地球科学
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52 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 畑 裕一
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 251-261
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    地下水揚水量に関する考え方の正しい目的・適応範囲・用法を明確にするため,従来の概念について調べた.レビューにより世界中で,2種類の適正揚水量,適正地下水利用量,適正限界揚水量,安全揚水量,永続性揚水量,持続性揚水量,枯渇性揚水量,許容揚水量の9種類の定義が確認された.これらを分析すると,1)個々の井戸の限界揚水量,2)複数井戸の適正利用量,3)地下水盆の可採地下水利用量,4)非更新性地下水盆の可採地下水利用量,5)地下水資源の開発と保全における開発許容レベル,の5つに分類された.また各概念の特性を評価するため,その適応範囲,経済性,水収支の均衡,社会経済性(環境科学性)の4要件について考察した.その結果,許容揚水量のみが全ての要件を満たしていることがわかった.本研究で,各地下水揚水量に関する概念の目的・適応範囲・用法について明確に定義付けすることができた.これら地下水揚水量に関する正しい概念が定着し,地域の実状に合った地下水揚水量が決定をされるようになれば,大規模な地下水利用が行われている開発途上国における地下水開発計画策定水準は飛躍的に向上する.
  • 田中 里志, 田中 淳, 山崎 博史, 成田 耕一郎, 橘 徹, 金沢 淳, 前島 渉, 志岐 常正
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 262-274
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    1994年9月15日,琵琶湖において観測史上最大の渇水値である-123cmを記録し,琵琶湖東岸の新海浜沖の水面上にバーが出現した.調査地点では,ビーチに平行な4列のバーが確認でき最も沖合いに出現した第4列目のバーについて内部堆積相の解析を行いその形成過程を明らかにした.バー内部は,境界面b-fで区切られるユニットA-Eに分けることができ,各ユニットはビーチにおけるバーム,バームクレスト,ビーチフェイスに相当する形態的特徴を有している.さらにユニットB-Eは,ユニットAを基にして順次沖側(前進)付加するとともに,上方(積み上げ)付加の堆積作用により形成されたことを示している.これらのユニットA-Eは湖水位の低下とともに形成された堆積体であり, "卓越風"による沖側からスウォッシュする寄せ波により順次付加堆積したものと考えられる.特に,ユニットAとBの境界面bは,水位の低下に伴い平坦化された再活動面と解釈でき,その形成日時を特定し,バーを構成する各ユニットの具体的な日変化過程を明らかにした.また,より岸側に位置する第3列目のバーは,岸側付加堆積の特徴を示すとともに,一般に砂浜海岸で形成されるリッジーランネルの形態的特徴を有している.これらの事実は,第3列目のバーの形成過程が明らかに異なることを示している.
  • 大和大峯研究グループ
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 275-291
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    辻堂地域の地質は,東西方向の下多古川断層と南北方向の北角断層により,北部・東部・西部の3地域に区分される.みかけ下位より上位へ,北部地域では四万十帯の槙尾層,赤滝層が,東部地域では四万十帯の伯母谷川層,秩父帯の高原層,山葵谷層,大普賢岳層が,西部地域では四万十帯の宇井層,赤滝層,伯母谷川層が構造的に重なる.各層は緩く北に傾斜したスラストで境される.四万十帯の地質体を精査した結果,宇井層と赤滝層はメランジュを含む地質体であり,産出する放散虫化石から,宇井層はTuronian〜Santonianに,赤滝層はConiacian以降の白亜紀新世に付加体として形成されたと推定される.伯母谷川層と赤滝層,赤滝層と宇井層の境をなすそれぞれのスラストはアウトオブシーケンススラストの可能性がある.伯母谷川層は宇井層および湯川層の一部に,赤滝層は花園層の一部に,宇井層は美山層および湯川層,伯母谷川層のそれぞれ一部にそれぞれ対比される.紀伊山地中央部では秩父帯の地層が欠如するのみならず,本地域の主要部では,四万十帯のなかで構造的最上位に位置する伯母谷川層までも欠如していることが明らかとなった.
  • 黒川 勝己, 富田 裕子, 金子 顕
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 292-300
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    中央日本において,日本海側から太平洋側にわたって広く分布する鮮新世の広域火山灰層を新たに見出した.それは新潟地域における板山凝灰岩層-西山ミガキ砂(Nym)火山灰層,氷見層群のYT3火山灰層および東海層群の佐布里火山灰層である.これらの火山灰層は鮮新世前期のZnp-Ywg火山灰層(新潟地域)とそれに対比される大谷・阿漕火山灰層(東海層群),および鮮新世後期のArg-2火山灰層(新潟地域)とそれに対比される南谷1火山灰層(東海層群)の問の層準に挟在する.これらの火山灰層の全層厚は20cmないし15mであるが,それらの産状やユニット構成の特徴,火山ガラスの形状,重鉱物組成の特徴,ガラスの化学組成等から互いに対比しうると考えられる.これらの火山灰層は水底を流下した堆積物重力流堆積物よりなり,水底降下堆積物をともなっている.これらの火山灰の給源は岐阜県北部に想定され,これらの火山性堆積物をもたらした火山噴火は鮮新世の中央日本における大規模噴火の一つであったと推測できる.
  • 中前 秀章, 中山 勝博
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 301-317
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    東海層群に挟まれる鮮新統坂東1火山灰層について堆積相解析を行い,その堆積過程の復元を行った.堆積相は8種類認定し,それらは,降下火山灰,泥流,河道,洪水,(後背)湿地の堆積環境の堆積物を示す.そして,堆積相の分布と累重関係から,この火山灰層が火山活動と関連した4つの堆積ステージ(ステージI〜IV)によって形成されたことを明らかにできた.坂東1火山灰層は,沖積環境が広がっていた地域に,2 (〜3)回の降下火山灰が降下し(ステージIとII,2回目の降下火山灰が定置した直後に多量の火山砕屑物による泥流が起こり(ステージIII),その後,河川による火山砕屑物の2次移動が起きて(ステージIV)形成されたといえる.特にステージIIIにおいては,降下火山灰によって植生が荒廃していたことに加え,火山砕屑物が多量に供給されていたことも重なり,砕屑物を山地側から短時間かつ多量に排出したとみられる.噴出火山は調査地域の北(東)方に位置したと考えられる.また,粒子の形状観察,密度測定,沈降速度の測定を行い,いくつかの堆積相についての堆積機構の検討を行った.第1として淘汰の悪いトラフ型斜交層理の河道堆積物は,多粒径の火山砕屑物の供給とともに粒子の沈降速度特性にも依存して形成されたといえる.ここで粒子の沈降速度特性とは,大粒径の軽石と粗粒砂サイズの火山砕屑物の粒子沈降速度が,あまり変わらないことである.第2として自己流動化流体の堆積物は,皿状構造を代表とする堆積構造から推定できた.それを構成する火山砕層粒子の流動化に必要な最少表面流速(V_<mf>)が粒子下方濃集によって沸き上がる媒体速度(V_<esc>)より小さいことから,定量的にも自己流動化が支持できた.さらに,第3として堆積重力流の中の高密度洪水流の位置付けを明らかにできた.高密度洪水流は,泥流と自己流動化流の中間に位置付けられること,個別(粒子)運搬プロセスよりも集合運搬プロセスの性格の強い流体であることが推定できた.
  • 北アルプス研究グループ
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 318-323
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松岡 喜久次
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 324-328
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
  • 青山 尚友
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
  • 木村 克己
    原稿種別: 本文
    1998 年 52 巻 4 号 p. 334-335
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
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