本ワークショップの目的は,現代の近代医学的と,知識・資源(癒し,治療,ケア)・技術を内含する地域的な実践の両方を取り入れながら,地域の人々がどのように病気を予防・治療・ケアし,健康を維持しているのかを理解するための学際的・国際的な連携として設立している「医療在来知ネットワーク」を紹介することであった。基調講演者と口頭発表者は,医療在来知についての自らの考察や,エチオピア,タンザニア,ウガンダ,マラウイでの研究について述べた。医療在来知は,人の生物医学要素と動物・環境との相互作用,健康システムと倫理的問題,社会文化的環境など,健康の多面的な側面を含んでいることが議論された。発表と議論によって,いずれの研究においても,人々が身体や健康問題の要因と予防,ケアの様式をどのように認識しているのか,という問いを考慮する重要性が示唆された。これらの知識や資源をもとに,学際的な連携を通して,安全で実現可能で持続可能な健康の選択肢について,バランスのとれた知識を生み出すことができる。また,地域の視点について人々から知識やフィードバックを繰り返し得ることが必要である。その上で,地域,学校,患者への健康教育の内容を開発し,ICTを活用した健康教育の効果的な展開を考えることができると考察された。
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