北海道の石狩低地帯南部に位置する勇払低地で,地表露頭と4本の掘削コアから得られた地質試料について珪藻分析と^<14>C年代測定を行い,同低地の沖積層の層序や古環境,低地形成について検討した.沖積層は最上部更新統である下部と,完新統である上部に2分される.完新統の基底部は,現海岸線付近では標高-35〜-38mに位置し,層相は東域では泥が,西域では砂礫が卓越し,それぞれ4層に細分される.北西-南東方向の背斜軸や向斜軸を有する新第三系は低地下に分布し,これらの構造運動は低地の形成に影響を与えている.約6,000年の縄文海進高頂期には砂州が形成され,古勇払湾は汽水湖(古勇払潟)となり,西域に発達する砂堤列は,約6,000年以降の海退時に西域の背斜による一部の隆起と沿岸流により東方からもたらされた砂礫により内陸から海側に向かって順次形成された.
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