地球科学
Online ISSN : 2189-7212
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75 巻 , 1 号
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日本の露頭
原著論文
  • 嵯峨山 積, 井島 行夫, 岡村 聡, 宿田 浩司
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 75 巻 1 号 p. 3-17
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    札幌市東区中沼町のモエレ中野川沿いで掘削された長さ35mの2本のボーリングコア(H29B-1,H29B-2)の層序解明のために火山灰と珪藻の分析を行った.MIS 5e堆積物の上限標高は約−18mで,約113ka降灰の洞爺火山灰層(Toya)は標高−17.46mに,約41ka噴出の支笏軽石流堆積物(Spfl)は標高−15m前後に狭在し,沖積層基底は標高­14m付近であることが明らかになった.今回のH29B-2を含む28本のボーリングについて石狩平野の埋没地形(松下 1979)との関係を検証し,さらに内陸の地下についても同地形の広がりを検討した.モエレ沼周辺や札幌市街北の地下には堆積面(Bd)が存在し,南にまでのびる埋没谷(Bg)は旧石狩川や旧豊平川などの流路跡と推定される.

  • KABIR Md. Fazle, 高須 晃
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 75 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    蓮華変成帯若桜地域に分布する青色片岩には昇温期,ピーク,そして降温期の 3つのステージの変成作用が記録されている.昇温期変成作用は片理を構成する鉱物に包有される鉱物群(緑泥石,緑れん石,フェンジャイト,曹長石,ウィンチ閃石/藍閃石,パラゴナイト,赤鉄鉱,石英)によって定義される.ピーク変成作用は片理を構成する鉱物(藍閃石/マグネシオリーベック閃石,緑れん石,フェンジャイト,緑泥石,チタン石,赤鉄鉱,石英)によって定義される.昇温期とピークの変成温度圧力を Na2O-CaO-K2O-FeO-MgO-Al2O3-SiO2-H2O-O2 (NCKFMASHO)系の相平衡モデル(シュードセクション・モデリング)により推定した.フェンジャイトと緑泥石の組成等値線から,昇温期変成条件は 300-320℃,0.5GPa,また,ピーク変成条件は 350-390℃,1.05-1.2GPa(ローソン石藍閃石片岩相または緑れん石藍閃石片岩相)であることが明らかにされた.片理を形成する角閃石の縁部(ウィンチ閃石~アクチノ閃石)およびピーク変成鉱物を置換する緑泥石とカリ長石の組み合わせより,360-400℃,0.4-0.5GPaの降温期変成条件が得られた.これらの昇温期,ピーク,降温期変成条件の推定より,若桜の青色片岩は変成ピーク後の岩体上昇初期に定温降圧を伴う時計回りP-T経路を経て形成されたことがわかる.このような定温降圧を伴うP-T経路は,ピーク変成条件は異なるが,周防帯に属する江津地域の青色片岩と類似する.

短報
  • 庄司 勝信, 川村 孝一
    原稿種別: 短報
    2021 年 75 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    We discovered one piece of orthoquartzite gravel (Oq gravel in short) from a gravelly sand in drilled-core of the Plio-Pleistocene Osaka Group in the southern Nara basin, Southwest Japan. It is 30 mm across, 0.7 to 0.9 in sphericity, 0.9 in roundness and pale yellowish brown in color. Under microscopic observation it consists of 96% of quartz, 2% of plagioclase, 0.7% of K-feldspar and 1.3% of muscovite. On the basis of modal composition it is classified as quartz arenite. Size of sand grains included varies from 0.1 to 0.7 mm and is 0.25 mm in average (n=130). Some of quartz grains have dust rings and many show weak to moderate wavy-extinction.

    The gravelly layer including Oq gravel is mostly composed of gneissose or mylonitic granites, aplite and pegmatite, with a little amount of chert, sandstone, shale and basic rocks. The granitoid gravels are supposed to be derived from the southern margin of the Ryoke Belt to the south and the sedimentary gravels are also from the Izumi Group, the Chichibu Belt or the Shimanto Belt to the further south. The Oq gravel thus seems to have derived from the same provenance of the sedimentary gravels.

