代表的な海岸砂丘地の一つである鳥取砂丘を対象にして, 裸地面における放射状態, とくに全短波放射と純放射および土壤水分とアルベドの関係について観測を行ない, 次の結果が得られた。
1, 夏季, 6月から3月にいたる期間の連続観測の結果, 全短波放射量(Q+q)と純放射量(S)の比, S/(Q+q) の値は0.38~0.65の範囲を変動し, 平均値は0.48を示した。変動の傾向は, 一般に(Q+q)の大きい晴天日に小さく, 曇天日に大きい。
また, S/(Q+q)の変動割合0.1はアルベドの項(1-a)の変動0.04と有効放射に関する項F/(Q+q)の変動0.06によって成り立っている。
2, 8月の快晴日に得られた日変化の例によると, 全短波放射量, 純放射量は何れも正午に最大値を示し, それぞれ1.22ly/min., 0.68ly/min. となり, 純放射量の占める割合は55.7%である。また正午において短波放射を含めた上向きの全放射量は約0.55ly/mn. で, 下向きの全短波放射量の45%に相当する。
3, 7月から10月において, 快晴日に得られたアルベドの値はFig. 5にみられるように明瞭な日変化が認められる。平均では26.5~28%を示し, 夏季に比べて, 太陽高度の低い秋季に, より高いアルバドが得られる, いわゆる季節変化が認められる。
土壌水分とアルベドの関係については, 地表面が乾燥すると共にアルベドが増大し, 含水比3%以下では, この傾向がより顕著になる (Fig. 6, Fig. 7)。
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