地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
73 巻, 1 号
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原著論文
  • 松岡 喜久次
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 73 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2019/01/25
    公開日: 2020/06/04
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    関東山地,秩父帯北帯の住居附ユニットにみられる砕屑性炭酸塩岩は,ペルム紀チャートに伴って産する.砕屑性炭酸塩岩は砕屑性石灰岩と砕屑性ドロストーンからなり,ともに火山岩岩片のほかは粗粒陸源砕屑粒子を含まない.砕屑性石灰岩は下位から石灰岩角礫岩,石灰岩砂岩,石灰泥岩と重なり,上方へ細粒化を示し,石灰岩砂岩にはラミナがみられ,角礫岩は下位のチャートと明瞭な浸食面で接する.これらの特徴は,砕屑性石灰岩が堆積物重力流により淘汰・運搬されて堆積したものと考えられる.一方,ドロストーンは細粒で淘汰のよいドロマイトからなり,ドロマイトが底層流により選別・運搬されて再堆積したものと考えられる.

短報
  • 佐藤 ひかる, 宮地 良典, 平社 定夫, 福島第一原発地質・地下水問題団体研究グループ
    原稿種別: 短報
    2019 年 73 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2019/01/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    Unconsolidated sand with the maximum thickness of 40 m was found in the D4 unit of the Plio-Pleistocene upper Dainenji Formation in southern Minamisoma City, Fukushima Prefecture, Japan. The thickness of this sand is unique because the D4 unit is mainly composed of mudstone with thin-sandstone. This sand is mainly composed of coarse to fine grains. Mudstone blocks are found at the bottom of this sand, and the sand is overlain by upper mudstone. The lower part of the sand shows slump structure. This sand shows fining-upward succession, which indicates that deposition had progressed during reducing period of current energy. The boundary between the sand and the underlying mudstone shows that the sand buries a channel extending from WSW to ENE with 4.5 km of length and 1 km of width. It was also presumed that the sand occurs above SF γ, a tephra bed of the D4 unit. The thickness, facies and stratigraphic position of the sand are similar to those of “medium-grain sandstone” at the site of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS). Therefore, a channel buried by thick and unconsolidated sand is likely to exist even at the FDNPS site.

特集:北海道の文化地質学(1)
総説
  • 加藤 碵一
    原稿種別: 総説
    2019 年 73 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2019/01/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    宮沢賢治(1896-1933)は,日本で最も人気のある文学者(童話作家・詩人)のひとりである.彼は東北日本の岩手県花巻市に生まれた.同県盛岡市にある盛岡高等農林学校地質及土壌教室で教育を受け,さらに同研究科に進学した.それゆえ,彼の作品には教科書的知識だけでなく,野外での地質調査体験からくる数多くの地質学用語や概念が導入されている.彼の諸作品は,まさに文化地質学のターゲットである.宮沢賢治は北海道地域に

    3 度旅行しており,特に第二回目には樺太まで訪れた.この第二回目の旅行中に彼は優れた詩を創作し,それらは1923 年に刊行された最初の詩集などに掲載された.拙文で筆者は,文化地質学的観点からそれらの作品の解釈を試みる.

原著論文
  • ─オプタテシケ山の伝説と火山災害─
    地徳 力
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2019/01/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    北海道の先住民であるアイヌの伝承から地質学的現象の推測を試みた.

    北海道には道北部,道東部および道南部に多くの火山が分布する.ところが,江戸時代以前は和人が常住しなかったため,道南部の一部を除き,噴火についての文書記録は無い.しかし,長い間北海道で暮らしてきたアイヌには,火山についてのダイナミックな伝説が各地にたくさん残っている.中には過去の噴火活動推定のヒントになるものもあると思われる.

    国土地理院の地形図にはオプタテシケ山が示されているが,アイヌの伝説にあるオプタテシケという名称の意味やその地形的位置については定説がない.本論では,伝説上のオプタテシケ山の名称やその位置に関して考察をおこない,泥流災害の起きた場所と時期を考察した.

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