梁や柱よりなるフレームと,版の乾燥収縮や温度伸縮の相違,或いは梁伸縮に対する柱の拘束等が原因となって,版と周辺フレームとの間に自己ひずみ差が生ずる。このときの応力性状を知ることを目的として,第1図に示すxy軸を対称軸とする長方形版の自己ひずみ応力を弾性理論により求めた。計算式の誘導は,大凡坪井博士が耐震壁の応力解析に採られた方法に準じて行ったが,その際更に次の様な仮定を設けた。(i)フレームを規準に,版にはε_0なる自己ひずみが生ずる。(ii)ε_0が生じた原因に拘らず,ε_0が生じた後はフレームの各節点にはxy方向の伸縮を拘束する外力は働かない。(iii)フレームを版面と直角な方向に彎曲させる様なモーメントは生じない。
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