地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
70 巻, 3 号
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原著論文
  • 松本 孝之
    原稿種別: 原著論文
    2016 年 70 巻 3 号 p. 85-94
    発行日: 2016/07/25
    公開日: 2018/05/22
    ジャーナル オープンアクセス
    紀伊半島西部の有田川町松原付近に分布する上部白亜系は,下位より上松原層 (Turonian),松原層(Coniacian),井関層 (Coniacian ~Santonian),二川層 (Santonian ~Campanian) に区分されている.本調査は松原地域に分布する上部白亜系の岩相層序を確立させることを目的として地質柱状図を作成し、珪長質凝灰岩の年代測定を行った.調査の結果,岩相層序と地質構造に関して,従来の見解とは異なる結論を得た.すなわち,上松原層は地層の層序的上位が南で,これまで考えられてきた層序とは上下が逆であることが明らかになった.また,松原層の層準と考えられていた珪長質凝灰岩は,フィッション・トラック年代測定の結果から84.9±6.0 Ma (Santonian前後) であり,二川層に含めるのが妥当と判断した.松原地域の二川層に向斜構造は存在せず,地層全体の層序的上位が北であると考えられる.
  • 二村 光一
    原稿種別: 原著論文
    2016 年 70 巻 3 号 p. 95-108
    発行日: 2016/07/25
    公開日: 2018/05/22
    ジャーナル オープンアクセス
    鈴鹿坂下断層沿いの中新統鈴鹿層群下部の筆捨礫岩層における変形礫および複合面構造の形成過程は,前期・後期の2つのステージに区分される.変形の時間的変化をみると,変形礫を形成した前期の延性的な変形の上に,複合面構造を形成した後期の脆性的な変形が重複している.変形時の岩石の平均延性度と延性度較差は,時間とともに低下している.複合面構造は,境界断層沿いに発達している.複合面構造の解析から,ほぼ南北 (N10°E) を最大圧縮主応力軸方位とする応力場における左ずれ剪断作用が示唆される.この剪断帯を,鈴鹿坂下剪断帯と新たに名づける.鈴鹿坂下剪断帯は,日本海拡大期末期における西南日本前弧域に生じた圧縮テクトニクスで形成されたと考えられる.
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