アフリカレポート
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52 巻
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論考
  • 武内 進一
    2014 年 52 巻 p. 24-33
    発行日: 2014/06/27
    公開日: 2021/09/30
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    中央アフリカでは、2013年3月、当時のボジゼ政権がムスリムを主体とする武装勢力セレカの攻撃によって瓦解して以降、宗教の差異を基軸とする対立が激化し、暴力に歯止めがかからない状況が続いている。こうした「宗教対立」の根本には、政治秩序の崩壊がある。現在の混乱は、植民地化以前の奴隷狩りをも含む長期の歴史過程において中央アフリカ国家に埋め込まれた矛盾の噴出と解釈できる。フランスをはじめとする国際社会の関与は、人道危機を緩和する効果があった一方で、結果として国土の分断を促した。事態は依然として流動的だが、中央アフリカが政治秩序の確立に失敗すれば、国際安全保障上の著しい脅威となることは避けられない。

  • 津田 みわ
    2014 年 52 巻 p. 64-77
    発行日: 2014/11/10
    公開日: 2021/09/30
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    2011年10月のケニア国軍による南部ソマリアへの越境攻撃開始後、ケニアではアッシャバーブの報復攻撃とみられるテロが多発している。そのケニアで、2014年6月、ソマリア国境に近いンペケトニと呼ばれる一帯において大規模な住民襲撃事件が発生した。アッシャバーブがすぐに犯行声明を出したものの、ケニアのケニヤッタ大統領はアッシャバーブの犯行を否定し、「特定コミュニティを標的にしたエスニック・バイオレンス」だとの見解を表明した。ンペケトニ事件は、「悪化するテロ対ケニア政府による治安強化」というこれまでの図式に、いかなる波紋を投じたものだったのだろうか。本稿では、このンペケトニ事件を整理し、ケニア政府側の対応を追いながら、ンペケトニ周辺の土地問題と民族的分布との関係、与野党対立の現状、そしてケニアのインド洋沿岸を舞台に今も続く分離主義運動を中心に事件の背景を探り、今後の影響を考察する。

  • 澤田 昌人
    2014 年 52 巻 p. 78-87
    発行日: 2014/11/14
    公開日: 2021/09/30
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    コンゴ民主共和国の安定を図るため、国連は周辺諸国、アフリカ連合などと協力して新たな構想を立ち上げた。その構想「フレームワーク」ではコンゴ軍と協力して、コンゴ東部の武装勢力を一掃する作戦を展開することとなった。ADFと呼ばれる武装勢力もその標的の1つであるが、いまだに武装解除できていない。本稿ではADFの誕生から現在までの歴史をたどり、彼らが地元住民と社会的、経済的に緊密なネットワークを形成して共存していることを示す。またADFが、コンゴ軍やそのほかの武装勢力による暴力から地元住民を保護する役割を果たしていることを示唆し、コンゴ軍よりも支持されている可能性を示す。コンゴを安定させるためには武装勢力への軍事行動だけでなく、コンゴ軍を含む、政治、行政機構の改革にこれまで以上に積極的に取り組む必要がある。

  • 松浦 直毅
    2014 年 52 巻 p. 88-97
    発行日: 2014/11/18
    公開日: 2021/09/30
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    アフリカ熱帯雨林とそこにすむ野生動物の保全は喫緊の国際課題であるが、政情不安や経済の停滞にくわえ、地域住民との軋轢が保全政策の大きな障害となっている。有効な保全体制を構築するためには、地域の社会的文脈をふまえ、地域コミュニティごとに固有の特徴と地域住民の多様性を理解することが重要である。そこで筆者は、ガボンの国立公園を対象に、地域コミュニティの歴史的・文化的背景および住民生活の実態について調べた。その結果、①地域コミュニティは、その歴史的・文化的背景により、出自や経歴が多様な人々から構成される流動的なものであること、②住民生活は、伝統的な自然資源利用を基盤としながらも、伐採事業や保全事業に強く影響を受けていることが明らかになった。一枚岩的な地域住民を前提とした「住民参加」概念を外部から当てはめるのではなく、地域社会の実態に即して内部からコミュニティを抽出し、それをもとに保全と開発事業を進める必要があるといえる。

  • 杉本 喜美子
    2014 年 52 巻 p. 106-118
    発行日: 2014/12/22
    公開日: 2021/09/30
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    本稿では、アフリカにおいて発展しつつある株式市場が、アフリカの各国経済に与える影響を分析する。最初に、アフリカの株式市場が、世界と比較すれば金額では小さいものの、アフリカの中ですでに活用されており、国際投資家からも注目されているという現実を明らかにする。次に、Sugimoto, Matsuki and Yoshida[2014]を概説し、アフリカ主要7カ国の株式市場のリターン(収益率)は、2004年以降、グローバル市場の動きから最も影響を受けており、世界金融危機などの際には平時よりも大きなグローバルショックを受けていたことを示す。最後に、アフリカ16カ国における株式市場の域内相互依存度を、固定相関係数(CCC-GARCH)モデルを用いて比較し、2012年以降、各地域共通の証券取引所創設にむけて積極的に連携姿勢を示すアフリカ諸国の間で、株式市場の地域的な連動性が高まってきていることを確認する。

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