    The provenance of the sedimentary gravels indicates that the head of the Plio-Pleistcene northerly river has been around or beyond (cross over) the Median Tectonic Line. This result may much contribute to reconstruct the Plio-Pleistocene paleogeography around the Nara Basin.

特集:「本州中央部における第四紀隆起運動」(2)
総説
  • 柴 正博
    原稿種別: 総説
    2021 年 75 巻 1 号 p. 37-55
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    日本列島の第四紀地殻変動は,山地の急速な隆起と沿岸および内陸盆地の相対的な沈降を引き起こした.本州中央部における36地域の鮮新世から第四紀の堆積物の年代層序学と岩相分析により,造構-堆積史が次の4つのステージで発達したことが明らかされた.1)鮮新世~前期更新世前期には,内陸盆地が発生し,深海盆にタービダイトが堆積した.2)前期更新世後期~中期更新世前期には,島弧の隆起が起こり,内陸盆地の沈降域は拡大して分化し,海域では斜面がファンデルタによって埋積されて扇状地が拡大した.3)中期更新世後期には,島弧の地殻隆起が加速され,同時に沿岸盆地には海水準変動に対応した堆積物が累積した.4)後期更新世以降は,海水準の下降と地殻の隆起で段丘が形成された.このような第四紀地殻変動の特徴は,島弧地殻の大規模隆起と海水準変動によって形成されたものと考えられる.特に中期更新世後期(43万年前)以降には,新たな大規模隆起運動と海水準が約1,000 m上昇して,現在の地形が形成された可能性がある.

原著論文
  • 矢野 孝雄
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 75 巻 1 号 p. 57-72
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    本州中央山塊は東日本および西日本島弧系の会合部に形成された海抜3,000mに達する連結山群であり,島弧の会合様式を解明するうえで重要な手がかりになる.アーチテクトニクスの視点に立って構造解析を行なった結果.1)両島弧系はそれぞれ7Ma以降の非対称アーチングによって形成され,2)本州中央部でほぼ直角に交差していて,そこでは,3)西日本および東日本島弧系の浅・深2層の傾斜プルームが斜めに湧昇したために,4)直交・二重の非対称アーチングによって本州中央山塊が形成されたことが明らかになった.

  • 小林 和宏, 飯川 健勝
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 75 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    日本列島の最近の上下変動は,1890年代以降の一等水準測量で明らかにされてきた.一方,近年では GNSS(Global Navigation Satellite System)による測量結果が利用されるようになった.

    一等水準点の累積変動結果は,地形に調和的で,山地が相対的に隆起し,盆地や平野が沈降している.改測ごとの変 動には,隆起・沈降の単元で,傾動・反転運動がみられる測地学的地塊を認識した.浅間山山麓では,火山活動期にその 周辺域が隆起したが,マグマ活動の影響との関連性が示唆される.

    GNSS 観測の最近10年間の上下変動によれば,本州弧に沿った北東-南西方向と,北北西-南南東~南北方向の2つの隆起域が交差していることが明らかになった.

  • 斉藤 尚人
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 75 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    関東平野の地層断面をもとにして,第四紀の地盤変動の時期と大きさを検討した.場所によってその時期と変動量は異なっているが,房総半島から東京湾にかけての今回検討した場所では,最大約2,700m近く隆起していることが推定される.

    この地域の海成堆積物は,第四紀堆積物の示準層準にオンラップしながら累積しており,関東平野南縁部の地殻表面が絶対的に隆起した時期と同時期に海水準が大きく上昇したことを示している.第四紀の大規模海水準上昇量は,上総層群堆積期で約2,000m,下総層群堆積期で約700mと推定される.

    従来の(現在の海水準に対する)地盤の沈降ととらえられている現象は,大規模海水準上昇量より地盤の隆起量が小さいためにおきる,相対的沈降ととらえることが可能である.

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