国の周辺部に位置するインド北東部では,その複雑な民族,エスニック集団構成のために,しばしば,分離主義や民族・エスニック集団間の対立に起因する暴力的紛争が起こっている。そのためインドは国家統合および紛争の抑制のため,他の州と異なるさまざまな制度的,非制度的仕組みを適用している。それはこの地域の州の自律性を著しく制約している。そのような実態を概念化するため,S・バルアはこの地域の連邦制を「うわべだけの連邦制」ととらえた。また,そのような連邦制のもとで発生する独裁的地方権力をB・ラシナは「エスニックな地方専制」ととらえて問題視した。本稿は,このような状況にある北東部地域における国家統合と州自治の問題を具体的データに基づいて整理し評価する。
本稿は,中華人民共和国で制定された初めての憲法である1954年憲法の制定過程の分析を通じて,中国共産党の政治体制構想を考察した。54年憲法制定過程の代表的研究である[韓 2014]は,同憲法制定会議参加者の政治体制に関する議論が如何にその後の政治過程に影響を及ぼしたのかが不明瞭であった。そこで本稿では,同研究を引用しつつ,54年憲法に関する新資料などを利用して同憲法の制定過程を分析した。その結果, 54年憲法制定過程での政治体制構想をめぐる中共指導部,ソ共指導部,民主党派の角逐は,相互不信感を増幅させただけでなく,根本的に思考が相容れないという現実を再認識させた点で象徴的な出来事となったであろうことがわかった。さらに指摘するならば,このような相互不信感は,中共指導部が民主党派に反右派闘争を,またソ共指導部とその後の対立を引き起こす遠因になったとも理解できるだろう。
日本における発展途上国・地域の研究は,どのような構造をもち,どのように変化してきたのだろうか。本稿はこの課題に引用分析を使ってアプローチしたいと考えている。しかしながら,それにはデータベースの作成を含む長大な研究を行う必要がある。本稿はその第一歩として,まず2002年から2019年に発行された『アジア経済』に掲載された論文等に引用されている文献をデータベース化した。つぎにそれを使って可能な被引用文献の分析を試み,その基本的な性格(論文等1本当たりの件数,ジャーナル論文等の種類,新しさ,使われている言語など),言語による違い,2000年代と2010年代の変化,研究上のコミュニケーションの諸側面を明らかにした。また,タイトルに「中国」を含む論文等の被引用文献を分析し,全体と対照させた。
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