農業情報研究
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32 巻, 4 号
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原著論文
  • 黒崎 秀仁, 村上 健二
    2024 年 32 巻 4 号 p. 88-99
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/01
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    本研究ではキャベツの底面給水育苗システムの灌水自動化時の適切な灌水パターン策定を目的として,吸水マットに設置した体積含水率センサを用いて生産者の慣行法における灌水パターンの記録を試みた.実験は夏季に2作行い,1作目の生育率は91.3%,2作目で88.6%であり2作目の生育が劣った.催芽期間の含水率を20%以上に維持した1作目では正常に生育したが,過剰な乾燥により含水率が夜間に0%まで低下した2作目では枯死する株が発生した.催芽期間以降では日の出から午前中の10時までに含水率35%程度まで灌水し,午後は乾燥させるのが通常のパターンであった,ただし,高温日と定植直前に午後にも灌水した.2作目では高温・低湿度・高飽差により蒸発量が増えたにもかかわらず灌水回数が不足したことが生育悪化の原因と考えられた.以上の結果より,1日の灌水回数を定めるだけでは気象環境の変化への対応は困難であり時間帯ごとに目標含水率を定め,含水率が不足した場合に適宜灌水を行えるシステムの構築が有効と考えられた.

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