農業情報研究
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20 巻, 4 号
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原著論文
  • 山本 恭輔, 木村 佳嗣, 戸上 崇, 吉岡 洋輔, 橋本 篤, 亀岡 孝治
    2011 年 20 巻 4 号 p. 139-147
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    農産物の色彩や形状,大きさなどの外観特徴は食味食感とともに農産物の商品価値を決める重要な品質要素である.農産物の外観品質の評価は,主に熟練者の目視によって行われるが,これらの評価は,熟練者の作業経験の積み重ねによって獲得された判断要因や判断基準に依存しているため,客観性や再現性の問題が生じ,評価者により異なる評価結果が得られる場合が存在する.このような問題を解決すべく,今日では,農産物の外観品質の評価に画像解析技術を用いた研究が広く行われている.本研究では,農産物のための色彩画像解析システムの構築を目的とし,色彩画像撮像装置を構築した.色彩解析には,Content-based Image Retrieval(CBIR)手法の一つであるColor HistogramとColor Distribution Entropy(CDE)を組み合わせた手法を採用し,さらに,対象農産物に対して最適な色彩解析が行えるようにCDE手法の改良を試みた.対象農産物には,果実の色彩が重要な品質要素であるイチゴを用いた.構築した色彩画像撮像装置では,光拡散体として円筒を用いることで拡散光の下で撮像でき,イチゴの正確な色彩が記録された画像が得られた.また,色彩画像解析では,イチゴ画像に対するCDE解析の最適なパラメータが決定され,同品種内での異なるイチゴ間の色彩の差異を定量的に評価することが可能となったことから,構築した色彩画像解析システムのイチゴの色彩評価への有効性が示唆された.
  • 岡田 泰明, 菅原 幸治, 吉田 智一, 平藤 雅之, 渕山 律子, 太田 健, 松尾 和之, 浅井 元朗, 三浦 重典, 中谷 敬子, 澁 ...
    2011 年 20 巻 4 号 p. 148-159
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,限られた地域における入手可能な多時期,多センサ画像データを活用した時系列的な作物生育診断を可能にするべく,アスファルトの地上での反射率を基準として波長帯毎にディジタルナンバー(以下DNと略す)を正規化して多時期,多センサ画像データの比較を可能にする手法を提案する.ここでいう「正規化」とは,各画像データのDNを地上反射率に換算することである.センサが異なる画像データのDNは,反射率に換算するためのゲイン及びオフセットの値が異なり,そのままでは画像データ間での比較に用いることができない.多時期に撮影された画像データは大気補正も必要である.そこで,衛星データの分解能でも位置を目で特定できる広さを持ち,かつ時期による反射率の変動が少ないアスファルトの地上での反射率を基準として波長帯毎にDNを正規化することによりこの両者を同時に補正し,多時期,多センサ画像データの比較を可能にした.その上で,茨城県筑西市田谷川地区を対象とし,2006~2009年にかけて秋播きコムギ茎立ち期~成熟期におけるALOS/AVNIR-2,航空機/ADS-40及び航空写真用フィルムの画像データに本手法を適用し,有効性を検証した.DNの正規化による地上反射率から計算したNDVIの経時変化はいずれの画像データでも同様の値及び傾向を示し,正規化の適正さを確認した.また,コムギ茎立ち期のNDVIは,いずれの年次でも収量と有意な相関関係を持ち,生育診断の指標となることが示された.
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