない医師との間に差が見られた。とくに低血糖への対処、インスリン治療を説明するスタッフの存在の問題が大きいようであった。患者側要素としては、ふたつの要素が問題となり、ひとつはインスリンへのイメージ-糖尿病が重篤であることを意味する-であり、今ひとつは注射することへの抵抗である。これらへの対応とより使いやすい道具の開発が望まれるようである。本イブニングセミナーでは、患者の心理的側面からのアプローチについて実例をあげながら紹介するとともに、インスリン導入時の障害についての最新知見を紹介したい。
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