東アジアへの視点
Online ISSN : 1348-091X
28 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 秋山 昌廣
    2017 年 28 巻 2 号 p. 1-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/11/05
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    過去四半世紀,アジア太平洋地域の経済は大きく成長した。また,これからも当分の間,世界の経済をけん引していくであろう。この経済成長のバックには,長く続いたこの地域の平和と安定がある。では,地域の安全保障情勢は今後どのように展開するのであろうか。特に,北朝鮮の核ミサイル開発問題,大国化する中国の問題,南シナ海における領土領海さらには管轄権争いの問題に焦点をあてて,現状を分析した上で地域の平和と安定をどのように確保していったらよいのか,考えてみたい。
  • 坂本 博
    2017 年 28 巻 2 号 p. 14-29
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/11/05
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    本稿は中国の31市省区の地域統計データを用いて,中国の地域経済における投資の役割を分析する。中国のGDP統計における投資率(投資額/GDP)は非常に高いものとなっているが,これを31市省区別に調べた場合,投資率の高さが異常であることが判明した。中には,GDP規模を超える投資額を記録している市省区も存在する。一方で,この極端に高い投資率を反映し,1人当たりGDPの地域間所得格差は縮小する傾向にある。と同時に,限定的であるが,地域間格差を縮小させる方向で地域間の投資の流れがあることが判明した。
  • 藤原 利久, 田村 一軌
    2017 年 28 巻 2 号 p. 30-47
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/11/05
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    北九州市は港湾と産業が協働することで発展してきた。北九州港には門司地区,新門司地区,響灘地区,さらに企業のプライベート港などが含まれるが,それぞれが特長をもつ港湾である。門司港は先進的な港湾情報システムおよびETCゲートシステムの導入や共同荷役会社の設立などの改革を実施中の国際港であり,新門司港には国内でも有数の頻度でフェリー・Ro-Ro船および自動車船が発着する。そしてひびきコンテナターミナルは大水深15mの国際港であり,最近ではクルーズ港としても注目されているが,実はそれだけでなく,洋上風力発電やバイオマス発電などに代表される環境・エネルギー産業の拠点となりつつある。このような特長ある港湾と,地域の産業とを総合的に活用して港湾・産業都市としての北九州市の成長を加速させるためには,日中韓におけるクルーズ・フェリー(貨客船)の導入も期待される。さらには北九州空港までも含めた「顧客に選ばれる港湾・産業」の総合戦略や,北部九州広域での協働戦略も求められる。
  • 趙 彤, 水ノ上 智邦
    2017 年 28 巻 2 号 p. 48-62
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/11/05
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    発展途上国における農村金融サービスの展開が難しいことは周知の事実である。中国でも政府が長年に渡り政策課題として重視してきたが,その結果は芳ばしいものではなかった。中国では2007年からP2Pネット金融という新たな金融サービスが急速に普及してきたが,その中でも,農村,農業,農民を意味する「三農」に特化したプラットフォームである「翼龍貸」はこの分野のユニコーン企業となりうる。翼龍貸の成功の背後には情報の非対称性を軽減する同社の「同城O2Oモデル」がある。本稿では,翼龍貸とその仕組みを紹介したうえ,経済学的アプローチにより,このモデルがいかにして中国の実情に合わせて情報の非対称性を軽減したのかについて分析する。さらに,翼龍貸のビジネスモデルが農村金融に普及する可能性を探る。翼龍貸のサービスは国連が提唱する金融包摂の理念に合致しており,グラミン銀行のように途上国の金融そのものを大きく変える可能性を秘めている。
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