アフリカレポート
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59 巻
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特集 コロナ禍におけるアフリカの人々
論考
  • 岡村 鉄兵, 黒崎 龍悟
    2021 年 59 巻 p. 110-121
    発行日: 2021/09/23
    公開日: 2021/09/23
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    太陽光発電による小規模な独立型電源(Solar Home System、以下SHS)は系統電力網が整備されていない地域で、安価に再生可能エネルギーによる電化が可能と期待され、アフリカ農村において2000年頃から急速に普及が進んでいる。しかし、SHSの世帯レベルの電気の利用状況に着目した事例研究は少なく、住民が問題を抱えるに至る要因やそれによって農村住民にもたらされる影響は明らかにされていない。そこで本稿では、タンザニア南西部の農村での現地調査をとおして、SHSの普及状況と不適正利用の実態とその要因を明らかにした。調査はSHSを所有する32世帯とSHS販売者へのヒアリング調査、およびSHSを所有する世帯から10世帯を抽出してデータロガーによる出力測定をおこなった。結果、ほとんどの世帯がシステムの要となるバッテリーの管理に問題を抱えており、そのための経済的損失が示唆された。アフリカの電化状況や関連政策の評価はこのような利用の実態をふまえることが不可欠である。

  • 島田 周平
    2021 年 59 巻 p. 122-132
    発行日: 2021/09/23
    公開日: 2021/09/23
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    ナイジェリアはサハラ以南アフリカのなかで最大のディアスポラ送出国であり、彼らからの送金受入れ額でも突出した国である。ディアスポラの送金額は政府にとって無視できないものであり彼らの政治的発言力も高まってきている。

    ディアスポラと政府の関係はつねに良好なわけではない。2期目に入ったブハリ政権に対するディアスポラの批判は高まっている。ひとつは国際派的視点からの政治的民主化要求や強権政治批判であり、いまひとつは民族派的視点からの分離独立の要求である。

    ブハリ政権は、国際派ディアスポラの民主化要求や人権擁護の要求に対しては、国内の反政府運動との連携を阻止するため銀行口座の凍結やSNSの規制などを実施した。また独立を目指す政治組織IPOBに対しては、民族派ディアスポラも含めて徹底的に抑え込む方針で臨み、彼らと国内(東部)の政治家や伝統的支配者との分断を図ってきた。

    ブハリ政権は、ディアスポラの活動が国内の反政府運動や独立運動と連携することがないよう細心の注意を払ってきた。それが今後も可能かどうかは注視が必要である。

  • 沓掛 沙弥香
    2021 年 59 巻 p. 133-146
    発行日: 2021/10/29
    公開日: 2021/10/29
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    タンザニアでは、独立後のナショナリズムのなかで「国語」としてのスワヒリ語振興政策が取られたが、1970年代後半以降の深刻な経済危機を背景に言語政策議論は明確な指針を失い、以降影を潜めていた。しかし、2014年頃から再びスワヒリ語振興政策が打ち出されるようになり、その傾向は2015年11月に就任したマグフリ大統領率いる政権でいっそう顕著となる。ただし、独立後ナショナリズム期の言語政策の要であった教授用言語のスワヒリ語化は、マグフリ政権下のスワヒリ語振興政策には含まれなかった。本稿は、マグフリ大統領のスワヒリ語振興政策に関連するディスコースを分析することでその理由を考察し、同政策が、エリートと人々を分ける境界としての英語の特権性を維持し、「虐げられた人々」への庇護という文脈を包含して興っているものであることを明らかにする。

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