ナイジェリアはサハラ以南アフリカのなかで最大のディアスポラ送出国であり、彼らからの送金受入れ額でも突出した国である。ディアスポラの送金額は政府にとって無視できないものであり彼らの政治的発言力も高まってきている。
ディアスポラと政府の関係はつねに良好なわけではない。2期目に入ったブハリ政権に対するディアスポラの批判は高まっている。ひとつは国際派的視点からの政治的民主化要求や強権政治批判であり、いまひとつは民族派的視点からの分離独立の要求である。
ブハリ政権は、国際派ディアスポラの民主化要求や人権擁護の要求に対しては、国内の反政府運動との連携を阻止するため銀行口座の凍結やSNSの規制などを実施した。また独立を目指す政治組織IPOBに対しては、民族派ディアスポラも含めて徹底的に抑え込む方針で臨み、彼らと国内(東部)の政治家や伝統的支配者との分断を図ってきた。
ブハリ政権は、ディアスポラの活動が国内の反政府運動や独立運動と連携することがないよう細心の注意を払ってきた。それが今後も可能かどうかは注視が必要である。
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