アフリカ研究
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2024 巻, 106 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
論文
  • ─シャフィ・アダム・シャフィのKasri ya Mwinyi FuadVuta N'kuvuteの比較
    小野田 風子
    原稿種別: 論文
    2024 年2024 巻106 号 p. 1-11
    発行日: 2024/12/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー

    ザンジバル出身のスワヒリ語作家シャフィ・アダム・シャフィのKasri ya Mwinyi Fuad (1978) とVuta N'kuvute (1999) は,いずれもザンジバル革命の前後という同じ時代と場所を舞台にした小説である。さらに両作品において,非アフリカ人,すなわちアラブ人とインド人が重要な役割を担う。アフリカ人と非アフリカ人は二項対立的に範疇化され,非アフリカ人は,アフリカ人側に身を置く三人称の語り手によって,他者として差異化される。加えて,双方の小説において,アフリカ人と非アフリカ人とが社会的に隔たっている様子が描かれる。共通点の多い二作品ではあるが,社会的隔絶への是非という点では,二作品は異なった立場をとる。Kasri ya Mwinyi Fuadの語り手は,隔絶を肯定的に描く一方,Vuta N'kuvuteの語り手はその状況に対し否定的なのである。本稿では,二作品の他者表象を比較,分析し,歴史的背景に照らし合わせることで,二作品の違いの要因を考察する。本稿の目的は,ナショナリズムを多分に反映し発展してきた現代スワヒリ語文学における他者表象という,本質的な問いについての研究を前進させることである。

  • ─ケニア南部カジアド県におけるケニア聖公会の活動について
    楠 和樹
    原稿種別: 論文
    2024 年2024 巻106 号 p. 13-22
    発行日: 2024/12/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー

    植民地期のケニアでは,アフリカのほかの国々と同様に,ヨーロッパ人宣教師が宣教共同体において医療,保健,教育などをアフリカの人々に提供した。農業支援もそうした活動の一環だったが,当初の目的はあくまで拠点の運営を支えるとともに,改宗者に労働や規律の観念を浸透させることにあった。しかし,脱植民地期になると教会による農業支援の在り方は大きく変化した。本論はケニア南部のカジアド県においてケニア聖公会がどのような論理のもとで農業支援を展開したのかを検討した。

    聖公会は人間を霊的にも身体的にもケアするという「全人」の思想に依拠することで,農村開発を促進するというポスト植民地国家の開発理念に沿った活動を展開することができた。聖公会がイシニャ市で運営していたマサイ農村訓練センターでは,おもに牧畜民のマサイの人々を対象とした農業訓練のほかに,普及活動も行われた。聖公会は国家の存在が手薄なこの地域で農村政策を補完することで,マウマウの「更生」に加担するという過去を持ちながらも,共和国政府のもとでみずからの居場所を確保することができた。ただし,その活動がマサイの改宗につながることはなかった。聖公会はマサイランドにおいて一定の成果をあげたものの,それは開発のエージェントとしてであり,キリスト教化には直接寄与することはなかったと考えられる。

研究ノート
  • 石川 博樹
    原稿種別: 研究ノート
    2024 年2024 巻106 号 p. 23-30
    発行日: 2024/12/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー

    イネ科の穀類テフ(Eragrostis tef)を主な原料とする酸味のある平焼きパンであるインジェラは,しばしば「エチオピアを代表する食べ物」と称される。現在見られるインジェラは「液状生地を焙烙に円形になるように回し入れる」方法でつくられているが,1840年代半ばにはこの方法は導入されていなかった。本稿では,エチオピア中央部のショア地方において,現在見られるインジェラがつくられるようになった時期を検討した。主な結論は次のとおりである。(1)1840年代半ばから1870年代後半までの間に,エチオピアのキリスト教徒居住地において,「液状生地でつくられる平焼きパン」の厚みが増すという現象が生じた。この変化は1880年前後にショア地方で観察された「液状生地を焙烙に注いだ後,焙烙とふたを濡らした布で覆う」方法の導入の結果であった可能性が高い。(2)ショア地方において「液状生地でつくられる平焼きパン」の調理に「液状生地を焙烙に円形になるように回し入れる」方法が導入されたのは1879年から1898年までの間であった。同地方では1882年から1886年までの間に「液状生地でつくられる平焼きパン」の調理方法が変化した形跡があり,この時に「液状生地を焙烙に円形になるように回し入れる」方法が導入された可能性もある。

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