地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
76 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
日本の露頭
原著論文
  • 柚原 雅樹, 金松 啓介, 日髙 万莉亜
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 76 巻 1 号 p. 3-18
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/06/25
    ジャーナル フリー

    北部九州東部に分布する北坂本累層のマグマの成因とマグマ過程の検討のため,凝灰角礫岩中の安山岩礫の岩石記載および全岩化学分析を行った.火山岩礫は,斑晶鉱物組み合わせの違いから,複輝石安山岩,普通角閃石・複輝石安山岩,普通角閃石安山岩,黒雲母 - 普通角閃石デイサイトに区分される.ほとんどが複輝石安山岩と普通角閃石 - 複輝石安山岩からなり,普通角閃石安山岩と黒雲母-普通角閃石デイサイトは,本累層の最下部に限られる.これらの岩石中にはふるい状組織や汚濁帯を持つ斜長石斑晶,融食形を示す石英斑晶,反応縁を持つ普通角閃石斑晶といったマグマミキシングに伴う非平衡組織を示す斑晶鉱物が含まれる.これらの火山礫の一部は高Sr/Yかつ低Yのスラブ融解に由来するメルトの特徴を有する.したがって,マグマミキシングにはアダカイトの火成活動が関係している.

  • 足立 久男, 石田 吉明, 小泉 潔, 小幡 喜一, 岡野 裕一, 秩父盆地団体研究グループ
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 76 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/06/25
    ジャーナル フリー

    本論文は,秩父堆積盆地の中新統基底部の不整合面付近に観察される古地形・地質の特徴が古岩礁海岸を示すものではないかという観点で,詳細な地質調査とともに,砕屑物の粒度・円磨度の調査も加えて,これらについて記載し議論したものである.

    堆積盆地北東部の野巻西部(桜ヶ谷)で観察され不整合面に保存されている古地形のうち,上位と下位の2段の平坦面は海食台であり,上位の平坦面上にみられる凹みはポットホール,また,2段の平坦面の境界にみられるオーバーハングした斜面はノッチであると判断される.これらの海食台は,下位の方がより新規で,上位の平坦面は浸食され崩壊しつつある段階にあるととらえることができる.

    これらの古地形をふくめて,秩父堆積盆地発生初期(前期中新世)の野巻付近に復元される海岸は,岩礁海岸の基準をほぼ満たすものであり,古岩礁海岸である可能性が高いと判断される.

短報
feedback
Top