乾燥地域あるいは半乾燥地に広く分布する砂地の気象観測は, まだ実施例が少ない。したがって, 現地の農業生産, あるいは水資源の有効管理に必要な純放射量は, 経験的な推定法を用いるしかない。純放射量の推定に関して種々の推定法が提案されているが, それらの多くの場合アルベドの推定は重要な部分となっている。本報は, アルベド, 土壌水分と他の関連気象要素の観測は鳥取砂丘圃場において行い, その結果を用いてアルベドを推定する簡便な方法を提案するものである。
降水と蒸発は, 裸地の土壌水分変化を支配する。土壌水分変化に対応して, アルベドは変化し, 雨天日には小さくなる一方, 無降水期間中に徐々に大きくなる。観測の結果, アルベドと連続無降水日数との相関関係がかなり高いことが明らかになった。また, 連続無降水期間におけるアルベドと大気透過率の関係は, 透過率が0.55より小さい範囲において正比例の関係が認められた。この結果に基づいて, 連続無降水期間のアルベドを推定する2つの簡単なモデルを作成した。この2つのモデルを用いて鳥取砂丘におけるアルベドを計算し, 実測値と比較した。
モデル(1)については, 連続無降水日数以外の気象要素は一切使わずに推定した。推定値と実測値の相関係数は0.73で, 標準誤差は1.2%であった。モデル(2)については, 連続無降水日数と大気透過率を用いてアルベドを推定した。相関係数は0.85で, 標準誤差は0.9%であった。
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