アフリカ研究
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2011 巻, 78 号
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論文
  • ムウェラの親族系譜を中心として
    阪本 公美子
    原稿種別: 論文
    2011 年 2011 巻 78 号 p. 1-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/12/19
    ジャーナル フリー
    タンザニア南東部の諸民族は「母系制社会」を持つと認識されその特質や変容も研究されてきたが,母系と父系の系譜の関係については不明な点が多い。本論文では,ムウェラ民族の間で,父系氏族(kilawa)と母系氏族(ukoo)が二重単系出自として存在する上に,父系継承するようになった姓が重層的に存在することを明らかにした。同地域の他民族の間でkilawaは,その有無や継承が一貫していない。
    同地域の民族における交叉イトコ婚は,(1)ukooの母系継承を維持したムウェラにおいては異なる形で現れ,(2)父系化した氏族においては同ukoo内に変容し,(3)ウジャマー集村化以降いずれのukooを意識した婚姻も消失した。現在,夫方居住,父系財産相続,男性所有や夫婦共有が主流である一方,内陸ムウェラの間では,妻方居住や,女性による農地の単独所有(特に夫が不在の場合)も少なくない。
    本論では,ムウェラのkilawa・ukoo・姓に見られる父系と母系の系譜の歴史的蓄積・変容を明らかにし,類似民族として議論されてきた複数の「母系的民族」を参照し,継承や相続の諸事例において母系的傾向と父系的傾向がどのように現れているのかを考察した。
  • 乾燥葉の保存と分配に注目して
    八塚 春名
    2011 年 2011 巻 78 号 p. 25-41
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2013/12/19
    ジャーナル フリー
    アフリカ各地の農村では,畑に生える雑草を何らかの用途に利用している例は非常に多く,これらの雑草はその有用性のために畑に残され,生育へ人の積極的なかかわりが見られる場合が少なくない。本稿は,タンザニアの半乾燥地域に居住するサンダウェという人びとと、畑に生育するニセゴマ(Ceratotheca sesamoides)の多様なかかわりを明らかにし、ニセゴマの利用がサンダウェ社会にどのように影響しているのかについて検討することを目的とする。
    調査の結果、以下の点について明らかになった。1)サンダウェはニセゴマに高い利用価値をおいており,畑でニセゴマを管理している。2)畑に生育するニセゴマの量は世帯ごとのばらつきが大きい。そのため、他者の畑で採集することができるが,そのためのゆるやかな慣行が存在している。3)サンダウェは生葉だけではなく葉を乾燥保存して乾季に利用していた。4)乾燥葉をめぐり世帯間で多様なやりとりがみられ、ニセゴマと穀類のように価格の異なる異種のものの間での物々交換も行われていた。ニセゴマをめぐるこうしたやりとりは、ニセゴマという「半栽培」植物の特性と交換が根付くサンダウェ社会の仕組みによって成立していると示唆された。
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