農業気象
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23 巻, 4 号
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  • 岩切 敏
    1968 年 23 巻 4 号 p. 151-158
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    土壌水分が十分な裸地面からの蒸発の長期観測を, 定水位式自記蒸発散計を使つておこなつた。裸地面蒸発量およびそれに関連する2, 3のパラメーターの季節変化を明らかにするとともに, これらの実測値と熱収支法, 組合せ法などの理論式による計算値との比較をおこなつた。これらの結果を要約するとつぎのようである:
    1) 裸地面蒸発量の月平均日量は冬季1~2mm/day, 夏季3mm/day内外で, 最大値は7月-4mm/dayである。盛夏期には7~8mm/dayを示し, 年間合計蒸発量は約900mmであつた。Es/Epは約0.8となつた, これは土壌面蒸発量の近似評価に用いられる。
    2) 粗い方法で計算された顕熱伝達係数hは1~3×10-4ly/sec℃の間にあり弱い季節変化を示した。これらの数値は温水池面上で得られた値とよく一致している。Ss/lrはだいたい夏季に小さく2~3月には1.0以上の値を示し, かなりはつきりした季節変化を示す。年平均値は約0.4であり, かなり多湿な気候条件であることがわかつた。
    3) 熱収支法で決定されたボウエン比β'と(8)式によるβとの間にはとくに冬季に食い違いがみられた。これは冬季間の実測値がやや過大評価されていることに原因しているようである。土壌面乾燥度指数μを導入したボーエン比決定式(9)が導かれた。μと実際の土壌水分との関係が明らかになれば, 土壌面がよく湿つていない場合でもβの決定は容易となる。純放射量と実測蒸発量の間には(11)式の関係が認められた。
    4) 熱収支法および組合せ法による計算値は冬季には実測値より小さく, 夏季にはやや大きいという結果をえたが全体的には両者は比較的よく一致した。土壌面がよく湿つている場合には実測にたよらないでも, これらの理論式を使つてかなりの精度で推定しうることがあきらかとなつた。
  • 村上 律雄
    1968 年 23 巻 4 号 p. 159-164
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    Using several tensiometers commereially available in Japan, the author examined the effects of water amount on the time-lag of tensiometer's reading and on the relation between moisture content and tension. The structural character and amount of water which is required in changing a division on the reading are shown in Table 1.
    The instrument which requires larger amount of water showed longer time-lag of reading and wider hysteresis loop than that of less amount of water. This tendency is intensified especially in the dry state of soil.
    The disparity of water amount in various types of tensiometer may be attributed to the structural character of instruments such as type of manometer, connecting tube and area of cup surface. The betterment of these parts will improve the efficiency of the tensiometer.
  • 1968 年 23 巻 4 号 p. 164-164,182
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • トウモロコシ群落内外の炭酸ガス流束
    井上 栄一, 内島 善兵衛, 宇田川 武俊, 堀江 武, 小林 勝次
    1968 年 23 巻 4 号 p. 165-176
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    トウモロコシ群落内外での微細気象ならびに炭酸ガスに関する観測データを空気力学的方法で処理して, 群落内外におけるCO2-流束の実態を明らかにすることを試みた。えられた結果を要約すると下のようになる。
    1. 群落上・下のCO2-流束の計算, ならびに群落内の流束の計算には熱収支法 (3, 4式) で求めた積分交換係数を用いた。これは普通の熱収支観測データから容易に求められるので, 風速分布資料を使用するより便利である。
    2. 群落の純光合成量 (PH-PS) と全短波放射との関係は数学モデルの結果と大体一致することがわかつた。群落の茂りの悪い時は, PHの日変化に日中低下現象がみられるが, よく繁茂してくるとPHは大体全短波放射の日変化に似ていることがわかつた。
    PHは風速の変化に著しく支配され, 風速が強いと増加する傾向がみられた。
    3. 日中期間としてみると, 地面からのCO2-流束はその期間の純光合成量の10~20%となり無視できない大きさであることがわかつた。Psは日変化を示し, 朝・夕に小で日中大きくなつた。Psは地面温度につれて増加し, その関係はPs=PsoQT/10で近似できることがわかつた。Psの絶対値はMONTEITHらの関係を外挿したものと大体一致した。
    4. 日中期間の純光合成量は5~9mg/cm2となり, 現在まで報告されている値と一致している。エネルギー利用率は3~7%となり, 日中期間の値としては妥当な値である。利用率は風の強い日に増加する傾向がみられた。日中期間の蒸散係数は40~90の間にあつて, 現在までに報告されている値 (200~300) よりかなり低くなつた。この値を一日間に換算すると70~140となり, YCTEHKO らが群落条件下でえた値に近いことがわかつた。
    5. 群落内におけるCO2-流束の変化から群落の下層は土壌から, 上層は大気からCO2供給をうけていることがわかつた。日中期間の流束合計値が0になる高さztは群落の生長繁茂につれて次第に高くなることが見出された。各葉層の群落光合成への寄与をみるために第7図が作成された。Ft=2.5で過度に繁茂していない群落では, 光合成への各葉層の寄与は大体葉面積密度に比例するが, Ft=4.2の群落では上層葉の寄与が卓越することがわかつた。
    6. 群落内の葉の光合成強度は日射強度の余り強くない時刻には上層から下へと大体単調に減少するが, 日射強度の強い時には中層に最大強度がみられるようになつた。これは上層葉の光合成機能が葉内水分の不均衡のために低下したためと思われる。葉層による蒸散係数の変化は上下で大で中層で小になる傾向となり, 日射の強い時刻にはそれが顕著であつた。これは上層葉と下層葉とが水を不経済に消費していることを物語つている。
    以上の説明からわかるように, 空気力学的方法は群落内外のCO2-流束の決定および群落光合成の成立機構の研究にとつて非常に有効である。これらの方法による知識の集積は光合成の観点からよりすぐれた群落構造を解明するうえに非常に役立つものと思われる。最後に本研究をなすにあたつて多大な便宜を与えられた谷信輝博士 (農技研気象科) と一戸貞光博士 (農試畑作部) に厚く感謝する。なお, 本研究は文部省特定研究 (生物圏の動態) の一部としてなされ, 研究費の援助をうけたことを記しておく。
  • 日下部 正雄
    1968 年 23 巻 4 号 p. 177-181
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    普通の気候表, 気候図に掲載されている初雪, 終雪, 雪日数, 最深積雪などの平年値は, 農業を初め各種産業の計画を立てる時に利用するには余り価値のある統計資料とはいえない。著者は諸産業などに影響を及ぼすようなある程度の大雪を対象として, そのような大雪の降りやすい時期, 降りやすい地域などを明らかにした。次に四国においても年により場所によつては雪国でいう根雪に相当する現象の現われることもあることを示し, さらに最深積雪については, 単なる平年値の図ではなく, 何年に一度現われる最深積雪といつた, 確率雨量図に相当する最深積雪の分布図が望ましいことを述べた。
  • 吉野 正敏
    1968 年 23 巻 4 号 p. 183-185
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • 吉野 正敏
    1968 年 23 巻 4 号 p. 186-188
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • 武田 京一
    1968 年 23 巻 4 号 p. 189-194
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • 現状と問題点
    小元 敬男
    1968 年 23 巻 4 号 p. 195-203
    発行日: 1968/03/05
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
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