農業情報研究
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原著論文
  • 馬場 研太, 南石 晃明, 長命 洋佑, 上西 良廣
    2023 年 32 巻 1 号 p. 1-25
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,稲作法人経営における自動化・ロボット技術の活用を規定する要因(以下,活用要因)を明らかにする.具体的には,全国農業法人アンケートに基づいたプロビット分析を行う.プロビット分析では,被説明変数に各自動化・ロボット技術の現在の活用状況を,説明変数に経営の目標・管理や経営・経営者属性を設定する.分析の結果,「操作アシスト機能付き農業機械」と「作物栽培機械作業の自動化・ロボット」に共通の活用要因は法人設立経緯であり,非農家出身者等が法人設立に参画した経営では,それ以外に比較し,技術を活用している確率が40.6–50.9ポイント上昇する結果になった.また各技術固有の活用要因について,「操作アシスト機能付き農業機械」は営農開始後の経過年数が長いこと,「作物栽培機械作業の自動化・ロボット」はICT活用力・情報マネジメントが強みであること,経営者年齢が60歳以上であること,水稲売上高が大きいことであった.「農地灌漑・給水の自動化」は有意な結果が得られなかった.以上より,稲作法人経営における自動化・ロボット技術の活用には,経営が有する他産業や先端技術に関連する知見・人材の影響があり,これが重要な活用要因と示唆された.また,各技術の特性から活用要因の差異がみられると考えられた.

  • 久寿居 大, 島津 秀雄, 神成 淳司
    2023 年 32 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    農業では農閑期に農繁期と同じ雇用を維持することはコスト面から難しく,農閑期に合わせて雇用を確保し,農繁期には臨時雇用者で対応している.しかし,臨時雇用者は年間を通じて農業に従事しているわけではなく,毎年同じ人を雇用できるとは限らないし,雇用できた人が対象とする作業に知見や経験を持っているかは不確定である.また,年度によって気象や園地や作物の状況は異なり,その年の状況に合わせて作業を行う必要がある.限られた時間で作業を円滑かつ一定水準で行うため,その都度臨時雇用者を指導することになる.

    本論文では促成指向AI農業学習モデルを提案する.提案モデルでは,作業の種類を限定し,「その時その場の作物」に対象を限定することで,ITに関する特段の知識のない農業専門家である指導者が,その時その場に即した学習問題を短時間で作成可能とする.学習者は,対象となる作業を行う直前に,その学習問題を解くことで作業の実行に必要な判断の仕方を学習する.本研究では,提案モデルを実装した促成指向AI農業学習支援システムを試作し,実際の農業現場で,指導者が学習問題を作成し,未経験の臨時雇用者に学習させる実証実験を行った.本システムのライブラリ機能を用いて指導者だけで学習問題を作成できること,学習問題を解くことで臨時雇用者の作業の質の向上に効果があることを検証した.

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