アフリカレポート
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51 巻
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
復刊にあたって
論考
  • 佐藤 章
    2013 年 51 巻 p. 1-15
    発行日: 2013/06/06
    公開日: 2021/10/29
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    本稿は、アフリカ開発にとって不可避の課題として認識されている紛争解決と平和構築の問題に関して、とくに国連や欧米諸国などのアフリカ域外の主体によって行われてきた軍事的取り組みの歴史と現状を考察しようとするものである。紛争解決・平和構築を目的として域外主体によって行われてきた軍事的取り組みは、1990年代のソマリアとルワンダでの経験を踏まえて試行錯誤が積み重ねられてきた。これを経て近年では、域外主体がアフリカ諸国の平和構築能力の強化を支援しつつ、国連PKOに代表される域外の軍事要員がアフリカ側と連携する体制が確立されてきている。本稿ではこのような歴史を整理したのち、アフリカの紛争解決・平和構築に深く関わる新しい考え方として注目されている「保護する責任」をめぐる問題を論ずる。具体的には、「保護する責任」に依拠して2011年4月にコートジボワールで行われた国連PKOによる軍事行動を取り上げ、「保護する責任」をめぐり提起されてきた諸論点が、この現実の軍事行動においてどのように現れていたかを検討したい。

  • 佐藤 千鶴子
    2013 年 51 巻 p. 36-54
    発行日: 2013/08/09
    公開日: 2021/10/29
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    2012年11月~2013年1月、南アフリカ共和国西ケープ州の20を超える農場地帯においてストライキが発生した。幾人かの識者が「歴史的」と表現した同ストライキは大きな注目を集め、農場労働者の賃金や待遇をめぐる問題の重要性を改めて喚起した。ストライキを収束させるため、政府は農場労働者に対する法定最低賃金の見直しを約束し、2013年3月1日には農場労働者の最低賃金が日給105ランドに改定された。農場労働者が要求していた日給150ランドには及ばなかったものの、それまでの最低賃金を50%以上も上回る大幅な上昇改定であった。

    本稿はこのストライキについて3つの観点から考察を加える。第一に、ぶどう生産地デドゥランズ(De Doorns)を震源地として起こったストライキの発生から収束までの経緯を整理する。第二に、農業部門における雇用環境の変化を見ることを通じて、農場労働者のストライキがなぜ起こったのか、その背景要因を探る。第三に、「自然発生的」と報道されたストライキが実際にはローカルな農場労働者の自治組織によって主導されていたことを確認したうえで、ストライキと賃金をめぐる交渉に外部の支援組織が介入するようになった結果、労働者の主体性にどのような変化が生じたのかについて考察する。

  • 福西 隆弘
    2013 年 51 巻 p. 55-62
    発行日: 2013/09/03
    公開日: 2021/10/29
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    世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンドでは、後発開発途上国が無税無枠で他国に輸出できる措置を実施することが協議されているが、ラウンド自体が合意に至っていないため、各国はWTOの枠組みとは別に、二国間で優遇的なアクセスを提供している。本稿では、アメリカおよびEU市場への優遇アクセスの下で衣料品の輸出を成長させてきたマダガスカルの縫製産業を例に、二国間の優遇アクセスの成果と課題を検討した。マダガスカルでは2009年に政変が発生し、アメリカ政府は同国に対して輸入関税を免除するアフリカ成長機会法(AGOA)の適用を停止した。AGOAの中止は、同国からアメリカ市場向けの輸出を64~78%減少させ、その影響は政変そのものよりも大きいと推定された。また、企業レベルでは、アメリカ向けに輸出していた工場の閉鎖と、それに伴って非熟練労働者を中心に雇用が減少したことが企業データから明らかになった。低所得国に対する優遇アクセスの中止は、輸出額の減少を通じて、教育水準が低い女性の雇用に大きな影響を与える可能性がある。貧困削減の点からは、制度の運用変更が容易な2国間よりも、多国間の枠組みの下で安定的な優遇アクセスが提供されることが望ましい。

  • 渡邊 祥子
    2013 年 51 巻 p. 63-78
    発行日: 2013/10/16
    公開日: 2021/10/29
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    電子付録

    アラブ革命の震源地となったチュニジアでは、2011年1月の政変によってベン・アリー体制が崩壊したのち、イスラーム政党「ナフダ運動」を中心とする新連立政権が誕生した。しかし、ナフダ政権はその後閣僚の辞任、野党政治家の暗殺、サラフィー主義の台頭などの問題に見舞われ、早くも危機に直面している。

    ナフダ政権の不安定は、よく言われるような、「世俗主義」対「イスラーム主義」の対立が政治と社会を二分する状況に起因するというよりは、チュニジアにおける政党政治の成熟度と関わっている。すなわち、反体制の社会運動として始まり、30年の非合法活動を経て、革命によって一躍与党となったナフダの背景を考慮した時、同党の不安定性は、新興民主主義国の政党に特有の問題として浮かび上がってくる。本論では、ナフダのどのような特性が政権不安定へとつながっているのかを指摘し、構造上の問題が政策決定上の障害として表れた事例として、2013年2月のジバーリー首相辞任の過程を分析する。

  • 佐藤 千鶴子
    2013 年 51 巻 p. 79-91
    発行日: 2013/11/11
    公開日: 2021/10/29
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    2012年8月、ストライキに参加した34人の鉱山労働者が警察の発砲によって死亡した南アフリカ、マリカナ(Marikana)鉱山での悲劇的事件から1年以上が経過した。マリカナ事件は南アフリカ国内外に大きなショックを引き起こし、民主化によって誕生したアフリカ民族会議(African National Congress: ANC)政権が黒人労働者を無慈悲に虐殺した事件として、アパルトヘイト時代の民衆抵抗に対する警察による暴力的弾圧に匹敵するような出来事として語られることになった。

    本稿では、マリカナ事件を導いた鉱山労働者のストライキについて事実関係を振り返った上で、なぜこの悲劇が起こったのかを明らかにするためにズマ大統領が設置したマリカナ調査委員会(通称ファラム委員会)による調査の進捗状況について検討する。さらに、同ストライキが山猫ストであったことに注目し、労働者主導のストライキが増加した原因として指摘される鉱業部門の労使交渉をめぐる制度的問題とマリカナ事件が浮き彫りにした南アフリカ社会の課題について考察する。

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