アフリカレポート
Online ISSN : 2188-3238
Print ISSN : 0911-5552
ISSN-L : 0911-5552
62 巻
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
論考
  • 玉井 隆
    2024 年 62 巻 p. 1-14
    発行日: 2024/01/10
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル フリー HTML

    本論は、ナイジェリア政治に対して失望する若者について描くことを目的とする。具体的には警察部隊のひとつである対強盗特殊部隊による、市民に対する暴力への抗議運動(End SARS)と、2023年の大統領選挙における、ピーター・オビ候補支持者(Obidient)による運動に関わる2人の若者の経験を検討する。彼らは、End SARS運動やObidient 運動を通して、多くの若者が国家に対する構造的な変化を求めたり期待したりする最中で、それが適うはずがないと考えていた。既存の研究はこれらの運動について、若者による民族・宗教・地域に必ずしも捉われない市民的価値を共有した政治的活動の現れとして肯定的に評価している。しかし本稿は事例検討を踏まえ、機能不全となった国家の構造は変わることはなく、また腐敗権力が作動する暴力と混乱に満ちた日常を生きざるを得ないために、ナイジェリア政治に失望する若者の存在を明らかにする。

  • 田中 克昌
    原稿種別: 論稿
    2024 年 62 巻 p. 58-70
    発行日: 2024/12/24
    公開日: 2024/12/24
    ジャーナル フリー HTML

    スーダンでは2019年のバシール政権崩壊後、軍民間のパワーシェアリングをめぐる合意が成立し、ハムドゥーク首相率いる民政移管政権が発足した。本稿は、同政権が国際通貨基金(IMF)監督下の経済改革を実施した要因、及び経済改革が2021年のクーデターや2023年の内戦に与えた影響を分析した。政権幹部らへのインタビュー調査等から、同政権が欧米ドナー国からの圧力を受けつつも、経済改革を民政移管の道程と捉え、自ら積極的に推進したことが明らかになった。また、経済改革が物価の高騰や文民勢力内の対立等、政治経済の混乱を招いたほか、経済改革の進展が軍勢力やバシール政権関係者の利権剥奪につながるとの懸念を招き、軍勢力がクーデターを実行する一因になった可能性が高いことも明らかになった。これらの分析から、経済改革が国内政治と相互に連関しており、政治的、経済的に脆弱な国家において関連アクターへの影響を考慮せず実施された場合、国内政治のさらなる不安定化を招き得ることが明らかになった。

時事解説
資料紹介
feedback
Top