最近の骨材生産事情は粒度特性を経済的に選択することを可能とするようになった。かかるとき, コンクリートのワーカビリチーなどの特性におよぼす骨材粒度の効果を定量的に評価し, 選択すべき粒度を確認する必要があると考える。そのためには, 粒度(粒子寸法分布)そのものの適正な数値化による記述が先決である。本報告では, 骨材のふるい分け試験結果を尊重し, それから計算される平均, 標準偏差, ゆがみ度, とがり度の4種の統計量を粒度パラメターと呼称して, 粒度の数値化を試みた。コンクリートの物性に影響の大きい細骨材の粒度の相違をはっきり特徴付けるため, 粗粒率基準の粒度パラメターを細, 粗骨材に共通した粒度の数値化法として提案した。その場合, 各基準ごとに階級内で一様分布する連続的変量を仮定して, 階級数が少なくても実際の分布を相応に評価することができるようにした。これにより, 骨材の実積率や表面積の推算, さらにはコンクリートのワーカビリチーなどの物性の解析に必要不可欠な骨材粒子の寸法と形状に関する既往の記述方法を改良, 集約し, 一般的な記述表示をある程度可能にした。今後は, ここに提案する粒度パラメターを用いてモルタルやコンクリートの諸物体, とくにワーカビリチーに及ぼす骨材粒度の影響を定量的に検討して, それら物性を複合材料として説明を可能にするとともに, 骨材資源の活用ならびにコンクリートの品質の向上を図っていきたい。その前提として, 骨材の実積率に及ぼす粒子寸法分布の効果について実験的研究を継続中であるが, 粗粒率基準による粒度パラメターの有効性が確認されている。これについては稿を改めて報告する予定でいる。
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