アフリカ研究
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2013 巻, 82 号
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論文
  • 西部州ブニャラ県における家計調査データ分析を通じて
    伊藤 紀子
    原稿種別: 論文
    2013 年 2013 巻 82 号 p. 1-14
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,ケニア西部州ブニャラ県の3村で行った家計調査データを主として用いながら,世帯の生計戦略の実態を明らかにし,生計における親族関係の果たす役割について考察することである。近年,生計を資産,経済活動,それらへのアクセスの総体と捉える生計アプローチの枠組みが主流になってきた。世帯の生計を分析した結果,多くの世帯は自給農業に非正規非農業を組み合わせて生計を立て,贈与に依存する世帯もあった。
    ただし,低所得で不安定な活動の組合せや,他世帯に依存する生計がどのように維持されているのかを,各世帯の限られた資産の観点から説明することは困難であった。そこで,世帯の資産アクセスや成果の分配がどのように行われるのかを,親族関係に注目して考察した。親族関係は,資産アクセスの多くを媒介し,世帯間の互恵的相互作用を通じ経済格差を縮小しているものの,格差は完全に平準化されていない。親族集団には多様な資産を持ち,活動に従事する世帯が内包されるため,集団単位で生計多様化が達成される。世帯は,集団外にも結婚の仲介や儀礼親族関係を広めている。このような広い意味での親族関係は,農村の社会的地位をもたらす社会関係としても作用しているとみられた。
研究ノート
  • モザンビークおよびアンゴラからサン・トメへの移民を中心に
    網中 昭世
    原稿種別: 研究ノート
    2013 年 2013 巻 82 号 p. 15-23
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    植民地期のモザンビークとアンゴラは,ともに宗主国ポルトガルの産業および国際市場に向けた一次産品を生産すると同時に,自国・他国問わず近隣植民地へ労働力を供給することで外貨を獲得し,ポルトガルの財政に資するという役割を担ってきた。本稿は,こうした植民地経済の構造の中で,第一次世界大戦前後にモザンビークおよびアンゴラからギニア湾上のポルトガル領サン・トメおよびプリンシペへ多数の「契約労働者」が送り出されていた事実に着目する。これらの送り出し地域はいずれも第一次世界大戦のアフリカ戦線となった地域である。第一次世界大戦期は住民による植民地支配への抵抗が活発化し,さらにはそれを封じる植民地軍の制圧も多数記録されている。本稿ではこの点を重視し,第一次世界大戦がポルトガル植民地の情勢と現地社会におよぼした影響を,この時期に増加した「契約労働者」の送り出しと関連付けて考察する。
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