農業気象
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29 巻, 4 号
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  • 葉の表裏両面を照射したときの光合成と光質との関係
    高 博, 矢吹 万寿
    1974 年 29 巻 4 号 p. 229-237
    発行日: 1974/03/09
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    前報において, 単葉の光質一光合成関係は, 各波長の光が葉内でどのような減衰曲線をたどるかによって決まってくることを葉内の吸光係数の点から明らかにした。
    本報では, 数種の作物について, 各種単色光を葉の表面から照射したときと表・裏両面から照射したときとの同化量を比較することによって, 葉の解剖学的特性が光質―光合成関係に及ぼす影響について検討した。
    作物, あるいは照射した単色光によって, 表・裏両面から照射したときの同化量が表面から照射したときの同化量より多くなる場合もあり, 少なくなる場合もあった。また両者が等しくなる場合もあった。これらを葉に吸収された光エネルギーの利用収率であらわすと, 緑色光は, どの作物でも照射方法に関係なく一定であったが, 青色光, 赤色光は, 作物によって異なり, 表面より照射したときより表・裏両面から照射したときのほうが高くなるもの, 低くなるもの, あるいは変わらないものがあった。
    この相異は, 葉の葉肉組織が一様であるか, あるいは柵状組織層と海綿状組織層とに分化しているかどうかによって決まってくる。すなわち, 葉肉組織が一様な葉では, 葉内のどの位置においても利用効率が等しいため, 光質―光合成関係は, 各波長の光が葉内でどのような減衰曲線をたどるかによって異なってくるが, 葉肉組織が柵状組織層と海綿状組織層とに分化した葉では, 光学的特性がそれぞれの組織層で異なり, それに応じて各組織層での利用効率が異なるため, 光質―光合成関係は, 葉内に入った光が各組織層にどのような割合で吸収されているかによっても異なってくる。
  • 古在 豊樹
    1974 年 29 巻 4 号 p. 239-247
    発行日: 1974/03/09
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    本報告は, 同一形態・同一建設方位の温室でも, 温室構造材の配置法, 構造材の厚さなどによって, 温室内日射量およびその分布が大幅に異なることを数理モデルにもとづく数値実験によって, 定量的にしめしたものである。その数理モデルは, 温室の構造材を立体であると見なして, その幅, 長さと共に, その厚さをも考慮している点, および温室構造材が床面に落とす影の全床面積に対する割合が求められるようになっている点で, 従来のモデルとは異なる特徴を有する。
    上記数理モデルを, 温室形態は同一であるが, 構造材の配置および構造材の厚さが異なる4種の温室に適用し, 冬期の温室内日射量を算定した結果, 構造材の厚みを無視した既応の成績とは著るしく異なる, 注目すべき事項が明らかになった。重要な点は次の通りである。
    1. 床面に平行な構造材を有する温室では, 構造材の厚みに起因する, 床面における直達日射の平均透過率の減少が, N-S方位およびE-W方位に関しては全日にわたって7%以下と少ない。NE-SW方位に関する上記透過率の減少は朝方より午前10時頃までは6%以下と小さいが, それ以後日没にいたるまでは10~15%と大きくなる。
    2. 床面に対して角度を持つ構造材 (屋根の垂木および側壁の垂直材) を有する温室では, 構造材の厚みに起因する上記透過率の減少は, N-S方位に関しては全日にわたって15%と大きい。E-W方位におけるそれは, 朝夕においては15%と大きいが, 正午前後には5%以下と小さくなる。NE-SW方位に関するそれは, 上述の床面に平行な構造材を有する温室のそれと同様の傾向を示す。
    3. 床面における一日の積算直達日射量に対する透過率分布は, 水平材を有するE-W棟, N-S棟では, きわめて不斉で, 透過率の最大は80%, 最小は35%である。しかし, そのNE-SW棟, NW-SE棟における透過率の最大は70%, 最小は60%で, 比較的斉一である。他方, 垂直材 (屋根の垂木も含む) を有する温室のそれは, いずれの建設方位に対しても, 最大70%, 最小55%である。
    以上の結果は, 温室構造材の配置および構造材の厚み等の相異によって, 温室内の直達日射透過率が大きく変化することを示すもので, 温室設計に重要な指針を与えるものである。
  • 1974 年 29 巻 4 号 p. 248
    発行日: 1974/03/09
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
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