ラテンアメリカでは政治任用される経済学者,いわゆるテクノクラートと呼ばれる人物が観察され,彼らが大臣となる政権は歴史的に緊縮財政と結びつけられてきた。一方で,昨今の同地域では社会保障に関する財政支出が拡張されてきた。すると,テクノクラートが任用される政権は,近年の社会保障費の増加に関係しているといえるのだろうか。本稿は1990年から2019年に至る南米の中所得国5カ国のデータを使って固定効果推定を行い,財務大臣にテクノクラートを任用する政権と非テクノクラートを任用する政権のあいだで,社会保障費の増減が異なることを明らかにする。結果,政治的なしがらみが少ないテクノクラートが大臣に任用される場合,社会保障費が抑制的な傾向にあることが判明した。この結果をとおして,現代の南米諸国において,テクノクラートを大臣に据える政権が社会保障費の増加に対して1つの歯止めになっていることが示唆される。
モンゴル地域における商業活動は古今を通じて行われていたことは周知のとおりであるが,著しく発展を遂げたのは清朝以後のことである 。そのなかで重要な役割を果たしていたのは,いうまでもなく漢人商人を中心とする「旅蒙商」であり,彼らの活躍で,当時,モンゴル地域において,草地取引市場,地方集散市場,定期市場といった3つの異なるパターンをもつ取引市場が形成された。草地取引市場とは,一般的には行商による奥地における取引によって形成されたものであり,「旅蒙商」の最も基本的な形にあたる。地方集散市場とは,牧畜地域と農業地域の境界線付近において店舗を構え,モンゴル人と交易することによってできたものである。定期市場とは上述の2種類の取引市場の中間たるもので,決まった期間内に,決まった場所で行われるものである。そしてこれらのさまざまな形をとる取引市場が互いに緊密に結びつきながら,近代モンゴル地域における貿易市場を独占していたともいえるが,本論文では,内モンゴル・フルンボイル地域に位置するガンジョール・スム定期市を事例としながら,近代内モンゴル地域における定期市場の実態を探るとともに,その近代内モンゴル地域の貿易市場における位置づけを明らかにする。
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